観客賞座談会・大学ユースの部 その2

 

 

 

 

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観客賞:大学ユース部門

 

 

 


第3位

福島大学混声合唱団
https://twitter.com/fukukon41
(混声28名)

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B 課題曲G1はまず先唱が良かったです。
 演奏はテンポがやや遅めかなぁと思ったけど
 手のひらで温めるように大事に丁寧に歌って。
 それも味かな、と。

A 指揮者の伊藤勲先生、
 かなり前から指揮をされていた先生ですよね。
 昔から福島県は東京から
 著名な先生をお呼びして勉強会をしてきたから
 この課題曲の演奏にもその積み重ねを感じたな~。
文吾注:
 自主的研修グループ「指揮者協会」のこと。
 伊藤勲先生を含む10名の高校教諭が
 田中信昭先生や他の先生を講師として
 昭和42年から月一回の講習会を始められていた。
 「愛と栄光のハーモニー(渡部康夫・著)」より)

C 基礎力が高いと言うか。

A これが福島のふところの深さですよ!(笑)

文 自由曲は三善晃「五つの願い」から
 「3.願い」「4.若さのイメージ」
 「5.空に小鳥がいなくなった日」。
 終曲までの3曲を選ぶとは予想外!

A 3曲を8分30秒に収めるのは大変でしたね。
 だから全体的にちょっとテンポが速めだった。

 自分が三善作品の大人の演奏を
  聴き過ぎているためもあるけど、
  早さもあって、ややあっさり流れ過ぎたかな?
  もうちょっとコクと複雑味があっても…。

A いやいや、例えば「願い」は
 深刻に歌う演奏が多いんだけど、
 それを敢えてあっさり演奏することによって
 押し付けていない、
 しかし悲しみの表情を保った演奏が
 実現できたと思うよ。

C そうそう。

 そうか…日本酒も濃醇旨口だけじゃないものね。
  福島の「口万」や「一歩己」も
  すっきりフルーティーで若々しい魅力があるし!
  「若さのイメージ」はそんな勢いがあった!

C のんべえはすぐ酒に喩える…(笑)。
 速いテンポでもまとまりがあったし、
 三善作品の良さをちゃんと捉えている
 演奏でした。

A この3曲を続けて演奏することに
 意味があると思って。
 だって「若さのイメージ」で
 「スモッグの向こうに夢が見えるんだ」と歌った後、
 「空に小鳥がいなくなった」とバッサリでしょ!

 本当だ!

C 夢、無かったじゃん!(笑)。

B ん~考えさせられるなあ。
 この並びも三善先生の狙いなんでしょうかね。

A 「人生そんなに甘くねぇよ…」

一同 (笑)

A いろいろ考えて欲しいんじゃないかと
 思うんですよね。
 「空に小鳥がいなくなった日」の最後も
 人工的というか、
 やや無機質に歌っていて。
 それが感情を込めて歌うよりも
 恐ろしさが出てくる。

B 機械仕掛けの鳥が鳴いているよう…。

A そう、生き物の温かさが無い世界。
 聴き終わった後に残りましたよね。
 この自由曲は鶴岡土曜会さんの演奏を聴いて
 選んだとか?

 そうです、2年前の東北大会だそう。

 

B 3曲目の「願い」が重なったためもあって、
 大人から若者へバトンを渡すような。
 鶴岡土曜会さんとはまた違った
 福島大さんらしく
 この曲の魅力を引き出した演奏でしたね。





ツイッター、メールの感想です。 

 

福大のG1が好きだった

 

規模の少なさを補って余りあるハーモニーが印象に残りました。

  

何と言っても課題曲の先唱が自然な感じが素晴らしかったです。
自由曲も心に残りました。

  

福大はあの中で圧倒的少人数でもちゃんと聴かせてくれたのが好印象でした。
G1が好きでした。
残響のなさをカバーする柔らかな声で余韻を感じさせる歌声だったなと私は感じました。
東北大会に比べて女性の声が出てたなと。
そして基礎力の高さ!

