観客賞:室内部門 その2

 

 

観客賞:室内部門、今日は同率2位の2団体、
そして第1位の団体をご紹介します。

 

 





第2位


合唱団まい

 

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自由曲:ブラームスの
「Zigeunerlieder (ジプシーの歌 Op. 103)」
見ていて楽しかった!
自分たちが楽しんでいる感じが伝わって、
こちらも楽しくなりましたね。


ドイツ語のミュージカルを見ている感じ。


そうそう、酒場で歌っているのを見ているような…。


いいよねえ~。(同意) 


他の団体は「コンクールだっ!」って感じがするけど
まいさんはサロンコンサートのような印象です。


ステージに対する良い意味での気負いの無さ。
あれをどういう風に出せるのか、いつも見ていて思います。
凄いなあ・・・。


聴いていて凄くワクワクしました!


うん、楽しかったです!


2曲目のテノールの甘い歌が良かったなあ。


ピアノとの絡みがね!


そう! 
平林先生がテノールとアイコンタクトしてから
弾き始める。
あれ? 指揮者の存在は?と(笑)。


素敵でしたね~。


いいなあ、やりたいなあ~(…と、某ピアノ弾きさま)。


やればいいじゃない!(と、周囲からツッコミが笑)


いや、指揮者の雨森先生が
そういうところを完全に
平林先生へ任せている信頼関係が素敵でしたねえ…。




<文吾からひと言>

合唱団まいさんの紹介記事です。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/11/10/152243



まいさんは座談会でも触れられていましたが
「コンクール」ではなく、演奏会の雰囲気!
課題曲のG2から表情に音楽があって。
そしてジプシーの歌になると
ソプラノの歌がふくらみ
さらに豊かに世界を作っていました。

ピアニスト平林先生とテノールのアイコンタクトといい、
こういう演奏がコンクールで聴けるのは
貴重で、そしてとても嬉しいことですね。

あ、「草食系」じゃなくちゃんと「肉食系」の演奏でした!(笑)

 

 

 

 

 



同率2位

アンサンブルVine

 

 

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並びが綺麗な団体は演奏も良いですね。(同意)


課題曲G1に納得!(同意多数)


課題曲は流れの中、
合うポイントを決めていくのが凄く難しい曲。
ソプラノとテナーが同じ終止でフレーズが切れるんですが
そこのオクターブが毎回合いにくい。
その部分が一番決まっていたのがVineさん。
しかもおそるおそる合わせるんじゃなくって、
各パートそれぞれがちゃんと旋律を歌って
その結果として合っていたのが素晴らしかったです。


ゆっくりめなテンポでダレることなく
それぞれの表現をキッチリやっていた。


テンポはゆっくりめだったけど、
全然止まらずに流れるようだったのも好印象!


各パート、フレーズのつなぎも上手かった。


難しい曲のはずなんだけど、
聴いていて難しい曲に聴こえなかったのが…。(同意)





<自由曲>

「Dona nobis pacem(松下耕)」


3群のファンファーレ。
歌い終わった後の残響が良かったですね。

 




「hope, faith, life, love(Eric Whitacre)」


凄いキレイ!


楽に歌っていた感じ。


Vineの底力を見た! 
基礎力が高いからこんな演奏ができるんですね~。


そういう部分がリラックスして聴ける要因だなあ。


基礎力が高いと演奏も全然変わりますよね。


それぞれのパートが手を繋ぐように
飛び出さずに主旋律のパートを支えている感じなのが・・・。


ちゃんと聴いてるんだ!というのがわかる演奏。
ひとつの流れとして、フレーズとして聴ける。


都会的な、スタイリッシュな演奏!


つまり、オシャレな京都人の演奏ですよね(笑)。


 



「Double, Double Toil and Trouble(Jaakko Mäntyjärvi)」


ダブルダブルトイレでトラブル!


なんだそれ(笑)。


そんな風に聞こえるんですよ(笑)。
この曲好きでした!


面白かったですね~。(同意)


足音が上手!


でも今回は演出がちょっとだけ地味だったかもしれませんね…。
最後はハンカチも鳩も出なかったし。


鳩は出たことないよ!(笑)。
いや、後半にステージの片側へ寄っていくところとか、
やっぱり演出、動きが洒落てて上手いなあ~と。


3曲目に限らず曲が変わって移動するのが見事!
「え? いつの間に?!」みたいな(笑)。


動きと音楽がちゃんと密接していました。
動いても音楽が乱れませんでしたし。


イタい感じがしないんですよね。


そうそう! 
見ていて恥ずかし~って感じがしないんだよね。


カッコ良く、自然にやっていました。

 

 

ああいう演奏をぜひ大学生たちに観て、聴いて欲しいなあ。

自分たちの演奏が終わったら、

すぐうどん食べに行くんじゃなく(笑)。


コンクールの8分30秒を
「自分たちのステージ」にしていましたね。


その自分たちのステージで
激戦区を勝ち抜いて、
そして全国でも金賞という評価を得るのが凄いな…と。
狙ってもなかなかできるものではないから。


うらやましい・・・そうなりたい!


