観客賞座談会・混声合唱部門 その1




今回から観客賞座談会は
混声合唱部門をお送りします。

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北海道庁旧本庁舎

 


まず同率第の2団体!
出演順に。


パナソニック合唱団

(94名)

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札幌テレビ塔 Le camaradeさんより

 

 


お久しぶりです!(拍手)


6年ぶりの歓迎の気持ちで
投票があったかもしれないね(笑)。



課題曲G3まいまい。
サウンドが柔らかい響きで
良かったです。


そうそう、落ち着いた音がしてね。


やさしく、子供をあやしているような
温かさがありましたよ。


「金持ち喧嘩せず」じゃないけど
生活にゆとりのある人たちの音楽だなぁ、と。


一同 どんな音楽?!(笑)


いや、やっぱりパナソニックという大会社で
みなさん高給取りのはず。
教養があって音楽を楽しむゆとりがあり
そういうものから醸し出される
サウンドがあると思って(笑)。


非正規の方とか
団にいらっしゃらないのでしょうか…?(笑)
無くなった職場部門の雰囲気が
伝わってきましたね。


「あー、昔のパナソニックの音だ」と
懐かしくなって凄く安心しました。


私も!
「お帰りなさい」って気になりました。


昔のパナソニック・・・。
僕の中では最初の一音を聴いた瞬間
「松下中央だ!」


そこまで遡りますか(笑)。
自由曲はストゥループ
「We Beheld Once Again the Stars」でした。


声楽や合唱的じゃなく良い意味で
ミュージカルっぽく聞こえるんです。


ああ、軽めというか…。


そう。フレーズ、音楽の流れを聴かせる。
それが活きてるなーと。


全国大会では何回も演奏されている曲ですけど
改めてパナソニックの演奏で
懐かしい響きと共に、
人の声の温かさをとても感じました。


歌い慣れている感じがしましたね。
こなれた中で、
みなさん自由に歌っているような。


94名というこの部門最大人数も
あるかもしれないけど、
ぐいぐい音で包んでくるような。
また、包まれる安心感もありました。




《文吾の感想》

課題曲G3は大人数を活かした
ダイナミクスの幅広い表現が良かったです。
その底には人を安心させる落ち着いた響きが。
自由曲は始まりが柔らかく優しいフレーズ、
男声の打つリズムも心地良く。
中間部の美しいピアニッシモから
クライマックスの輝くようなフォルテッシモまで
音楽の切り替わりが鮮やかでした。


メールでの感想では

 

個人的には、職場合唱団に身を置く者として、Panasonicさんの全国復活が何より嬉しかったです。


…というものがありました。


 

 



同率第、次の団体は

 

 


鶴岡土曜会混声合唱団

(56名)

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超良かった!


大好きだった!


本当に正統派で
「合唱とはこういうものだ」と!


いや、ほっとしましたね。
今年はそれほどでもなかったですけど
ここ何年かの混声合唱部門は
「びっくり人間大集合」みたいな。


そうそう!(笑)
「空中戦やってるよ?!」みたいなね。


そんな中で
「…俺は実直に畑を耕すんだ」。
そういうあったかい音がすると、
本当にほっとするんですよ。


ありきたりだけど「いぶし銀」のような、ね。


課題曲G1は?


この曲は時代的背景もあって
ある程度、年齢を重ねた人が歌った方が
しっくりくるなぁ、と。
ひそやかな雰囲気もあり、
良い演奏でしたね。


イギリス国教会の信者だったバードが
弾圧のため、カトリックに仮託して書いた曲だから
カトリックには無い音が散りばめられていて。
その音を上手く嗅ぎ取って演奏すると
凄く音響効果が得られるけど、
知らずにサーって演奏すると
なんてないフラットな演奏になってしまう…。


一同 難しいなー!(苦笑)


自由曲:三善晃「あやつり人形劇場」は?


奇をてらって何かやるんじゃなく
ナチュラルに演奏してるんだけど伝わってくる。
ある意味、演奏の理想型ですね。


良い意味で
「合唱団の存在感が薄い」んですよ。
キャラクター性がそんなに無い。
「あ〜、この演奏、(団体名)だなぁ」
とかじゃなくて、演奏する曲、
音楽そのものが立ち上がってくる。


軸がブレてないと思います。
団の特性で曲を歪めるんじゃなく、
ブレない軸の範囲内で
「自分たちはこう考えている」と発信する。
好きなタイプ!