  

少人数でも意思と自然な流れが素敵な演奏の福島大。
自分たちの出来ることの中でベストを尽くしていることが分かる演奏で非常に好感が持てました。

 

 

 

 

 

第2位

都留文科大学合唱団
(混声48名)

 

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A 課題曲G3「蜂が一ぴき…」
 最初あっさりかなと思ったら。

B 明るさの中に
 かすかな悲しみがありましたね。
 フレーズの抑揚が素晴らしかった!

 あの悲しみを滲ませる表情…
  凄いセンスだし、
  大学生の演奏とは思えないくらい。
  あと、テノールとアルトを合わせた響きなど
  海外の合唱団を思わせるサウンドでした。

A 48人中、男声が8人でしょ?
 しかも昔の都留文って
 テノールに女声が入っていたけど、
 今回それも無かったような。

 (文吾補足:テノールにアルト、あったそうです)
 このアンバランスな人数で
 よくここまでバランスの良い演奏を
 実現できたなぁ!と。

C うんうん。
 …でもところどころ
 「バスが欲しい~」とかはあったよね。
 あと3人、いや2人でも!

 ちょっと歌ってやろうかな!

C 「お引き取り下さい」って言われるよ(笑)。

A だけど目をつぶって聴いたら
 絶対あの人数比とは思わないんじゃない?

B 「刺すのです」の歌い方とか
 ああいう隠していた感情が露わになる箇所、
 上手い!と思いました。

文 アントニーニの自由曲、
  1曲目の「O Gloriosa Domina」
  中間部の舞踏っぽい部分、
  オッシャレでしたね~!

B 音楽の移り変わりも鮮やか!
 あと少ないバスを上手く活かしてた!

 キメの中間色めいたハーモニーも
  素晴らしく良かった。
  気品を感じました。

A アントニーニ、
 昨年は中高全国の審査員だったから
 今年も呼べば良かったのに…。

B そんな無茶な(笑)。
 でもきっと作曲者も喜ぶ演奏でしたね。

文 2曲目の「WAR」はオーボエとの協演で。
  「あれ、これってコンクール?」
  演奏会の1ステージのようでとても良かった。

A 合唱とオーボエの立体感が存在してたなぁ。

B 響き合う空間がありましたね。
 なかなか合唱と協演する楽器じゃないので、
 都留文のようなトップ団体が
 こういうチャレンジをやってくれるのは
 凄く良いことだと。

C シード獲ったし、
 来年の山形ではまた違ったチャレンジを!

 ……外野は無責任に煽るだけでスミマセン(笑)。

A 表彰式の時にさ、
 通路挟んで真後ろに都留文の団員さんがいて。

 いましたね!

A 「金賞・文部科学大臣賞!」と発表されてから
 男性の一人が凄く泣いていてね。
 そうだよなあ、いくら万全の練習していても
 本番で何かアクシデントがあったら、
 あの少ない人数ならそこでアウト!
 少なければ少ないほど
 プレッシャーがのしかかったと思うし。
 ……なにか自分の事のように感じてしまった。
 自分、男だけど
 「お~、よしよし、よくがんばったね!」って。

C 思わぬ母性が出た!(笑)。

 茶化すな(笑)。
  都留文ほどじゃないけど、
  私も男性が少ない団体の経験があるし。
  ああいう姿を見ると、じんとしますね。
  都留文の男性諸君、応援してます!

B もちろん女性団員さんもね!(笑)




ツイッター、メールの感想です。

 

女性の声の透明感が素晴らしかった

 

歌声に合唱の美しさが全て詰まっていた。
自由曲1曲目、舞踏会で一緒に踊ってるような感じがした。

 

響きがとても素敵でした。
課題曲もよかったです。

 

都留文の個々のスキルの高さ!

 

課題曲が納得の演奏でした(100点)

 

男声が少ないのに無理のない発声で女声とのバランスが良く高評価。

 

表現力が一番あったと思いました。

  

O Gloriosa Dominaの響きえげつなかった

 

本当にあの男女比なのか?と思わせるほど男声が鳴ってた。女声ももちろん素晴らしく、特にアルトの声が熟成されてて本当に大学生か?ってなった(褒

  

 目からと耳からの情報のギャップに混乱した(褒め言葉)

  

女声の発声の美しさは相変わらず見事ですし、バートバランス云々を補って余りある表現力で魅力的なサウンドを聴かせてくれました。

 



(第1位の感想に続きます)