観客賞座談会:大学ユースの部 その5

 

 

大学ユース部門、
印象に残った団体の続きです。


 



山口大学混声合唱団
(混声37名)

 

 

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藤田卓さん…
学生指揮者でここまでがんばったのは凄いな。


指揮者はプロで
発声も音作りも大人な団体が増えてきたし、
そういう並びで聴いてしまうと
「…うーん」と思うし、
学指揮で張り合おうとするのは難しいんだけど、
全然上手な演奏なんだから
これからも自信をもって活動して欲しいな。


ソプラノ弱いな~とかあったけどね。


課題曲G2のプーランクは弱かったけど
自由曲はちゃんと聞こえたんですよ。


それは心理的な何か・・・。
たぶん自信の無さが。


あー、なるほど…。


この演奏で泣けちゃったんですよ。


一同 えっ?!


この曲はドイツの統治下、
フランスで作曲されたものなんですけど。


ヴィシー政権だね。


そういう不安感、不穏な感じが
とても演奏に出ていたと。


…それは演奏レベルの不安感じゃなくて?


違います!(笑)
あんまり声楽的に立派な発声で演奏したら
成立しない作品だと思う。
だから山口大の演奏はプーランクに合っていたのでは。


音楽上の各部の表現を
もう少し考えて突き詰めて欲しいと思ったけど
雰囲気は凄く良かったと思う。





自由曲1曲目
千原英喜作曲「鬼女」は?


その場、その場は一生懸命演奏しているけど
だからこそかな、
音楽が止まった印象なのは気になったな。


最後の音楽の高まりは良かったですね。


2曲目「わが抒情詩」は?


これ「六八九トリオ」みたいな曲だよね(笑)。


一同 「六八九トリオ」?


「永輔、中村大、坂本」の「六八九」。


あー、めっちゃわかる!
「上を向いて~あーるこう~~♪」(笑)
似てるねえ!


ああいう曲をやるなら
おそらく2つしか方法が無くて。
本当に歌謡曲としてベタな歌い方をするか、
距離を取って計算して、
一点だけを盛り上げるか。
ちょっとどっちつかずだったかな?


コンクールだからね、難しいな…。


この曲、好きなんだろうという
音はしていたよね。


一同 うんうん。


課題曲も含めてできてないところはいっぱいあるし、
声も足りないんだけど、
彼らなりにいろいろやろうとしていたことが
自分に入ってくるものが凄いあって
泣けてしまったんですよね。


同じことをぜんぱくさんも言っていたな。
「彼らなりの本当に訴えたい、
 等身大の音楽が伝わってきた」って。


好意的に受け止められる合唱団ですね。




《文吾の感想》

全体に曲の雰囲気を
上手くつかんでいた演奏だったと思います。

ぜんぱくさんの言う「等身大の音楽」というのは
本当に同意だし、
「仲間内で創り上げる音楽」が
非常に伝わってきました。
ただ、そういう音楽は内向きで
客席に向き合っていない印象にも繋がりやすく…。
その辺りが表現としての難しさですよね。

私含め、好意的な印象の人が多かったです。
山口大学混声合唱団のみなさん、
これからもがんばってください!













愛媛大学合唱団
(混声69名)



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課題曲G1、音自体は悪くないんだけど
音楽の推進力が弱かったな。


残念ながら各パートが
フレーズとして成立しにくい演奏で。


G1じゃなかったらもうちょっと評価が良かったかも。


課題曲と自由曲の差が激しい…。


そうそう、だからこの選曲はチャレンジしたのかな。


あえての挑戦かもしれないですね。


自由曲への並び替えが美しかったです。


そうだね!
欲を言えば横を向いて待つのは
止めて欲しかった(笑)。




自由曲
Vytautas Miskinis作曲「Gloria」


県大会より凄い良かったです!


2分ぐらいの曲だとワッと行けるけど
長い曲だと構成力というか
指揮者がどこまで考えているかが
出てしまう。
ただ各部の音楽を追っていくだけだと
ちょっと厳しいのかな。


「表現の最大値を大きく」ってメモに書いていて。
聴き終わった後「結局山場はどこだったの?」と
印象に残りにくいのはあったよね。


だけど学生指揮者の河野汐音さん、
かなり優秀な方だと思いますよ。
音楽のポイント、
効果を理解してちゃんと演奏に落とし込んでいた。


山口大も愛媛大も学生指揮者で銅賞だったけど…。


でも20年後にこの指揮者さんと仲間が
文部科学大臣賞を取るかもしれないし!(笑)


前例があるからね(笑)。


これからも合唱を続けて
がんばって欲しいな!




《文吾の感想》

真面目な印象の指揮者さんが
誠実に音楽へ取り組んでいた印象です。
課題曲、やはりこういう曲では
各パートの発声を鍛え上げないと
粗が目立ってしまいますね。
ただ男声の雰囲気、
ホモフォニックな箇所は良く、
最後の音楽の高まりも心に響きました。

自由曲は緊張感を保ち、
各部の音量など良くまとめていましたね。

なんでも愛媛大のみなさんは
演奏後も残って一般の部の演奏を
全部聴かれたとか!
その姿勢は、
今後の活動にきっと役立つと思います。



(北海道大学合唱団の感想に続きます)