3曲ともスタイルが違う曲を演奏するのが良かった。


毎年楽しませてくれるので嬉しいです。




<文吾からひと言>


アンサンブルVineさんの紹介記事です。(一番下)
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/11/11/171405


Vineさんを聴いていると思うんですけど
他の団体で基礎力が足りない故の、過剰な感情。
技術が無い部分を、
情熱で補おうとする演奏を聞いたりするんですが。
そういう余計な感情は
曲を損なってしまう時もあるんじゃないかな~?と
Vineさんの演奏で思ったりします。
ある意味、過剰な気合、気負いはいらない?!


もちろん情熱的な演奏もそれはそれで好きなんですけど
それとは違った魅力がVineさんにはありました。

他の参加者の

「気持ちも大切だけど、
 気持ちを伝えるには技術が必要」

「技術的な裏付けがあるから、
 それにふさわしい曲をやる」という発言に納得です。


こちらの団体もまいさんと同じく
コンクールではなく演奏会の雰囲気。
これからも「自分たちのステージ」を楽しみにしています。
あ、鳩はこれからも出さなくて結構ですから(笑)。



 

 



そして2014年室内部門観客賞第1位!



女声合唱団ソレイユ

 

 

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うまかったっす!


上手かったねえ~。


やあ、上手でした。


なんでもできる合唱団ですね!


安心して聴けるもん!


課題曲「ゆうやけ」を、鑑賞するのではなく、
「ゆうやけへ向かっていく」ような歌い方がとても良かった。


すごいキレイな日本語で演奏されていて・・・あの、
松原のぶえで「おんなの出船」って曲があるじゃないですか。


あるじゃないですか、って言われても(笑)。


その曲の最初が「涙 涙 涙 涙」って
涙を4回歌うんですけど、
その「涙」をすべて変えなきゃいけない。
4回すべて違う言い方、歌い方じゃなきゃいけない。
ソレイユさんはそれぞれの場面で
「ゆうやけ」という言葉を
ちゃんと歌い分けていた、あれが凄かったですね。


なるほどねえ~。


音のグラデーションがありました。


一番納得した演奏でした。


この課題曲1曲でお腹一杯になりました(笑)。




<自由曲>

自分たちのスタイルを持っている団体だから
タイプが違った曲でも
ちゃんと歌えるんだなあ、と感心しました。


やっぱり引き出しが多くて
いろんな面を見せてくれる団体が
印象に残りますね。
これもできるし、あれもできる。
全方位的に引き出しを見せてくれる団体がソレイユさん。


そう! カライはカライで妖しい魅力が出ていたし、
リンコラはユーモアがあふれて、
ちょっと笑えちゃったし…。


そうだなあ、「これは得意だけど、これは苦手!」と
ハッキリわかっちゃう団体は、ね。


こういう曲は得意じゃないんだろうけど
変化を付けるために選んだんだろうな…とか。


それ以上いけない(笑)。


曲に合わせて声や表現を変えていくのが上手いですよね~。


あのさ、上手い団体って
「もの凄く高価で上等な赤の絵の具を持っている」
ようなもんでしょ。
でも、青や黄色が必要な時にも
「高くて上等だから!」って
赤い絵の具だけを使っちゃう団体もあったりするんだよね。
ソレイユさんはそこが違うな~と。


油絵も描けるけど水彩も描けるみたいなイメージですよね。


そういう感じだよね!


いろいろ変化はするんですけど、
その変化も自然な感じで
わざとらしさがなかったのが良かったです。


ソレイユさん、去年ぐらいから印象が変わって。


ほう?


演奏に気負ってるものが減って
肩の力が抜けてきたような気がするんですよ。


あ~、なるほど。


去年一皮むけて、
さらに今年、もう一皮むけた気がします。




<文吾からひと言>

ソレイユさんの紹介記事です。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/11/07/212515



ちなみに公式な審査結果でも金賞1位のソレイユさん。
課題曲の「ゆうやけ」は軽さと音楽のなめらかさがさすが!

自由曲1曲目のカライ「「Éjszaka(夜)」は
フォルテッシモの響きが厚く、
音の束を感じさせ。

2曲目のリンコラ「The Joiku」では
技術だけではなく、
ポピュラー的な上手さ、楽しさも聴かせてもらえました。
正統派の合唱だけではなく、
ミュージカル、ジャズなどをやってきた成果が
このコンクールのステージでも生きている印象。

これからも技術を誇示せず、
耳にすっと入っていくような、
多彩で合唱音楽の良さを伝えてくれる
素敵な演奏を期待しております。





(つづきます)