最近聴いて良かった日本の団体の合唱動画

 



過去の音源を公開する団体が増えています。
私が最近聴いた中で、特に良かった音源をご紹介します。


 


1)お江戸コラリアーずさんの「水のいのち」

 


本来ならLa Pura Fuenteさんとのジョイントコンサートのはずだった4月5日の14時から順に演奏動画を公開。
しかも4ステージ構成という凝りよう。
どのステージも良かったのですが、第4ステージとして須賀敬一先生を客演指揮に迎えられた「水のいのち」が凄かった!

 

 

 

男声はもちろん、過去の女声、混声を併せ屈指の名演です。
詩の精神性に基づいた言葉の扱いと声の明暗、なおかつ作品に内在するリズムを活かし、水の流れるが如き音の運び。
ときに己れの濁りを省み、それでも空の蒼を希求する音の美しさと愛おしさ。
歌い手が言葉単体だけではなく、文脈として音楽と共に響き合い、発する言葉があり、詩を読み返したくなります。
聴き終わった後、すぐ2回目を聴き始めました!
自分の聴いた中では一昨年の「縄文土偶」に匹敵するほどの、おえコラさんベスト演奏。


 

 

 

 

 

 

2)岩手大学合唱団さんの定期演奏会



岩手大学合唱団さんはたまたまYouTubeで聴き、その演奏の上質さに驚き、5年前にもこのブログで「知ってましたか?岩手大学合唱団」という記事にしました。

 (※2004年の佐藤眞先生指揮、仙台フィルハーモニー管弦楽団との協演「土の歌」、全曲UPをぜひお願いします!)

 

 

 

昨年、2019年12月に開催された定期演奏会から数曲を公開されています。
これがまた、声と旋律の美しさ、言葉の繊細な扱い、合唱としての優れた響きと、期待を裏切らない素晴らしい演奏!

「聴いてくださる方が希望を持てるよう、心を込めて演奏しました」との「瑠璃色の地球」も良かったのですが。

 

編曲者の田中達也先生も賞賛された「いのちの歌」が特に良かったんです!

「本当に苦しい時も、思い出の歌は私たちの心を慰めてくれます。
実は見逃しがちな、人々との出会いへの感謝を込めて演奏しました」

・・・染みますね。

 

 

 

常任指揮者:佐々木正利先生による「多田武彦の こころ、そして うた」の「富士山」より「作品第肆」も、実に惚れ惚れする演奏です。

 



「今後も音源を公開していく予定」だそうなので、非常に楽しみですね。

 







3)harmonia ensembleさんによる「彼方のノック」



こちらは過去の音源ではなく3月に収録された演奏です。

ハルモニア・アンサンブルさんはプロフェッショナルな合唱団。
10年前の全国大会出場時にはこのブログ企画にもご寄稿していただき、その後のご活躍はみなさまご存知の通りだと思います。

 


そのハルモニアさんがなぜいま、今年のNコン高校の部課題曲「彼方のノック」を録音し、動画配信を行ったのか?
ツイッターの公式アカウントにその理由が書かれていました。

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土田豊貴先生の音楽の良さは当然のこととして、全くの偶然なのですが、辻村深月さんの詩と現在の閉塞された状況が同調し、聴きながら深いものが残ります。
加えて、ハルモニアさんの優れた技術、前田勝則さんの巧みなピアノはもちろんのこと、人と声を合わせる「この一時」を慈しみ、体温が伝わるような“熱”が確かに在る演奏と思いました。

この方も絶賛!
harmonia ensemble‬ のNコン2020課題曲

 



招聘されていたニュージーランドでの世界合唱シンポジウムの中止という悲しみから、これほどの演奏をしてくださった福永一博先生とハルモニア・アンサンブルのみなさんに心より感謝いたします。


それでもやっぱり、技術的には及ばないかもしれないけど、小中高の学生さんによる課題曲を聴いてみたいなぁ、本当に!