宝塚国際室内合唱コンクール感想 その1






2015年7月25日

清荒神にある宝塚ベガホールで行われた
宝塚国際室内合唱コンクールを聴いてきました。

大変今さらですが
曖昧な記憶の中から、
ざっくりしたレポートをお送りします。
(スミマセン…)

 

 

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審査結果はコチラ。
http://takarazuka-c.jp/page0231.html



<ルネサンス・バロック部門>
7団体が出場。


指揮者が振られる団体がいくつかあり、
演奏のいわゆる上手さ、音程の精度などは別にして
その場その場の空気を感じ、
微妙に変化する歌い手の主張に対し、
指揮者はそれにどう対応するか?というのが気になりました。

100回演奏しても100回とも同じ演奏なんだろうな。
わずかな揺れも許さないのか、
それすらも指揮者が決めているのか…
そう思わせる団体はいくら上手く聞こえても、
私には面白くなかったです・・・。

反対に、歌い手それぞれの主張をまとめ上げられない、
(単純に練習不足だったのかもしれないけど)
野放図に聴こえてしまう団体にも
指揮者の役割を考えてしまったり。


そんな中、大阪の Voces Ksa:na(20名・銀賞)は
ヴィクトリアやパレストリーナを演奏。
ソプラノを筆頭に音楽の細かな変化を
声楽的に変えられなかったので
全体的に表現がモノトーンになっていたりしましたが、
歌い手と指揮者が「会話」している印象が一番あり、
とても良かったです。
曲との間や曲の終わりには
もっと神経を遣った方がいいかも。
ただ、音楽の始まりの鮮烈さや、
イメージ、音楽の移り変わりも好印象。




金賞のJohor Bahru Chamber Choir(マレーシア) は
女性指揮者。
澄んだ柔らかな響きが魅力の団体です。
声楽的に実力はかなり高いのだろうけど
それを誇示しない印象。

ヴィクトリアのAve Mariaはちと表情付け過ぎ?(笑)

パレストリーナのSicut cervusは
発声の高いポジションが曲に合っています。
年代は比較的高いようなのに
学生の団体みたいに聴こえる面白さ。

John FarmerのA Little Pretty Bonny Lassは
テンポは速めでリズミカルに。
各パートに統一感があり、
やはり高いところで響く発声が
ヨーロッパの少年少女合唱団のような。
この3曲目で調子を上げ、
聴いて気持ち良い終わり方!



ルネバロ部門と同時に近現代にも出場した団体があり、
近現代は違和感無く上質な演奏だったのに
ルネバロでは指揮者に疑問を持ったり。
例えば指揮者の描く音楽と
実際の合唱の音楽のサイズが違うのでは?とか
合唱から出る自発性を伸ばし、整理しているか?など。

出場数の違いで難しいとは思うけど
ルネバロ部門を最後にやった方が
指揮者の実力が露になるのでは?などと考えたりも。





<フォークロア部門>
4団体が出場。

 


この部門は今回面白かったですね!
4団体、すべて個性があり、
コントラストのある選曲が良かったです。
どれも初めて聴く団体で、
これからを応援したくなる合唱団ばかりでした。



金賞のAleron (フィリピン)は
20名からなる若者の男声合唱団。

カウンターテナーを駆使する面白いスタイルで
爽やかに、そして時にウケを狙うステージで楽しい!

最後の3曲目はガムランを連想させる速いテンポで
足踏み、クライマックスはリズムに乗って叫び声!
男声ってこういうのサマになるよな、ズルいよなあ(笑)。

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残りの銀賞は日本の混声3団体。
まず、 室内合唱団“零”(広島県)。
今を時めく縄裕次郎さんの指揮で。
清水脩作曲「台湾ツウオ族の歌」。
“零”は3部門全て出場していたのですが、
賞が示すようにやはりこの部門の演奏が一番良かった!
ただ、歌い込みにやや難があり、
この部門だけ、あるいは2部門に絞れば金賞を狙えたかも…。
明るい声と良い雰囲気。
リズムが的確で、清水脩の独特のムード、
世界を音でしっかりと描いた演奏。
MItogutsuが特に良かったです。
こういう昔の名曲を掘り起こすのはイイですよね!




同じく銀賞の
Orphe Choirs (大阪府)は山口英樹先生の指揮。
柔らかで上質なハーモニーを保ちながらも
主張するところは主張するのが山口先生の音楽らしい。
アンサンブルVineの過去の演奏曲と同じ曲は
やはりVineの印象が強いかな・・・と思いつつ
Jaakko Mäntyjärvi作曲
「Herr Olof」(ウーロフと人魚)は
その繊細さ、音楽の滑らかさ。
フレーズの中の力感が丁寧で
ヴェルベットのような上質な演奏。
真ん中の「アヴィニョン橋の上で」は凝った編曲が興味深く。
ピアニッシモからメゾピアノまでの
ダイナミクスの階層がこれまた丁寧。
これからもっと伸びていく印象の団体でした。


4団体中、一番気に入ったのは
京都の大学生、元・大学生を中心とする
Ensemble Musicus (京都府)。
メガネイケメンの堀雄紀さんが指揮・・・だけど
その指揮も端でさりげなく。
しかし指揮者のクセのある声が
ノルウェーやフィンランドのフォークソングに合ってたり。
さらにはソリスト以外後ろを向き、
振り向くタイミングの妙、
ステージ上の移動も面白く。
曲間の移動が駆け足だったり、
その間ずっとピッチパイプを鳴らし続けていたり。
演奏だけでは無く、ステージ上での振る舞いも
エンターテイメントとしてよく練られている!
サウンドとしても地声とそのバランスを追及している印象。

最後の松下先生、狩俣ぬくいちゃも鮮やか! ブラボー!





(つづきます)