THREE in Sapporo 感想 その2



15分の休憩後
第2部 Songs from the Southと題された
日本、シンガポール、フィリピンの3団体単独演奏ステージ。


その前に3団体の指揮者が再び集まり
「なぜ札幌でTHREEが開催されるようになったか」の経緯を。
松下先生が書かれているプログラムの文章から
1回目はシンガポール、2回目は東京、3回目はマニラ。
それで4回目はどうするのか、止めるのか、
順番としてはシンガポールだけど…。
松下先生以外の2人の指揮者は言ったそうな。
「札幌の雪が見たい!」と。(どちらも南国だからね)
えー?!冬の北海道の交通事情や札幌の合唱団の協力も必要だし…と
渋る松下先生を押したのが5人のガイア道産子メンバーだったとか。


「きっとこの2人(の指揮者)、
 東京と札幌は凄く近いと思ってたんですよ!」と
苦笑交じりで話す松下先生(笑)。
まあでもこの貴重な演奏会、札幌でやることができて良かった!



さて、最初は
Gaia Philharmonic Choir
指揮:松下耕先生



ガイアの演奏を聴いたのはコンクールの全国大会が最後。
調べてみると2002年11月24日 (日)、
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
Samuel BarberのAgnus Deiを演奏した時。
いやあ、あの演奏は凄かったですよね。
(ちなみにBグループ金賞1位で華々しくコンクールを引退)
あれから10年と少しの時が流れたのか・・・。
あの全国大会時は68人だったけれど
今回のステージは女声20名男声16名。
北海道という遠方、正月明けということから
本来の人数よりは少ないのだろうけれど
コンクールを引退するとやっぱり求心力が少なくなってしまうのか、
VOX GAUDIOSAとの差別化が難しいのではないか…などと
聴く前から余計なことを考えるワタシ。(ごめんなさい)
4曲すべて、オール松下先生作品。自作自演ステージ。


「Jubilate Deo」
「World Sun Song Festival 2008」という
「Sun(太陽)」というコンセプトで
世界各国で活躍する作曲家へ委嘱し
ラトヴィアを代表する合唱団が演奏するプロジェクトの作品。


さて、久しぶりに聴くガイアの演奏は・・・。


うわっ、うまい上手い巧い〜!
色彩や強弱のニュアンス、発声の自在さ。
コンクールではないし比較するのはヤボってもんだけど
かなり良い演奏をした札幌の4団体と比べても
正直に言って水準が2段階以上は違うほどと感じた。


「神を讃える想いと神に仕える喜び」がテーマとして
明るく優しい旋律をつないでいくのだけど
各パートの細かいフレーズ、
目まぐるしく変わる音楽とかなり技巧的な作品。
(16声部に分かれる箇所もあるとか?)
そんじゃそこらの合唱団なら喜びを歌うどころか
途中で「…もう、ダメデス…」と崩れ落ちるような難曲を
ごくサラリと楽しげにそして力強く説得力ある演奏を。
凄いよ、この合唱団。



2012年に北京合唱団で委嘱初演された
「Tenebrae factae sunt」
演奏中に男声が音叉を使い音を確認するほどの難曲。
密集した音のクラスター、
それはまるで絡まった糸の塊。、
その塊から慎重に繊細に一本の糸をほどくように
見事に音が離れ、そして塊へ近づく。
緊迫した空気が持続していく・・・。



Nコン高校課題曲だった「はじめに……」
まず透き通ったサウンドの豊潤に驚き。
充実したリズム感や高校生の演奏では得られない深み、
それでいて爽やかな味わいが感じられる演奏。



最後の
混声合唱のためのコンポジション『日本の民謡 第7集』より
「湯かむり唄」鳥取県岩美町の温泉での民謡だそう。
バシャバシャと水面を叩く音を模倣した
各パートでリズムをズラすような超難易度の
ボディーパーカッションが後半にあって、
「うわっ、こんなのよく演奏するなあ!」と
つくづく呆れ…いや感心するほどの難曲。
最後の足踏みも「キメッ!」と見事に決まったものでした!!
コンクールで中高生が近い将来にやっちゃうのかなあ…。


久しぶりに聴くガイアの演奏でしたが、
全国大会時の記憶と比べると
発声も含めて音楽の自在さ、柔らかさを
より一層感じられる演奏でした。
日本のコンクールを離れ、海外演奏や海外指揮者の招聘、
そしてTHREEに代表されるような他団体との交流が
その音楽を変えていったのでしょうか…。
4曲すべて、極めて水準の高い演奏を楽しく聴かせていただきました。


このTHREE終演後にしばらく疎遠だった
耕友会の中心人物の方とも再会できたのも嬉しかったこと。
また機会があったら耕友会の演奏会にも行ってみようかな。





(おそらく日曜日頃につづきます)