市民合唱団的に歴史を重ねてきたんだろうなあ。
そんな雰囲気を感じさせる
「居てくれてありがとう」という
貴重な団体ですね。


続いての三善晃:風見鳥
ピアニストの渕上千里先生と
合唱とのせめぎ合いが良かったです。
素晴らしいピアニストの譲れない部分と
合唱との息詰まるようなセッション。
最後の和音の響きには涙が出ました。


演奏と全く関係ないんですけど、
鶴岡土曜会さん、
今日の「史上かつてない二次会」に
ひとりも参加予定されてないんですよ…。

 


一同 (苦笑)


プロフィールに
「来年はコロフェスタ、再来年は全国大会。
合唱を楽しみに山形県へ!」と書かれるなら、
まずこういう場所でアピールするべきなのでは、と。


同じ東北人としてお詫びいたします(笑)。
やっぱりアピールというか、
前に出るのが苦手なんですよねぇ…。


そういう奥床しさが
今日たくさん語られた演奏の魅力に
繋がってるのだろうから難しいところですね(笑)。
鶴岡土曜会のみなさん、
次回はぜひ「史上かつてない二次会」に参加されて
アピールして下さいね〜!


 

《文吾の感想》

G1は深みのある女声が魅力的です。
座談会でも触れられていたように
ソプラノの弱声からの
ひそやかな表情も素晴らしい。
テノールもアルト寄りの声を指向して
良かったです。
「あやつり人形劇場」
明るい音の中に切なさや恐ろしさが
隠れている大人の演奏。
「風見鳥」も緊張感をもって演奏され、
各パートの音色がクリアでバランスも良く、
楽曲の個性が前に出てくる良演奏でした。

 


ツイッターの投票では

 

見事に盛り上がり痛快なり


…という感想がありました。

 

 

 





続いて位!

 



合唱団こぶ

(35名)

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課題曲G2は若さが出ちゃったな、という
言い方もできるし、
若さなりの良い声がしたな、とも言えるし
難しいな(笑)。


表現にチャレンジしていた印象でした!


うん、いろいろやろうとした音が
聞こえてきたよね。


指揮の大山敬子先生の髪が美しい…。


一同 (笑) いきなり何を?!との声。


いやだって、大山先生って美魔女じゃん!
こぶのみなさん、大山先生大好きだからさ、
それが合唱団の良い雰囲気になっているよね。


自由曲の信長貴富「ぼくの村は戦場だった」からは?


すごく泣いちゃいました!


私もこぶに投票したんですよ。
元々、総社中学のOB合唱団で
昔はサウンドがとても若かったけど
最近、大人になって演奏に奥行きが
出てきましたね。


うん、彼らなりに噛み砕いて
一人一人が発信しようとする気持ちが
本当に響いてきて。


そうそう、「大山先生の指揮から」、
じゃなくって
今回は団員の方から音楽とメッセージを
出してきたという印象です。


それは団員の年齢層が
上がったからかもしれないですけど
良いことですね。


1曲目「第二章 111000000」の語りが
ちゃんと良い響きで、
しかも言葉で聞こえてきて良かったです。


2曲目「第三章 ぼくは兵士だった」のソロは
ちょっとミュージカル的かなとも思ったけど
それが自分の表現となっていて
非常に良い演奏でした。


そして最後に演奏された
「第四章 ねがい」
始まって30秒で涙が!


良かったよね!


技術うんぬんを抜きにして
気持ちが聴こえるというのが
音楽では大事だと思うので。
個人的には今の方向性は絶対間違っていないし、
この路線を突き進んで欲しいなと思いました。
2日間の全団体でNo.1です!



《文吾の感想》

課題曲G2は今までと比較すると
感情を上手く声に乗せられるようになったという
印象です。
自由曲でも昨年の「原爆小景」では
自分の感情をそのまま出していたのに対し、
今回は客観的に感情を見て
「歌として成立させるためには?」と考えて、
一歩進んだ演奏に思いました。
終曲の切々と歌われる「ねがい」
本当に心に響きましたね。

 

 



ツイッターの投票では

 

選曲も歌い上げもすてき!
芯のあるソプラノの声と一体感、歌詞がまっすぐ伝わった
楽譜でたら絶対買う


…という感想がありました。



(混声合唱部門、第4位の団体に続きます)