観客賞座談会・大学ユースの部 その3

 

それでは2018年観客賞・大学ユース合唱の部第1位は!

 

 

 



Coro Ponte
https://twitter.com/coroponte

(混声36名)

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一同 拍手!


グランツェ、クライネスと100人以上の課題曲G4が続いて
36名…どうなるんだろう?と思ったら
ちゃんと音が届いてきました!


一同 そうそう!


船橋高校のOBOGさんで声が高校生っぽいのが
すごく課題曲に向いていましたね。
若さを前面に出していき、
等身大で青っぽいのが合っていました。


指揮者の吉田宏先生の振り方が
いわゆる声楽家が振られる指揮だったかな。


楽譜はiPadでしかも若くてイケメン! キャー!!


一同(笑)。


ピアニストの岩本果子さんのタッチが丁寧で良かったです。


最初、男声の発声が特徴的と思ったら
自由曲になってその特徴を抑えていたので
あの課題曲は「あえて」だったんだな。


爽やかさも感じましたね。


自由曲のウィテカー「Sleep」は?


上手でしたね。
ピアニッシモの美しさを
身を乗り出し、耳をすませて聴き入ってしまいました。


ピアニッシモをどれだけ美しく聴かせられるか?
という曲ですからね。
最後の最弱音なんて全員声出してんのかな?って。


一同(笑)


あそこで咳する客がいなくて良かった!(笑)


日本では「Sleep」を
息混じりで演奏する団体が多いと思うんですけど
ころぽんは息じゃなく明確に和音を意識し
ちゃんと声にしていたのが素晴らしかった。


ウィテカーの7度、9度の和音が
すごく綺麗に聞こえたよね。
海外の団体っぽい。


そこからのアタッカでラター「A Choral Fanfare」ですよ!


「Sleep」で眠りについて
ラターで
「おはよー!!!カンカンカン!!!起きて!!!朝だよ!!!!」


一同(笑)


文吾 いやこれはホントの話なんだけど、
   前の席のおじさんが「Sleep」で寝ちゃってさあ。
   寝息がけっこう響くから起こそうかな…と思ったら
   ラターで「うわっ!」って起きたもんね!


眠りにつかせるほどの「Sleep」だった!(笑)


「Sleep」冥利につきるね。
ウィテカーも号泣モノですよ、
「オレの作曲は間違ってなかった!」(笑)


一同 そうかなー?!(笑)


ラターがアタッカで始まったのもカッコ良かったし。
「来る!」とわかっていて「来た!」
映画やドラマと同じですよ。
ベタベタな展開だけど、これが来てくれて嬉しい。
わかってはいるけれど楽しいよね、俺は好きです。


声が強めでファンファーレに合っていたしね。


休憩中に友達が
「Sleepで終わった方が良かったんじゃない?
時間余ったからラター入れたのかな?」とか言っていて。


一同 えー?! 雑な意見!!


いや、あのラターがあってこその演奏でしょう!


そうだよね、ラターがあってこそ、Sleepが生きる。
Sleepがあってこそ、ラターが生きる。
狙い通りだったと思うよ。


大学ユース部門はたいてい組曲から
1曲か2曲を取り出す選曲だから
ころぽんのこういう選曲のサービス精神に
まんまとやられたなぁ。


課題曲含め3曲それぞれのキャラクターを上手くとらえて
魅力をちゃんと出していましたよ。


いわゆるひとつのプログラムビルディングの妙ですよね。


また来年も聴いてみたいと思わせる団体でした!





《文吾の感想》

課題曲はフォルテッシモの歌い上げに若さと勢いが。
そして神秘性まで感じさせる「Sleep」全体の響きの良さ。
初出場の勢いがそのままファンファーレで爆発する、選曲の狙いがぴったりハマった演奏でした!


