「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2015」(その5)

 




前にもご案内しましたが



大職一部門の全国大会入場券の申込期間を

「11月12日(木)」まで

 

 延長します。

 

・・・とのことなので

 

 

 

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素敵なチケットを入手して(笑)
長崎へ行きましょう!

 

さあ、今すぐ ↓ のリンクで入場券購入方法を!
入場券販売案内
http://www.jcanet.or.jp/news/nyujouken.htm


 

 


今日は2団体をご紹介します。
1番目の団体は、
「コンクールを忘れさせる」と評判の…この団体です!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




7.長野県・中部支部代表

合唱団まい

(混声19名・7年連続出場・49回大会から13回目の出場)



昨年、観客賞2位のまいさん。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/12/25/062109

他の団体は「コンクールだっ!」って感じがするけど
まいさんはサロンコンサートのような印象です。

 

その印象のまま、ピアノの平林先生は指揮者じゃなく
テノールとアイコンタクトして弾き始めたり、
指揮者の雨森先生は当然のように合唱団の中で歌っていたり…。


そんなまいさんの今年の課題曲はG2 Auf dem See
(Johann Wolfgang von Goethe 詩/Felix Mendelssohn 曲)
他の室内混声の7団体がすべてG1なのに!

 

そして自由曲はJ.BRAHMS作曲
Liebes Lieder Op.52 (愛の歌)
Neue Liebeslieder Op.65 (新・愛の歌)より

1.Verzicht, O Herz, auf Rettung (救われるとは思うまい)
8.Wenn so lind dein Auge mir (汝の瞳がやさしく
8.Weiche Graser im Revier (山林の柔い草地)
10.O wie sanft die Quelle (泉は草原を通って)
5.Die grune Hopfen-ranke (緑のホップのつる)
16.Ein dunkeler schacht ist Liebe (愛は暗い杭)


おお、昨年のブラームス「ジプシーの歌」に続き、
今年もブラームス! そして「愛の歌」!



まい団員のみやさんにお聞きしました。

 


ルネサンスもの、邦人作品を
ずっと歌ってきた合唱団まいですが、
表現の幅を広げたいということで、
ドイツ・ロマン派に取り組んで3年目。

一昨年(4つの四重唱曲op.92)、
昨年(ジプシーの歌)に続いて、
今年もブラームスの重唱曲、ワルツ集「愛の歌」から
6曲を抜粋しました。
石の上にも三年。
ようやくドイツ語が身体に馴染んできた感触があります。

今回は結果的に、課題曲(G2、Auf dem See)含めて
全てドイツロマン派、かつワルツ系の曲となりました。
ドイツ語ならではの言葉の彫りの深さを活かし、
場面に応じた音色の使い分けができればと思います。

また自由曲は、ピアノが連弾のため、平林先生に加え、
雨森先生に弾いていただき、指揮者なしで演奏します。
重唱曲の本来のスタイルに近い形となりますので、
室内楽らしいアンサンブルの妙味を
ぜひ楽しんでいただければと思います。

 

 

おおお、そうですね、課題曲と自由曲が
同じドイツロマン派かつワルツ系!
そして、なんと平林先生、雨森先生のピアノ連弾!
・・・これって本当にコンクール?(笑)

なんだか凄く楽しみなような、怖いような…。
ワクワクとドキドキを同時に感じながら
合唱団まいさんの「我が団のこの人!」です。

 

 

今回はまいの大御所「しんさん」をご紹介します。
しんさんは御年68歳、パートはベース。
この情報社会において、PC、携帯といったIT機器はおろか、
銀行カードすら所有されないという稀有な存在です。
連絡を取りたい場合は行きつけの
伊那の居酒屋「あぶらや」にかけるのが確実です。
「俺は伊那節で育った」と豪語されており、
小さなことに囚われない大きな心の持ち主であるため、
西洋リズムはちょっと苦手ですが、
歌心は他メンバーの追随を許しません。
必殺技として、テンポの速い曲で頻発する「ここは任せた」と、
ツボに入ったときに発動する「しんさん節」があります。
「しんさん節」は威力絶大、まいの女声陣の心を掴んで離しません。
まさに、精神的にも音楽的にも
まいを土台からささえる大御所「しんさん」、
長崎での活躍をぜひご期待ください。

 

うははははは(笑)、
しんさんの「必殺技」に爆笑してしまいました(笑)。
いいなあ~、しんさん。
これからまいさんのステージでは
ベースを注目してしまいそうです!



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 しんさんはどこに?!

 

 

 


まいさんのステージを体験すると
「コンクールならではの表現」や
「コンクールならではの緊張」って
意味が無いことなんじゃ・・・と思ってしまいます。
いや、そうなってしまうのも十分理解しているのですが。

「コンクールだろうと演奏会だろうと
 歌うことはいっしょ!」

…とばかりに、気負いを見せず、
音楽へひたすら身体と心を傾ける、
そんな、まいのみなさんには笑顔とともに
羨望のまなざしを向けてしまうのです。

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて初出場の団体です!


