観客賞スポットライト 大学ユース部門 最終回




今回は大学ユース部門の最終回!
最後の2団体をご紹介します。

 

f:id:bungo618:20191103101250j:plain

下鴨神社 Photo by Dalimさん

 

 

オリンピックのマラソンが決まった北の地の男声合唱団と言えば?

 

 



9.北海道・北海道支部代表

北海道大学合唱団

(男声42名・6年連続出場・第50回大会から15回出場、通算29回目の出場) 



昨年は課題曲「秋の夜の会話」が語感を活かし寂寥感を滲ませた名演!
自由曲のバーバーもティンパニとのセッションが心地良い緊張感を生んでいました。
響きの上質さでという面で、新しい男声合唱の魅力を感じさせる北大合唱団さん。

さて、今回の選曲は?
団員さんからメッセージをいただきました。

 


今年の北海道大学合唱団はフレッシュな新入生を含む、40名強がアクティブメンバーとして活動しています。
夏には当団恒例の夏行事で九州へ。
中学校の部九州代表の熊本県山鹿市立山鹿中学校合唱部さんや、大学ユースの部で対決する九大混声合唱団さんとの交流演奏会を実施し、九州という地でエンヤー(!)をするのはもちろんのこと、九州ならではのグルメ、お酒も満喫してまいりました。

選曲に難航し、コンクール曲に取り掛かったのは9月からでしたが、例年より練習時間を増やし何とか北海道支部大会を通過することができました。
課題曲M2「Ne pitkän matkan kulkijat」は北欧フィンランドの作曲家シベリウスの作品。
我々の住む北海道とフィンランドは気候や風土に共通点も多く、北海道の風景をも思わせるふくよかな声で音楽を奏でます。
客演指揮者である尾﨑あかり先生のもとで、速いテンポの中での豊かな情景描写に挑戦中です。

自由曲「永訣の朝(西村朗)」は当団としてはチャレンジともなる、3声から構成される曲です。
普段より声部が少ない分、より高い精度の和音が求められます。
また、器楽的、リズムアンサンブル的な書法も見られ、ピアノ伴奏とのコンビネーションには苦労を重ねました。
合唱としてだけではなく、音楽作品として、完成度の高いものをお見せできればと思います。
客演ピアニスト豊田早苗先生の伴奏にもご注目ください!

f:id:bungo618:20191103101542j:plain

北海道支部大会後とのこと。



ありがとうございました。
そうそう、北大合唱団さんはこの夏、1番目に出場された九大混声合唱団さんとの交流演奏会を行ったんですよね。
コンクールとなるとどうしても敵対するだけのイメージがありますが、このような交流が行われるのは素晴らしいことだと思います。

課題曲はこちらもシベリウス!
これで大学ユース部門、男声3団体みなシベリウス!
でもきっと、まるで違う曲のようにそれぞれが感じさせてくれる演奏になると思います。
書かれているように北海道とフィンランドは気候・風土が似ているようなので、北の大地の魅力が演奏に表れますように。

自由曲は混声版、同声3部など、この全国大会でも多くの団体が演奏されている作品「永訣の朝」ですね。
同声合唱部門に出場のMu Projectさんも同曲を選ばれています。
宮澤賢治の二十五歳の若さで亡くなった妹:とし子を強く悼む詩のまま、西村朗先生の音楽が書かれていて、何度聴いても惹き付けられます。
ただ、強い想いだけの演奏では一面的な印象になりやすく、団員さんが書かれているように器楽的なリズムアンサンブル、ピアノ伴奏とのコンビネーションなど技術的にも難易度が高い作品。
しかし北大合唱団なら大丈夫でしょう!
指揮者:尾﨑先生の優れたセンス、豊田先生の煌めきを感じさせるピアノ、そしてエンヤー(斎太郎節)の爆発力と知性を併せ持つ北大合唱団の、新しい「永訣の朝」、楽しみです!





大学ユース部門、最後の団体です。
毎回同じことを書きますが、最大人数の団体!

 

 

 

 

 




10.東京都・東京支部代表

東京工業大学混声合唱団コール・クライネス

(混声144名・3年連続出場・第30回大会から35回の出場)


「小さい」を意味するドイツ語「kleines」が団名のクライネスさん。
大学ユース部門で最大なのはもちろん、この京都での全部門で144名は最大人数!
ちなみに先日岡山で行われた中学・高校部門を含めても最大人数!!

昨年は課題曲「草の上」から「IV」が「フランスの香りがする」と評判。
自由曲のプーランク「人間の顔」も留まらない流れ、和声の雰囲気が良かったという感想がありました。

昨年に続いて団員の岡田さんからメッセージをいただきました。

 


コールクライネスです!
今年もこのような面白く素敵な企画に参加させていただけることをとても嬉しく思います!
選曲理由は以下のような感じです!

課題曲 G1 Ave Maria
他パートを聞きそれに反応する能力やラテン語の深めの母音を用いて母音の統一や母音への開きの早さの特訓のために選曲しました。
クライネスは大人数なので音楽がボテっとしがちなので軽やかな大人数の合唱を目指しています!

自由曲 Krzysztof Penderecki作曲 Agnus Dei
G1同様ラテン語の深めの母音を用いて母音の統一や母音への開きの早さの特訓のために選曲しました。
あと、G1と違ってクラスターでクライネスの大人数を活かせるのでは!?という発想で選曲しました。
クラスター和音の声のデカさに注目して欲しいです!
G1で我慢した分も大声が出てると思います!体力がもてばですけど…

今年のコンクールで岩本先生によく言われることとして「プロ意識」があるのですが、全国では大量のプロが来たか???と思わせたいですね。
もちろんプロとしてやっておりますのでサインのご依頼は大歓迎でございます。
京都の街をクライネス団員のサイン色紙で埋めつくしたくなるような大迫力かつ繊細な面白い音楽ができるよう精一杯頑張ります!

f:id:bungo618:20191103101836j:plain

合宿での集合写真ということ。


…岡田さん、昨年は「僕たちの演奏の後から札幌がフランスになることを目標にしたいです!!! 聴いてくださった方々全員に、「今日の飯はジンギスカンじゃなくてやっぱエスカルゴにしようぜ?」って感情にして、札幌の全レストランをエスカルゴ品切れ状態にします!」と書かれてましたよね?(笑)
いや、指揮者:岩本達明先生の仰る「プロ意識」、とても大切な言葉だと思います。
京都で聴かれるみなさん、クライネスさんのためにサイン色紙のご購入をお忘れなく!

自由曲のペンデレツキ「アニュス・デイ(神の子羊)」は「ポーランド・レクイエム」というオーケストラ伴奏の作品で唯一の無伴奏曲。
本来はオーケストラと協演する曲ですから、クライネスさんくらいの大人数がふさわしい曲でしょう。
ポーランドがずっと受けてきた悲劇、ポーランド侵攻やアウシュヴィッツ収容所だったり…そういう虐げられた人々、負の歴史に巻き込まれた人たちへのレクイエムの中の1曲です。

この全国大会で何度も演奏されてきて、多くの名演がある作品。
クライネスさんの「クラスター和音の声のデカさ」が新たな名演を生むことになりますか?!
大学ユース部門のトリを見事に締めくくられますように。



(室内合唱部門に続きます)