観客賞座談会・混声合唱部門 その4

 

 


観客賞座談会・混声合唱の部。
今回からは7位以内に入らずとも印象に残った団体を出演順に。

 

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円山動物園

 


一番最初の団体は、毎回観客賞の票こそ少ないものの
座談会では必ず盛り上がる「ツウ」好みのこの団体!

 


グリーン・ウッド・ハーモニー

(65名)

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ものっすごく良かったです!
課題曲で泣いてSanctusで笑ったッ!!


一同 (笑)


文吾 落ち着いて~(笑)。


いや、「Sanctus」、
あんな難曲をサラリと形にした佇まいに
笑ってしまいました!


課題曲G1の感想に戻ると
miserere」で
ちょっと声を抑えていたんですけど
「あわれみください」っていう気持ちが
凄くあふれていて。


私も「miserere 」とメモに!(笑)


バードは迫害を受けているから
なおさら祈りが込められている気がして。


あと4声の重ね方も良かったし、
徐々に明るくなっていく感じが
ありませんでした?


あったあった!


最初は暗い中から始まって
徐々に光が射し、明るくなっていくような…。


半音高く移調するのも意外で
今井邦男先生らしいな!と。


音取りで「え?」って(笑)。
GWHらしさでもあるよね。
自由曲:ヒンデミット「Sanctus」
Bassの鳴らせ方がカッコ良かったし、
リズムとフレーズに良い緊張感があった。


GHWは年代が10代から70代までと幅広いんで、
特にソプラノとテノールで
声を合わせるのは無理な話なんです。


だよね(笑)。


でもピッチと歌い方は揃えていて。
「どうせ現代曲の不協和音だから
 イイ加減でいいや!」


一同 (笑)


…じゃなくて(笑)
ちゃんと不協和音を意図して
作っていたことがわかる演奏でした!
あと3和音で綺麗にハモるところを
きっちり押さえていたから
不協和音がしっかり聞こえてきたんですよね。


関連して、不協和音がずっと続く中、
最後の「in excelsis」で
ユニゾンがビシーッと決まったでしょう!
痺れましたね。
「キターッ!!!」って。


一同(笑)


同じくヒンデミットの
「Lieder nach alten Texten
(古い詩文による歌)」も良かったですよ。
3曲それぞれ軽やかだったり、
終和音が美しかったり、
作品の個性を出していました。
最後の「傭兵の酒盛りの歌」なんて
酔っぱらって言葉とリズムが変わっていくのが
伝わってきて面白かった。


今井先生、本当になんか、
「凄い」を越えている方だなと思って。
山にこもって修行を5回ぐらいされてる感じ。


(横から「生き仏」「即身成仏」の声など 笑)


自分があのお歳になって
この自由曲指揮して!って依頼されたら
「お断りします!」って即言っちゃう。
それなのに率先して毎年ご自分から
やられているから。


それも中途半端じゃなく
バチッと本気でやっている。
求道者みたいだよね。


噂の、今井先生の手による
楽曲の分析譜なるものを
一度見てみたいです…。


分析譜とはまた別の
今井先生が書かれた、
曲の解説書を見せてもらったんですけど
大学の講義で使う資料みたいな!


論文! 
論文ですよ、もはやもうアレは!


それを全員に配られて
理解してこの場に立たれているわけでしょう。
今井先生に付いていく
団員さんたちも本当に凄い!


一同 うんうん(同意)




 

 

 

 

 



合唱団ノース・エコー

(71名)

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課題曲G2
珍しく気持ちが入っていたね。


一同 珍しくって!(笑)


いや、ここまで感情が直に伝わるノースは
初めてかなと。
発声面が感情に追い付けなかったのは
残念だったけど。
Freude」の輝きや
女声の音の広がりも良かったな。


アルトに清潔感がありましたよ。


バランスが凄く良かった。
こなれている感じがありました。
ハーモニーもハマるところが
とても綺麗で。


自由曲:サンドストレーム
「The Lord’s Prayer」(主の祈り)
声を浮かすような
ロマンティックな良い響きがあった。


さすがサンドストレームを
長年歌っているだけのことがある
演奏でしたね。


続いてのランスタッド「Alleluia」
テンポ遅めでレガートに
非常に面白い解釈で。


楽しかった!


オシャレでしたね!
昨年も演奏した団体があったけど
同じ曲とは思えないくらいでした。


安心して聴けたなあ。
ノースの凄いところって
「コンクールだから!」と
気負っていないところだと
思うんですよ。


…いやぁ、実はけっこう気負ってるかも?(笑)


でもそうは聞こえないのが凄い!(笑)。


今回は銅賞だったけど、
新しい挑戦のため一歩下がった印象でした。
できれば挑戦を諦めず、
感情の表出と技術の両立を目指して欲しいですね。
次回の演奏を楽しみにしています。




 

 

 

 


I.C.Chorale

(34名)

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課題曲G3の「まいまい」。
民謡っぽい節回しで。


かなり研究した上での解釈なんだろうなと
好感を持ちました。


あと弱音の美しさね。


確かに。
同じメロディが戻ってくるところとか。
神経を遣っていました。


自由曲の
三宅悠太「Vocalise Ⅱ/海辺にて」、
団員さんは山台に上がって
ピアノの蓋が全開でしたね。


あれは正解!


高いところで音を響かせて。
狙った音響空間として良いなーって。


一同 うんうん。


ピアノも聴こえるし、
歌も聴こえてきた。
でも、今年の演奏は
もうちょっとチャレンジしても
良いんじゃないかと思ったな。


あー、同感です。
「オレたちはもっとこうしたいんだ!」
というのを聴きたい。
今までのいよコラの演奏からは
それを感じられたから。
今年はおとなしいというか
ちょっと守りに入ってたかな。


曲が難しかったのもあるかも。


文吾 うーん…指揮者の村上先生はじめ
   災害でかなり苦労されたでしょう?
   気持ちが入り過ぎて、
   表現が内へ向かってしまったのかな。


でも、良い曲だと思いました!


文吾  そう思わせる演奏だったよね。
    言葉のさばき方や
    リズムの反射神経に
    若さゆえの良さを感じたし、
    最後の「悲しむ人よ、塵に口をつけよ」では
    ちょっと泣けてしまった。
    「望みが見いだせるかもしれない」での
    ほのかな灯りのような希望に
    また感じ入ってね…。
http://h-kishi.sakura.ne.jp/kokoro-640.htm


一同 好きな演奏でした、好感を持てた、など口々に。

 


ツイッターの投票では

 

課題曲の作り方が面白かった。
とても好きです。
少人数ならではの緻密なアンサンブルと表現の統一が心地よかった。


…という感想がありました。




(次回も印象に残った団体の感想、続きます)