観客賞スポットライト 室内合唱部門 その1

 

 

 





大学ユース部門の後は69分間の休憩。
ここで大会初めて?の客席入れ替えがあります。
続けて聴かれる方は荷物を置いていかれませんよう!

 

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さて、14:30から24人以下の室内合唱の部です。
チケットは・・・まだ購入できますね!

 

 

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全日本合唱連盟 入場券販売案内




室内合唱の部、なかなか面白いですよ。
もちろん「勝負!」という選曲も良いのですが、
どちらかというと一般の人も楽しめるような選曲も多く、
そしてなにより
「この音楽を楽しんでるんだ!」という雰囲気が
伝わってくる団体が多いのも特徴です。

大学生のみなさん、観光は月曜日以降に取っておいて
審査発表まで室内部門を聴いていくのも手!…かもよ?



それでは室内部門に出場の団体をご紹介しましょう。

14:30から始まる室内部門、最初の団体は、
広島からはじめましてのこの団体です!

 

 

 

 

 



1.広島県・中国支部代表


室内合唱団“零”

(混声15名・初出場)


 


初出場おめでとうございます!


”零”さん、課題曲はG2のプーランク。
そして自由曲は…。

 


指揮者の縄裕次郎さんからメッセージをいただきました。 

 

 

室内合唱団”零”は、
2013年に広島で質の高い演奏をしようと
結成された団体です。
インドで0が発見されたように、
今までない新しい価値観を生み出したいと
“零”と名付けられました。
時々、澪や雫と間違えられます。

レパートリーは、邦人作品ではこれまで、
《無伴奏混声合唱のための『蝶を夢む』》(西村朗)や
東混の記念すべき初めての委嘱作品
《台湾ツウオ族の歌》(作曲:清水脩)、
合唱団響委嘱の《古代エジプト恋愛詩集による
無伴奏混声合唱のための「5つのマドリガル」》など、
秘められた名曲を中心に演奏してきました。
外国語曲も、
TROIS PSAUMES DE DAVID (曲:Darius Milhaud)や、
Lamentation of Jeremias Prophets
(作曲:Alberto Ginastera)など、
日本ではなかなか聴くことのない曲を取り上げています。
(これらの演奏はすべてYoutubeで聴くことができます)

そんな“零”が今回取り上げた曲は、
千原英喜先生の書かれた
《混声合唱の為のピエタ -隠れ切支丹二つの唄-(初稿)》です。

さて、この曲、Wikipediaにも
千原英喜作品総覧にも書いてなければ、
パナムジカの入荷の予定もない。
どうやら隠れ切支丹シリーズだと思われるが、
もしかして新曲委嘱なのか!?
と思われた方もおられるのではないでしょうか。
いえいえ、違います。
なんとこの作品、千原先生が学生の時に書かれた作品なのです。
はっきり言います。この作品は凄いです。
間宮芳生先生の影響を
囃子言葉や音の選び方などに色濃く見せつつ、
天才千原英喜ならではの世界観
(後に千原ファンタジーとなる)が至る所に垣間見え、
なおかつ一音一音が濃密に書かれているため、
長くはない作品なのに重量感があり、
楽譜を何度読んでも常に新しい発見がある…。
松原千振先生がこの作品に出会ったことがきっかけで、
後にこの作品がかの有名な
《混声合唱のための『おらしょ』》に繋がっていき、
今日の千原作品の数々があるのです。

さあ、皆さん、聴きたくなりましたか?
“零“は室内合唱部門の1番目です。
昼御飯は早々に切り上げて、
ぜひ室内合唱部門、頭から聴いてくださいね(^^)

 

 

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縄さん、ありがとうございました。
この曲を予備知識なく初めて聴いた時、実は私、
「…千原作品の集大成みたいだなあ!」と
感じたのを憶えています。
でも最近の作品ではなく、原点だったのですね。
「作家の処女作には、
 その作家の全てが詰まっている」という言葉がありますが
処女作とは違っても、それが感じられる作品です。

千原作品を演奏したことのある方も多いでしょう。
これは頭から聴くしかない!(笑)


室内合唱団”零”さんの演奏は
昨年の中国支部大会で聴かせていただき。

音響から言葉を立たせるセンスの良さ。
課題曲自由曲タイプがまったく違う3曲を
それぞれ見事に雰囲気を醸し出していたのが素晴らしい。
自由曲の選曲も個性あるもので、
「他と違うことをする」というのは創作者として
とても大事な姿勢だと思います!

…などと感想を残していました。

意欲ある若い指揮者と合唱団が全力で挑む
巨匠若かりし頃の作品演奏に期待です!




