観客賞スポットライト 混声合唱部門 その6

 

 

 

 

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Photo by たかさんさん






今回は各部門の観客賞の投票について!
※混声合唱部門に限り変更があります!


参加資格:
「大学ユース部門」「室内合唱部門」
「同声合唱部門」「混声合唱の部」、
それぞれ全団体を聴いていること。
(その部門の出演者は投票できません)



投票方法は2つあります。
(必ず各部門の全団体を聴いてくださいね!)



1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで
各部門に専用のハッシュタグ

#大学ユース19
#室内合唱19
#同声合唱19
#混声合唱19

「ひとつ」を付けて
それぞれの部の終演から審査発表時まで
(大学ユース、室内合唱部門なら18:00まで。
 同声、混声合唱部門なら19:55まで
大学ユース、室内、同声合唱部門は
良かった《2団体》を書いてツイート。

そして

混声合唱部門“だけ”《3団体》を書いて投票してください。

その際、各団体の後に感想を書いていただけると
とても嬉しいです。
大学ユース、室内、同声合唱部門は1団体の投票。
混声合唱部門は2団体、1団体の投票でも結構ですよ。

※昨年、ハッシュタグを間違えた方が
何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので
正確にお願いします!


ツイート投票の例:

●●大学合唱団 熱い演奏に燃えました!
 合唱団▲▲ 密なアンサンブルと笑顔が良かったです。

#大学ユース19






合唱団●● 壮麗な混声合唱のお手本!
▲▲ヴォイス 大人数でも繊細な表現が素晴らしかった。
コール■■ この作品の魅力が力いっぱい伝わってきました。

#混声合唱19






ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)

大学ユース、室内、同声合唱部門は良かった《2団体》を書いて送信。
混声合唱部門だけは《3団体》を書いて送信してください。


件名は「観客賞」で。
締め切りの時間は
ツイッターでの投票と同じです。


つまり


1)その部門の出演者じゃない全団体聴いた人

2)大学ユース、室内、同声合唱部門は《2団体》
  混声合唱部門は《3団体》

3)部門終了後すぐに投票


…してくださると、非常に助かります!
繰り返しますが、混声合唱部門“だけ”《3団体》OKです。
他の部門は《2団体》まで!

ご投票よろしくお願いいたします!









今日は3団体をご紹介します。



昨年は素晴らしい委嘱作品の演奏で金賞1位だった団体と言えば?


 

 


12.東京都・東京支部代表

Combinir di Corista

(35名・6年連続出場・第61回大会から11回目の出場)



団HPによると。
多様なレパートリー、すなわち「品揃え」にこだわり、コンビニエンスストアーにちなんで団名を「コンビーニ・ディ・コリスタ」とされた、通称コンビニさん。

昨年の座談会では

信長貴富先生「静寂のスペクトラム」から
「とてつもない秋」、
超絶技巧でしたよね。
そういう高い技術をハイスピードで
次々繰り出すことにまったくハードルが無い、
一番凄い団体だと思います。
素晴らしかった。

課題曲G2は、ここの演奏がほかを圧倒していたと思います。
信長先生の新曲も素晴らしく、
声、音圧、発語、そして音楽全体、素晴らしかった。

コンビニさんは
夏に聴いた東京国際合唱コンクールの
ブラームスやブルックナー演奏も好きでした。

それで今回は「とてつもない秋」でしょう?
この選曲の幅広さと深さと言ったら!
もうコンビニじゃなく総合商社なのでは!!