 


















8.新潟県・関東支部代表

越の国室内合唱団 VOX ORATTA

 

(混声24名・初出場)

 

 


初出場おめでとうございます!
VOX ORATTAさんの演奏は残念ながら
今まで聴いたことは無かったのですが
VOX ORATTAさん常任指揮者である
仁階堂孝先生の指揮で他合唱団の演奏を何度か聴き
端正で大変魅力あふれる音作りをされる指揮者として
非常に印象に残っております。



越の国室内合唱団VOX ORATTAさんの課題曲はG1 
Super flumina Babylonis 
(Giovanni Pierluigi da Palestrina 曲)


自由曲はB. Chilcott作曲「Weather Report」
J.Elberdin作曲「Segalariak」


リズミカルな音楽に
チルコット特有のジャズ風なハーモニーが楽しい
「Weather Report」
バスク地方の伝統的な牧草刈りがモチーフで
リズムに乗った民族音楽風のとても愉快な「Segalariak」

若い団員さんが多いと思われる
越の国室内合唱団VOX ORATTAさんの
爽やかな演奏を期待してしまいます。


指揮者の仁階堂孝先生に
選曲の理由をお聞きしました。

 


まずは、自己紹介です。

初めまして!
新潟県長岡市で活動をしております、
越の国室内合唱団VOX ORATTA
(「おらった」は越後の方言で
「わたしたち」 『わたしたちの声』という意味.)です。
東日本大震災直後の2011年4月に、
『新潟県から日本を元気にしていこう!』
との想いから創設された、混声室内合唱団です。
全日本合唱コンクールには、5度目の挑戦で
初の全国大会への推薦をいただきました。
皆様、以後お見知りおきを!



課題曲:
私たちが日々取り組んでいる全ての楽曲の流れの源は、
ヨーロッパの諸聖歌に遡ることができると考えています。
そして、その祈りの「ことば」を美しく着飾る目的で、
多声音楽が生まれ、ノートルダム楽派、
ブルゴーニュ楽派を経て、フランドル楽派によって、
その作曲技法は一つの頂点を迎えます。
その最高峰の作曲家として、
「パレストリーナ様式」と呼ばれる模範を生み出した、
Palestrinaの楽曲を演奏し学ぶことは、
今の若い世代には必要不可欠との想いから選曲しました。
私が大学生の頃(1986年)にも課題曲
(当時は選択曲と呼称されていましたが。)
として採用されたSuper flumina Babylonisを、
様式観に裏打ちされた音響として再構築したいと考えております。



自由曲:
VOX ORATTAがこの数年において飛躍的に伸びた背景として、
やはり2013年から信長貴富氏のシアターピースに
継続的に取り組んできたことが挙げられます。
年間1千時間を越えていく準備と稽古に臨む中で、
各自が一人きりの表現を模索し、Soloを担当し、
「演ずる」ということ、演劇用語でいうところの
「客にかける」ということを視つめてきました。

そのために、VOX ORATTAでは、
普段演出なしで演奏する楽曲を選曲する際にも、
できるだけ個での表現力を要求される、
声部数が多く、かつdivisiの多い楽曲を選ぶ傾向が強いです。
そして同時に、メッセージ性の強い楽曲を選曲し、
その楽曲に込められた「想い・願い」を
より多く聴き手に伝えることが叶うように、
歌い込んでいます。

昨年の全日本合唱コンクールにおいて自由曲として選曲した

信長貴富 「廃墟から」無伴奏混声合唱のために より
第二章 ガ島前線
第三章 葬送のウムイ

では、7名のソプラノが
5つにdivisiするという演奏箇所もあり、
23名で13~14声部を歌いきることは本当に勉強になりました。
なおかつ、太平洋戦争の激戦地や唯一の地上戦となった
沖縄をテーマとしたうたを歌うことで、
「生きるための問い」を合唱音楽として伝えることは、
VOX ORATTA(わたしたちの声)を
より色彩豊かにすることができた取り組みでした。

本年取り組んでいるWeather Reportは、
常時8声に分かれ、最大で11声部で
音響を奏でられることもあり、
引き続き「わたしたちの声」を追究するには、
ぴったりだったわけです。
イギリスの天気にまつわる伝承を、
ユーモアとウィットに富んだ語り口で伝えることは、
(母語でない英語という言語ではあるにせよ)
本当に難しい作業ですが、引き続き、
VOX ORATTAの新たな色彩感を引き出してくれました。

また、ご存知のように、Segalariakは、
バスク地方の草刈り大会のワクワクした様子を
表現した楽しい楽曲です。
こちらも、バスク語での演奏になりますが、
「客にかけた」LIVE感満載な音響表現を
目指したいと考えております。

 

 

「年間1千時間を越えていく準備と稽古」!
「シアターピース」については
宝塚国際室内合唱コンクールで
シアターピース部門がある関係で
私もこんな記事を書いたことがあります。