 

 


続いては北海道から
雪を思わせるクリスタル・ヴォイスの女声合唱団です。


 

 

 

 

 

 

 


2.北海道・北海道支部代表

ウィスティリア アンサンブル

(女声17名・2年ぶりの出場・60回大会から8度目の出場)




藤岡直美先生が指導された
枝幸、岩見沢、札幌の中学校OGの合同団体。
今年で結成17年目です。
以前は「枝幸ジュニア合唱団」という団名でした。

年月が経つにつれ、
その透明な声はそのままに、表現には幅が出てきた印象。


ウィステリアさん、今年の課題曲は
F1 Ave regina caelorum (Orlande de Lassus 作曲)

そして自由曲はみなづきみのり詩
松下耕作曲「うたおり」から
「薔薇」「戦場」

「薔薇は知っていた…」と始まる
秘密の哀しさを花弁に含んだ潤いある旋律。
そして「戦場」のストップモーションで止められたような
死の風景の残酷さと、余韻。
松下先生の作品の中でも人気の曲ですが、
ウィステリアさんならきっと
説得力ある演奏を聴かせてくれることでしょう。









続いては毎回観客賞で大人気。
特に昨年は信長先生の「唄」で聴く者の涙を誘い、
全50団体の中で一番の「観客大賞」も受賞。
そう。熱く、心を掴む団体と言えば・・・。










3.長野県・中部支部代表

合唱団まい

(混声22名・9年連続出場・第49回大会から15回目の出場)


 


まい団員さんからメッセージをいただきました。

 

 


課題曲はG4「まぶしい朝」を選曲させていただきました。
新しい年のはじまりの朝の清らかな空気、
希望に満ちた光を、
合唱団まいは20代から60代がうち揃う
無差別級テノールを皮切りに歌い上げます。

それぞれ回数は違えども!
これまでに私たちが迎えてきたまぶしい朝の数々を、
ホールいっぱいにお届けします。
指揮者 雨森先生、ピアニスト平林先生とともにお送りする、
表情豊かなアンサンブルをお楽しみいただけましたら幸いです。


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自由曲
Lagrime d'amante al sepolcro dell'amataより
第3部、第4部、第5部

モンテヴェルディをうたうと、
心が研ぎ澄まされるような感覚があります。
言葉以前に、私たちの心に直に響いて
火をつける不思議な力があるような。
創団以来、まいは、その力に魅了され続けてきました。
「さあ、もっと語れるだろう? もっと自由に、美しく!」

懸命に背伸びをするたび、
私たちの耳元にそっと囁いてくれる
この天才作曲家の声に励まされ、
私たちは少しずつ少しずつ成長してきました。

自由曲のLagrimeは、
モンテヴェルディが最愛の妻クラウディアと、
自身が実の娘のように大切に育てた
歌姫カテリーナを相次いで亡くすという
悲劇に見舞われた後に書かれた作品です。
マントヴァ公の命による作ですが、
モンテヴェルディがこの2人のミューズへの
深い愛情と哀悼の意を
この作品に昇華させたと考えるのが自然です。

各声部が互いに寄り添い、絡み合い、呼び交わして紡がれる、
五声マドリガーレの最高傑作。
合唱団まいは、25年の歴史の中で、
このLagrimeを演奏会で四度取り上げ
全曲演奏させていただきました。
しかし、どれ一つとして同じ表現はありません。

より、自由に、美しく。心の流れるままに!
合唱団まいが最も愛するモンテヴェルディ作品である
ラグリメを、私たちは、芸劇のステージで
全身全霊をこめて演奏させていただきます。

最後に、合唱団まい一同より。
モンテヴェルディのおいちゃん!450歳のお誕生日おめでとう!

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演奏会の前夜祭(!)だそうです。

 

 


まいさん、昨年の課題曲は
G1のモンテヴェルディだったんですが
その熱さ!人間臭さ!
休符をもため息と感じさせる大人の演奏。
ピアニッシモの音量ももちろん、
弱音にふさわしい音色、
なぜ弱くなる表現なのか?が
実によく考えられている演奏で、
たとえば旋律の減衰が
「心を残しながらも裡に沈んでいく…」
そんな印象を受けるのは、まいさんならでは。
年齢を重ねた先で、
やっと指が届く表現が存在する。
まいさんの演奏を聴いているとそんな思いが浮かびます。

今回は自由曲がモンテヴェルディ。
「愛する女の墓に流す恋人の涙」は
今までなんと4回演奏されたとか。

「合唱団まいが最も愛するモンテヴェルディ作品」

ここまで惚れ込んだ曲の演奏に
大いに期待が高まります!




(明日に続きます)