追い付けないほど疾走感ある音楽、
眩暈がするほどの煌めく情報に翻弄され、
興奮し、圧倒され、最後には
新しい抒情とでも言うべき感情の波にさらわれ、
自分でも説明がつかない涙を流していました。


…という感想がありました。


コンビニさん、今回の演奏曲は
課題曲:G4 雪(「甃のうへ」から)(三好達治 詩/川浦義広 曲)
自由曲:Paul Crabtree「The Valley of Delight」より「Journey」
Ēriks Ešenvalds「Nunc Dimittis」


コンビニ店員さんよりメッセージをいただきました。

 


課題曲:G4 雪(「甃のうへ」から)
かなり早い時期から選曲を決めていたG4、店員の第一印象は、とにかく難しい課題曲!泣。
特に前半の複雑なリズムの絡み合いは、2017年にたっっぷりと取り組んだリゲティのLux Aeternaを彷彿とさせるようで、一部の店員にはトラウマを呼び起こしたようです...笑。
しかしながら練習が進んでくると、サウンドの格好良さ、雪の情景のバリエーション豊かな表現、アンサンブルの妙味に満ちた作品の面白さに、店員一同今ではしっかりハマっております。
今年のG4、お聴き逃し無く…!

自由曲①:The Valley of DelightよりJourney
自由曲1曲目は、カリフォルニア在住でイギリス出身の作曲家ポール・クラブトゥリー(1960-)の作品を選曲しました。
日本ではまだ紹介されたことの無い作曲家でしたが、今年のTokyo Cantatにて、サイモン・キャリントン先生がご提案下さりました。
今回取り上げるJourneyを含む「喜びの谷」は、クエーカー教の一派であるシェーカー教を題材に作曲された全3曲からなる作品で、女性リーダー、アン・リー(1736-1784)のテキストを中心に、アメリカの現代詩人リン・エマニュエル(1949-)のテキストやアメリカ古謡の断片などを交えパッチワーク的に構成されています。
音楽的にもポリフォニックな表現やトリッキーで鳴りにくい配置の和声の扱いが続くかと思えば、はたまた突然シーシャンティー風のテーマが登場する等々、題材・音楽とも色々と詰め込まれた一風変ったユニークな作品です。

自由曲②:Nunc Dimittis   
自由曲2曲目は、エリクス・エシェンバルズ(1977-)の作品を選曲しました。
SSATTBB + solo という編成で、小品ですが、エシェンバルズの静謐で壮麗なハーモニーの魅力に溢れる作品です。
1曲目との対比というところと、あとは2018年の東京国際コンクールで海外団体の力みの無い洗練されたサウンドを目の当たりにし衝撃を受けてから、コンビニが音づくりのひとつの重要課題として掲げていた「ブレンド」に焦点を当てた選曲を、というところで2曲目として決定しました。
ハーモニー重視で精緻に作曲されていて、ブレンドの力が無いと成立しないこの作品を、コンビニのひとつの集大成としてお届けできればと思います!

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合宿での写真ということ。



ありがとうございました。
ポール・クラブトゥリーという作曲家は初めて知ったのですが、リフレインを多用しながらポピュラー的な要素を上手くまとめている非常に美しく聴きやすい作品ですね。
メッセージに記されている楽曲の背景、テキストがとても興味深いです。
「Nunc Dimittis」も、エシェンバルズらしい荘厳な美、後半の合唱とソリストとの絡みが宗教的な法悦を感じさせます。

ポール・クラブトゥリー、エシェンバルズと共に、今年のコンビニさんは比較的シンプルな作品でどれだけ音楽を深められるか?
そんなテーマに挑まれているのかと想像していたのですが、メッセージ中の「ブレンド」という言葉に納得がいきました。
「東京国際コンクールで海外団体の力みの無い洗練されたサウンド」、私が思うに「男声と女声が合わさった響きの理想像」であったり、音楽の流れや和声で柔軟に繊細に響きを変化させることであったり…。
海外の優れた団体を聴き、日本の団体との違いはなんだろう?と考えている自分にとって、その「ブレンド」という言葉は、鋭く言い当てていると感じます。

元々技術的には素晴らしく高度なコンビニさん。
Tokyo Cantatでのサイモン・キャリントン先生によるご指導や、海外団体の「ブレンド」への意識など、更なる進化を目指すコンビニさんの演奏に大注目です!







昨年、「地上の平和」で金賞2位、観客賞2位の団体が登場です!