メール投票では

 

大所帯の団体が続く中、人数は無関係だと示してくれたと思います。
課題曲の切れのいい表現とダイナミズム、そして自由曲の美しいpp.と、繊細に整えられた表現が豊富な練習量を表しているのでしょう。
団の成り立ちや設立/活動目的まで含めて今後も応援したくなる団体です。

 

 

ツイッターの感想では

 

バランスがよい。不協和音が心地よく決まってました。

 

部門の中では最少人数ながらも、それを感じさせない素晴らしい演奏でした。
特にWhitacreのSleepは弱声が見事で、ステージに引き込まれました(*‘ω‘ *)

 

Sleep(ウィテカー)息を呑むような最後の弱音本当に美しかった…静寂なのに聴こえる、聴こえるのに静寂、のような。
どんな筋肉と息遣いがそれを可能にさせるんだろう…からのファンファーレで隣の長女がビクッと「え?!は?!え?!」油断せずに笑

 

こちらはクライネスの後なのに人数が少ないという印象は受けなかった。
すごい声量、そして明るい声。
いいなぁ。これから楽しみです。




観客賞・大学ユース合唱の部第1位ということで指揮者の吉田宏先生からメッセージをいただいております。


* * * * * * * * *

 


観客賞一位を頂き大変嬉しく思います。
Coro Ponte(ぜひみなさま『ころぽん』とおよびください)は全国大会初出場、と言うより関東支部大会も今年度初出場させていただきました。

初めて踏んだ全国大会での銀賞受賞と、観客賞一位は大変光栄な事だと感じています。そして、観客賞をいただけたことは、合唱団としての、そしてその演奏の個性を気に入っていただけたのかなと、大変嬉しく思います。

ころぽんは千葉県立船橋高校のOBOG合唱団で、高校在学時からコンクールに出場し続けていました。そして在学時には全国大会に惜しくも手が届かなかった、という代が多くいます。

指揮者として(自分もひとりのOBですが)彼らを見ていると、自分たちはもっとできるはずだ、という肯定感の強さに度々驚かされます。どこかそのハングリー精神のようなものを持ち続け、歌い続けたからこそ届いた舞台なのだろうと思います。

そんなころぽんの大きな転換点は去年度のコンクールでした。初めてのピアノ付き曲でのコンクール。初めておこなった合宿。曲の内容を議論していたらみんなで感極まって涙を流し、過去最高の出来と思った結果は銀賞。残った言葉にできない不完全燃焼感もそのままに打ち上げで『演奏会をやろう!』。

自由曲に選んでいた山下祐加さんの『光のために』をメインに据え、ピアニストの岩本さんとのタッグで、思う存分演奏しよう、自分たちの活動をもっと聴いてもらおう、そんな勢いで演奏会をおこないました。
そんな演奏会のオープニングにしていた曲が、今年度の自由曲にした、J. Rutterの『A Choral Fanfare』です。華やかで爆発力のある(笑)ころぽんらしいといえる曲です。
練習後の飲みの席で、「Sleepやりたいけど、なんか短くてアップテンポなのもやりたいよね」なんて話していたら、あるじゃん、と。

Sleepはころぽんとしては挑戦的な選曲で、今まであまり取り扱ってこなかったタイプの曲、G4とファンファーレはころぽんらしい曲、という組み合わせで、結果的に自分たちの世界が広がったように思います。
今年のコンクールの選曲を通してメンバーの一人一人の音楽性が広がったことに加え、ピアニストの岩本さんの持つ音楽の力で、よりころぽんの可能性が広がっていくのを練習毎に実感しました。
そんな中で、その演奏が皆様に気に入って頂けたこと、本当に心から嬉しく思います。

そして、そんな勢いで始めた(笑)演奏会ですが、来年の2月に2nd concert を開きます。Sleepを含むウィテカーアラカルトから、お伽草子の世界、そして夢の意味というプログラムになります。
ぜひ聴きにいらしてください。

 

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吉田先生、熱いメッセージをありがとうございました。
現役時代に行けなかった、過去最高の出来と思ったのに次に進めなかった…そんな悔しさが力となって初の関東支部大会、初の全国大会となったのですね。
「Sleep」がころぽんさんには挑戦的な曲だったと知り、驚きました。
でも、これから挑戦を何度も繰り返し、どんどん幅を広げ、前へ進んでいく。
そんな未来をころぽんさんの演奏から感じたからこその観客賞第1位なのでしょう。

みなさん、来年2月16日の土曜日は浦安音楽ホール コンサートホールまでどうぞ!



(次回は大学ユース部門5位以内には入らなかったものの印象に残った団体を)