アカデミー短編実写映画賞「合唱」は考えさせる

 





全日本合唱連盟のツイートにこんな情報が。



ほお! …と思ってトレーラーを観てみると、
なんとそのまま本編が観れてしまいました。
しかし、おそらく違法アップロードだしなあ。
ブログで紹介するにはちょっと・・・
と悩んでいるうちにトレーラーごと削除された模様。

なんだかホッとするとともに、残念な気も。
時間は25分無いぐらいに短いのですが
観終わった後、誰かとこの作品について
語りたくなる内容だったのです。


そして今日になったら
うたと合唱とオペラの雑誌「ハンナ」さんが
こんなツイートを。




ハンナさん、ナイス!
消されてしまった本編は英語の字幕でしたが
これは日本語字幕なのでわかりやすい!


アカデミー実写短編映画賞を受賞した
ハンガリーの作品「合唱」(原題はMindenki)。
90年代のブダペスト、
有名合唱団に入団した10歳の少女が見た真実とは?

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↓ 以下、ネタバレのため、観ていない方は
  読まれませんよう。

 





自分は観終わってため息をつくとともに、

「こども側の気持ちはもちろん共感できるけど
 自分が大事なコンクールを控える指導者だったら
 似たような指示を出さないとも限らないな…」と
自身の心の弱さに哀しくなってしまいました。

この場合は「ある程度歌える、複数の生徒」だから
口パクの理不尽さが際立ちますが、
これが「一人の並外れた音痴」だったら
私はこの指揮者と似たような指示を出さないか?と。

「周りの音をもっとよく聴いて!」と
言い方は変えるかもしれませんが、
本質的には「声を抑えて!」と
同じような意味合いで指示してしまわないだろうか? 

そして大事なことは「音痴の一人」の声を、
歌が上手い子と同じように大切に思う、
確固たる信念と理由は自分にあるか?
…などと自問自答してしまったのですよね。


また、原題の「Mindenki」、
英語では「everyone」という言葉も
この作品のテーマを伝えてきます。
口パクを告発する少女に対し、指導者は
「これはみんなの為になるの」と説得します。
合唱に限らず、さまざまな場で聞かれる「みんな」。

「みんな」は本当に「全員」なんだろうか?
「みんなの為」にしたことは、
本当に「みんな」に返ってくるのだろうか?

…そんな問いが浮かんできました。



実話を基にしたというこの作品。
ラストは指揮者にとっては悪夢そのものでしょう。
自分にこんなことが起こったら、
もう二度とステージに立てなくなる気がします。

とてもキツイ内容の「合唱(Mindenki)」。
短い作品ながら、
長く自分に問いを与えるものになりました。