13.神奈川県・関東支部代表

合唱団やえ山組

(78名・3年連続出場)


指揮者は大学ユース部門で東京工業大学コールクライネスさんを振られる岩本達明先生。

昨年の座談会では

課題曲G2、自由曲共に
歌い手主導の生きた演奏!
音楽が流れていました。

自由曲のシェーンベルク「地上の平和」。
凄く精緻で繊細に
音楽が組み立てられている印象で。

若い歌い手さんが多かったですよね。
なおかつ音楽を専門的に学んでいる団員さんも
多くいることもあって、
非常に精度の高い演奏が聴けました。

音楽を専門に学んでいる方が多いというのは
フレーズ感が一本調子ではなく、
変化をつけようという
意志からも感じられたんですよ。

精度の高さだけではなく、
「この難曲を余すことなく表現してやる」的な
熱さも感じて、
プロの演奏とアマチュアの演奏の
いいとこ取りだと感じました。

ひそやかな入りから感情の爆発までの
表現の幅広さと豊かさ。
この難曲を実に丁寧にフレーズ、
特に和声を精密に創り上げ
説得力ある演奏を聴かせてもらいました。


…という感想がありました。


今年の演奏曲は
課題曲G1 Ave Maria(Tomás Luis de Victoria  曲)
自由曲:Johann Sebastian Bach作曲「Mass in B minor(ロ短調ミサ)」より「Sanctus」「Hosanna」


なんと!バッハのロ短調ミサとは!
しかも管弦楽との協演だというじゃないですか!!

朝日新聞の関東支部大会結果を知らせるやえ山組さんの写真を見ると、確かに。

7団体が全国へ 関東合唱コンクール・大学職場一般部門

この全国大会でバッハを自由曲に選ばれたのは、2011年にharmonia ensembleさんがMotette Nr.3 “Jesu, meine Freude”(イエスよ、わが喜びよ)BWV227を選ばれて以来のはずですし。
管弦楽との協演は第29回大会の福島高校、第47回大会の白河中央中学だけで、おそらく一般の団体では無かったはずです。

やえ山組さんは若い方が多い団だと思うのですが、そういう団体がバッハの超名曲でコンクールに出場というのが凄いですね。
2年前は26名、昨年は60名、今年は78名と人数もどんどん多くなって混声合唱部門で最多人数。
若さと勢いのある団体が管弦楽と共にバッハに挑む!
期待で胸が高鳴ります!








混声合唱部門最多人数の後は最少人数。
しかし声楽的にとても練られた、存在感がある実力団体の登場です。





 

 



14.千葉県・東北支部代表

VOCE ARMONICA
https://www.facebook.com/VOCEARMONICA/

(28名・5年連続出場・第64回大会以来7回目の出場)


 

昨年の座談会では


課題曲G1、
底にある情熱と優しさも感じられて。

弾圧されている悲しみが伝わりましたね。

頭が良い演奏だなあと思いました。
最初の女声2声の絡みも
今日演奏された中で1,2を争うぐらい良かった。

フレーズのふくらみや
ソプラノの高音域から降りるところも
ちゃんと美しさを意識していました。

しっかりとした構成で、音色も素晴らしかった。

自由曲のバーバー「Agnus Dei」
最初からフルスロットルだったよね!(笑)
ソプラノの熱演!
ピアニッシモの安定感!

音程がとても良かったです。
発声も非常に練れていて。

あの曲をあの人数で
演奏したというのが素晴らしいですよ。

この作品を選曲したことがまず凄いし
演奏も逃げずに真正面からぶつかったことを
高く評価したいですね。


…という感想がありました。


アルモニカさんの今年の演奏曲は
課題曲G1 Ave Maria(Tomás Luis de Victoria  曲)
自由曲:Edward Bond詞、Hans Werner Henze作曲「Orpeus Behind The Wire(鉄条網の向こうのオルフェウス)」より「I.What was Hell like?(地獄とはどのようなものであったか?)」
Arnold Schönberg作曲「De Profundis(深き淵から)」