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/08/09/060057

2014年の「ハーモニー 169 夏号」で
「続・日本の作曲家シリーズ」で寺嶋陸也先生の特集の中、
座談会で合唱指揮者:藤井宏樹先生のご発言を引用すると


藤井 ぼくもシアターピースをやってみて、
   やる前とやった後では、
   使用前使用後じゃないけど(笑)
   歌手としての能力が全然違ったな。
   ただ単に音を取り、和声はこうだよ、
   発声はこうだよ、って
   コンクール的に勉強していっても
   得られない歌手としての能力、
   人としての能力っていうのかな。
   音楽と共に生きていくということを
   高めていく方法としても素晴らしいと思うんです。


ORATTAさんが表現として求めるものの中に
シアターピースを選ばれているのも
藤井先生のこのようなご発言があるのでは。


さらにこの全国大会に対する意気込み
(もしくは目標や志)がありましたら…には



信長貴富氏のシアターピースに
継続的に取り組んできたVOX ORATTAですが、
2年以内の上演を目標に、
(長岡)空襲と戦没者を悼む(長岡)花火を題材にした、
信長貴富氏の新作シアターピースの上演を致します。
長岡空襲の史跡を巡るフィールドワークを企画するなど、
上演のためのバックボーンを太らせているところです。
唯一の被爆国である日本における、ボックスカーにより
「ファットマン」が投下された地「長崎」は、
メンバーにぜひとも感じておいてほしい場所でした。
(本来「ファットマン」は長崎でなく、
 仁階堂の出身地・福岡の小倉に投下されるはずでしたので…)
その長崎で歌えることを誇りに想い、かつ観光のみでなく、
フィールドワークをしてスーツケースを重くして
これからのシアターピース上演に備えたいと考えています。

 

 


他に聴く人に伝えたいことがありましたら…には

 


本来合唱音楽は、それぞれの土地土地で、
その地域に住まう人が、
そこに住まう人と声を合わせ、
そこに住まう人に聴いていただく、
Localな営みであると考えます。
本来なかなか出逢うことのできない人同士が、
全国大会でお互いの演奏を聴きあい、
それぞれの団体の良さを見つけあう機会をいただけることは、
なんと幸せなのでしょうか。
できたら、皆さんが私たちの演奏を聴いて感じたことを、
ぜひお伺いしてみたいと思いますし、
たくさんお話しをしたいと考えています。
VOX ORATTAのメンバー(仁階堂も!)は、
首からVOX ORATTAの名札を下げていますので、
どうぞお気軽に声をかけてくださいね!
夜の長崎の街でも、名札は下げるようにしますので、
すれ違う際には「ハイタッチ!」を交わしていきましょう!!

 


ははは(笑)。
長崎の夜の街は狭いですからね!
思案橋付近でORATTAさんの

名札をかけている方を見かけたら
「ハイタッチ!」してあげてください!(笑)



最後に越の国室内合唱団VOX ORATTAさんの
「我が団のこの人!」です。

 

創設5年目での全国大会初出場が叶ったのですが、
ここは創設から4年間初代団長を務めた
E君を紹介しておきたいと思います。

2011年の冬~春にかけて、
当時新潟県上越教育大学混声合唱団の学生指揮者だったE君と、
「卒業してもアイデンティティを発露させながら
 歌い続けられる合唱団を創りたいね。」と夢み、
様々語り合ってVOX ORATTAの創設に向けて準備してきました。

とにかく、
・周りに迷惑をかけないようにしよう。
・苦労してこそ上手くいった時に喜びがある。
ということで、
E君と話し合いを進め、
僕たちの出身大学のある上越市から80キロ、
合唱人口の多い県都新潟市から60キロ離れた、
知り合いもほぼいない新潟県長岡市に於いて、
2011年4月23日に、VOX ORATTAは創設されました。

わずか数名からのスタートだったのですが、
初代団長となったE君の熱意とその熱意に絆されて
信越地区から集まったメンバーの努力が実り、
着実に力を着けてきました。

現在、遠く福島県・山形県・長野県etcから

通うメンバーがいるのも、
彼女の魅力ととことんまでフォローできる
彼女の粘り強さ・ひたむきさの賜物です。
日本の合唱音楽が世界に誇れるレヴェルになったのは、
優秀な指導者の成果でもなんでもなく、
E君を始めとする、今この文章をご覧の、
熱き合唱人の積み上げた「うた声の重層」によるものだと、
僕は常日頃考えています。
同時代を生きる全ての世代の合唱人に感謝を申し上げます。
そして、E君、ありがとう!
さて、E君はどこにいるでしょう?!


文責/VOX ORATTA常任指揮者 仁階堂 孝  

 

 



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仁階堂先生、熱いお言葉をありがとうございました。
私自身が「熱き合唱人」かどうかは心もとないのですが
身が引き締まる思いをしました。


熱い仁階堂先生、そして熱いEさんはじめ
シアターピースで鍛えられたVOX ORATTAさんの演奏を
聴かせていただけるのが今から楽しみです!



 

 

 




(明日に続きます)