吉野の千本桜
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観客賞・混声合唱部門で第8位内に入らなかったものの、印象的な演奏をされた団体の感想を出演順に記していきます。
今回で最終回、最後の2団体です。
合唱団やえ山組
(78名)
文 課題曲G1は
若い実力者が揃ってる!
という音がしましたね。
高い響きで。
B オケが準備しているからって
わけじゃないけど
シンフォニックな響きでした。
C それってヴィクトリアとして
どうなんだろう?
文 いいじゃないですか(笑)。
力で押し付けるでもなく
聴き合う雰囲気もあって。
「Sanctus」に敬虔な祈りを感じました。
A 自由曲はJohann Sebastian Bach作曲
「Mass in B minor(ロ短調ミサ)」より
「Sanctus」「Hosanna」。
単純にオケを聴けて得した気分!
BC文 (笑)。
文 もちろん名曲だし、
海外・プロを含めた名演が
無数にある曲だから
ツッコミどころはあるんですけど……。
A だからもうコンクールの演奏じゃなくって
「演奏会」。
プロフィールにも
「本日は私たちの演奏会にお越しくださり
誠にありがとうございます」って!
B 「総勢26名の『やえ山シンフォニエッタ』との
熱い饗宴を最後まで存分にお楽しみください」!
A 彼らにも
「評価自体どうでも良い」って
ところがあったんじゃないかな。
それで「演奏会」として自分は楽しめたから。
B バッハってやっぱり良いなと思いましたよ。
あと、昨年シェーンベルクを演奏して
金賞2位だったじゃないですか。
次は「人間の顔を演奏して金賞1位だ!」
そんな風に上の賞を狙っても
誰も責めないと思うんですよね。
でも、敢えてリスキーなオケとの
「ロ短調」を選んだ。
これ、けっこうカッコイイな、と。
文 一般団体としては初めてのオケとの協演で。
なんでも初めてというのは難しいし
予想外のことが多くあったりするんだけど。
でも、「初めてやった」ということを
自分は賞賛したいですね。
B これを機会に
オケとの協演を考える団体の
ハードルは低くなっただろうしね。
文 そうそう。
それと初めてオケとの合唱を聴く人や
バッハを初めて聴く人が
あの会場にいたかもしれない。
C いるかなぁ~?!
文 いやいや、邦人作曲家ばかり
歌ってきた大学生とか
けっこういるはずだし。
そういう人がたまたま全国大会だから
あの会場に入って、やえ山の演奏を聴いて
「えー!なんか凄い!!」
と思ってYouTubeでバッハを検索したなら。
あの演奏はとても価値を生んだんじゃないかな。
C CDやデータは購入しないのね(笑)。
文 購入してくれたらそりゃ良いけど!(笑)
……まぁ結果として銅賞でしたが
これに懲りずにまたいつか
オケとの協演で出場して欲しいです。
「カルミナ・ブラーナ」とか。
C もうちょっと
違う曲の方が良いんじゃない?(笑)
メール・ツイッターの感想です。
いい意味でコンクールとは思えない演奏
サウンドが澄んでいて迫力があった
一体われわれは何を見せられていたんだ…?(困惑)
合唱はとても巧かったです
バッハが壮大なせいかG1まで壮大になった
G1の流れ方好きでした。
さすが岩本先生だなと。
自由曲ロ短調ミサは動画で見たフィギュアスケートのとある“男子フリーダム”を思い出しました。
演奏会で通して聴きたいなと。
(散々「あの退場で-」をやっていた中ついに「あの撤収のせいで銅」が発生したと聞いて)
まずG1とても良かったです。
テノールの入りに感動。
惚れました。
自由曲は圧巻。
全員が生き生きしていたのが伝わってくる演奏会でした。
大学ユース部門から始まったこの連載、最後の団体です。
Baum
(59名)
文 課題曲G2は柔らかい、優しい感じで。
特に男声がデリケートな歌唱でした。
A この曲の内容に合った声だった。
文 自由曲:Kim André Arnesen作曲
「Infinity(無限に…)」は?
C キレイだし、均質だし、
サウンドも良くて安定感があったね。
文 美しく聴きやすい曲なんですが、
それに溺れず合唱団内で
ちゃんと聴き合って音楽を持って行く。
過去の演奏とはちょっと違うな?と。
B そうそう!
キレイだけど印象に残らなかったのが
今回は団員さんの意志が
見えた気がしました。
文 想いが入っていたよね。
バランスも良く、
頂点までの盛り上がりが良かった。
ソプラノのソリストさんも
曲に合った声質と歌唱でした。
メール、ツイッターの感想です。
前4団体が何かと派手だったがそれに負けずとも劣らない堅実な演奏
サウンドは独特な柔らかさがあって自由曲はとても美しい
<今回の観客賞を振り返って>
長らく続けてきたこの観客賞・座談会も今回で全48団体が終わりました。
発言の前に発言者を記したり、マイナーチェンジは年々しているつもりですが、ご要望、改善など、ご意見がございましたら、メールかコメントをお寄せください。
観客賞の投票を集計して思うのは、もちろん団体によって得票数の違いはあれど、どの団体も支持する人がいるということです。
自分もあまり魅力がわからなかった演奏について、強く肯定する感想を目にし、「なるほど、そういう聴き方があるのか」と思い直したことが多々あります。
「わからないから遠ざけておこう」というのも一つのやり方ですが。
「わからないから肯定する人の意見を聞いてみよう」もまた面白いと思うのです。
もちろん自分と違った意見をそのまま受け入れるということではなく。
「自分がわからない演奏を好きという、こういう感想もあるんだなぁ」
その程度で良いから心の隅に置いておく。
そして時おり、では自分はどうなのか?なぜ好きなんだろう?と自分に質問してみる。
他の人の意見をいくつも心に置いておくことは結局、自分の考えを強くすることに繋がると思っています。
↓ 昨年の観客賞座談会の最終回、《観客賞を振り返って》を読み返し・・・。
うん、基本的にはこの姿勢から何も変わっていません。
「私は、あなたの演奏をしっかり聴くつもりだし、良い所はちゃんと認めたい!」
座談会に参加していただいたみなさま、そしてツイッター、メールで投票と感想を送ってくださったみなさま、素晴らしい演奏を聴かせていただいた団体のみなさまに心からお礼を申し上げます。
2020年の全国大会は山形だそうで。
自分も健康面や仕事でいろいろと難しい年頃になってしまいましたが、その時にまだ体力と気力があれば、ふたたびこの企画を立ち上げたいと思います。
いろいろと心痛む話が多いこの頃ですが。
みなさん、手洗いをしっかりして乗り越え、また元気にお会いしましょう!
(2019年度観客賞座談会 おわり)