指揮者の黒川和伸先生からメッセージをいただいています。

 

 


今年も文吾さんのブログに取り上げていただけることを大変嬉しく思います。

課題曲
Tomás Luis de Victoria
Ave Maria

nobis pecctoribus 罪深き我ら
を課題曲と自由曲2曲をつなぐキーワードと捉えています。

自由曲
2016年のプーランク「人間の顔」、2017年の三善晃「レクィエム」2018年のバーバー「アニュス・デイ」に続き、平和について聴き手に問いかける選曲を行いました。
今年はアウシュビッツに象徴されるナチスによるホロコースト、現代のウイグル、チベット、香港や台湾について深く学び、考える一年になりました。

自由曲のプログラミングには、A.シェーンベルクの「ワルシャワの生き残り A Survivor from Warsaw op. 46」を重ねています。

Hans Werner Henze
「鉄条網の向こうのオルフェウス」
I. 地獄とはどのようなものであったか?
若き日をヒトラー・ユーゲントとして過ごし、戦後は抑圧的な体制と戦う姿勢を貫き通した作曲家、H.ヘンツェの作品。
軍事政権と秘密警察による監視社会に対する批判がモチーフになっています。
無伴奏の混声12部合唱です。

Arnold Schönberg
深き淵から Op 50b(詩編130)
ナチスのユダヤ政策に反対して1933年にユダヤ教に再改宗した作曲家、A.シェーンベルクの作品。
歌詞はヘブライ語で歌われます。
十二音技法が使用されている無伴奏の混声6部合唱です。


2020年4月25日(土)に東京飯田橋のトッパンホールにて、VOCE ARMONICA第10回定期演奏会を開催いたします。
節目となる記念演奏会ということで、これまで以上にお楽しみ頂ける、とてつもないプログラムを計画中です!
ご来場をお待ちしております。

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関東支部大会とのこと。



黒川先生、ありがとうございました。

ヘンツェの「鉄条網の向こうのオルフェウス」はアルゼンチンの軍事政権に抗議するため作曲されたそうです。
テキストも政治的、社会的メッセージを含んだものだそう。
シェーンベルクの「深き淵から」は亡くなる前年に発表された作品。
どちらも非常に重たく、聴く者を地の底へ引きずり込むような力を持つ現代作品です。

「鉄条網の向こうのオルフェウス」、ギリシャ神話のオルフェウスと言えば、亡くなった妻エウリディーケを黄泉の国から連れ出そうとしますが、妻の顔を見ないという約束を破り、エウリディーケは連れ戻されてしまう…という悲話がありました。
「深き淵から」の「詩編130」には「深い淵の底から、主よ、あなたに叫びます。主よ、私の声を聞き入れてください。あなたの耳を傾けてください、嘆き祈る私の声に」と記されています。

どちらも逃れられない運命の中で苦しむ人間の姿を見るようです。
黒川先生が自由曲のプログラミングに重ねられているという「ワルシャワの生き残り」は語り手、男声合唱、オーケストラのための作品で、テーマは「ナチスによるユダヤ人迫害」。
ワルシャワ・ゲットーでガス室へ送られそうになったユダヤ人たちが、最後に突然ユダヤ教の祈祷文「シェマ・イスロエル(聞け、イスラエル)」を合唱する…というテキストです。


極限状態の中で、音楽はどんな意味を持つのか?

芸術家が命を賭けて音にしたものを、いま私たちを取り巻く状況と重ね、演奏することで問いかける。
黒川先生のここ数年の選曲にはそんな気概を感じられます。
今年の東京国際合唱コンクールにもアルモニカさんは出場され、なんと朝9時代の本番にもかかわらず、この2曲を見事に演奏されたのを憶えています。
あれから約4か月、自らに問い、作品に問い続けたであろう演奏が、京都の地でさらに強く伝わることを願って。



(明日の最終回に続きます)