2018年の演奏会、コンクールを振り返る・後編



2018年の演奏会、コンクールを振り返る・後編


 

8月18日

第70回神戸中央合唱団音楽会

兵庫県立芸術文化センター 大ホール

 

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本山秀毅先生指揮の、ワンステージメンバーと管弦楽と共に120人で歌うバッハは聴き応えがありました。
賛助の夙川エンジェルコールは本当に上質。
しかし、一番心に残ったのはOB合同の「サリマライズ」でした。
中村仁策先生御子息の健先生の文を読むと一層。
想いは受け継がれるのですね。
あとアンコールがヘンデル「ハレルヤ・コーラス」。
恥ずかしながら管弦楽版の生演奏を聴くのは初めてで、「ほぅ!」という驚きもあり、嬉しかったな。


 

 







9月24日

エストニア国立男声合唱団ジャパンツアー・2018西宮公演

兵庫県立文化センター 大ホール

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本当に良いものを聴いた。
決して無理をせずに、澄み切った、あるべき音があるべき所に存在する。
メンデルスゾーン、フィンランディア讃歌で自然に涙が滲んでしまった。

日本のコンクールで聴く「一音入魂」の演奏にも価値はあるが、力のある人たちが余裕を感じさせながら音楽を紡ぐ姿に「…これだよ!」と。
よくある言い回しだが、音楽は「音が苦」じゃなく、「音を楽しむ」ものだよなぁと改めて。
指揮者の音楽も近視眼的なものではなく、一曲の中の構成を考えた長いもので、メンデルスゾーンやシューベルトにそれが生かされていたと思う。
…いやあ、本当に美しい音があるべき姿で胸に届いた!









11月7日

RIAS室内合唱団、モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」

大阪・いずみホール

 

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思わずキリスト教に改宗しようかと思うほど良かった。
このレベルだと合唱が、楽器が、ソリストがどう…とは言えない。
モンテヴェルディの天才性を素晴らしい音楽人で楽しむ、まさに耳福な演奏会。
行くまでは耳馴染んだブルックナー等の別プログラムが良かったなぁ、と思っていたが、古楽器、ソリストの素晴らしさ。
(休憩後から即興音楽的に奏でながら入場する古楽器陣!)

演劇的な空間の使い方も含め、今後生きて、この曲をこれだけの水準で聴けるか?!と思うほど。
「モンテヴェルディの聖母マリアの夕べの祈り? あー、俺、RIASで聴いたから!」と一生自慢できる(笑)。
合唱を趣味にしていて良かったなぁと思うのはこういうとき。
なぜなら多くのオケ愛好者はこの演奏会には注目しないのでは。
合唱を趣味にしているからこそ、RIASを聞こうと思い、予想外のソリストや古楽器の素晴らしさに目が啓かれる。
いやホント、良い演奏会は突き抜けると「体験」になるのを実感しました。
ホールを出た後も最高の音楽体験による高揚で、地面から足がふわふわ数センチ浮いている感じ(笑)。

2018年聴いた演奏で間違いなくベスト1!


ちなみに本山秀毅先生による感想。

 

ポジティブに考えれば、あれ以上の音楽体験にこれから出会える可能性が?!…とも読み取れるが、日本の教会だとチケット管理など海外団体の演奏が難しいかもしれないので、やっぱり海外の教会で聴くしかないのかなあ。
あと、確固たる根拠を元に、具体的な指摘と、さらに改善策を示していることに感じ入る。
私なんかはどうしても「スキキライ」の印象評になってしまうので。
もちろん遥か遠く及ばないけれど、見習いたいなあ。








11月24日、25日

全日本合唱コンクール全国大会

北海道・札幌Kitara大ホール

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座談会もがんばって書き起こし中です!
ハーモニー冬号が届くまでに終わるかどうか!?(きっと終わりません…)

私事ですが母が10月9日に永眠しまして。
(もう何年も前から入院し、意識混濁していたので悲しみもそれほど…ですのでご安心を)
葬儀の為などで、観客賞スポットライト企画でのメッセージ依頼が遅くなってしまったのをお詫びいたします。
またブログ更新などで余計なご心配をかけたくなかったので、公表することも無かったのですが、昨年年賀状をいただいた方にはお知らせすべきだったと反省しております。
(また、これを機会に勝手ながら年賀状・ハガキでのご返信は今年から止めさせていただきます)

それにしても10月に故郷の札幌に帰省し、入院している母に会って次の日倉敷に戻り、その2日後に亡くなった報せを受けてまたとんぼ帰り…。
さらに四十九日が11月26日という全国大会次の日の月曜日!
「さすが珠算一級を持っていた母さんらしい。計算バッチリだね!」と家族で笑いました。
続けて妹が「一周忌にはまた札幌に来なきゃならない予定が突然入るかもよ?」やめてくれー!



 





12月16日

VOCES8

広島・三原市芸術文化センター

 

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本来ならこの日はまっすぐ呉に行くつもりだったのだけど、何人もの方からの強いお勧めで寄り道決定。

ほぼ予備知識なしで聴いた初めてのVOCES8…素晴らしかった。
予想外だったのはマイクやPAを使った、いわゆる「アカペラ」ではなく、生の声の響きを全面に出した「室内合唱」でもあったこと。
前半最後はパレストリーナのマニフィカート!
イギリス教会音楽の伝統に基づいた、決して押し付けないが確固たる存在を持つ合唱にただただ陶然。

後半のかなりマニアックな邦人曲メドレー(オリジナル・ラヴ!嬉しかった!)はマイクが欲しい気もしたが、続くクリスマスソングも楽しかったので、今年のクリスマスはこれで終了!

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一人ひとりの技術の高さはもちろんだが、非常に精度の高いバランス、呼吸、音色と速度。
そして先月の全国から考えていた「男声と女声が合わさった理想像」についても良い気付きが。
少人数アンサンブルだけではなく、多人数でも目指しても良いよなぁ。

 

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ルネスタッド(ランスタッド?)やストップフォードの曲などは、自分たちでもやってみたい!と思う合唱人は多いのでは。
いやー、倍音凄かった!


 

 

 ちょっとだけ映ってて嬉しかったです(笑)。





そんなわけで2018年に聴いた演奏会やコンサート、コンクールはこんな感じでした。
毎年思うんですけど、合唱以外の器楽や他ジャンルの音楽をもっと聴きたいなあ、と。
声楽家の演奏会にも1回も行っていないしなあ。

そして、ありがたくも全国あちこちから演奏会のお誘いを受けるのですが、当方薄給ゆえなかなか…。
(交通費とか宿泊代とか遠慮なくカンパしてくれてもいいんですヨ?!)

2019年は少なくとも3回は東京へ行く予定なので、倹約せねば。
まあ財布と体調と相談しながら、今年も良い音楽に触れられればいいなと思います。

2018年、素晴らしい演奏をありがとうございました!




(2018年の演奏会、コンクールを振り返る・おわり)