観客賞スポットライト 室内合唱部門 その1

 

 



昨日までは大学ユース部門へ出場の団体をご紹介していました。
12:47から1時間以上の休憩のあと、14:00から24名以下の室内合唱部門の始まりです。

 

 

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倉敷美観地区 ©岡山県観光連盟


室内合唱部門は人数が少なめなため、個々の「これがやりたいんだ!」という想いが強く伝わってくる部門です。
ただ、客席が寂しいことが多く・・・。
選曲の幅広さ、そして社会人になっても合唱を続けることの喜びが伝わる団体もあったりするので、大学ユースのみなさんにも聴いて欲しいなあ。



それでは始めましょう!
2021年室内合唱部門全国大会は14時から。
各支部から10団体、はじめましての団体さんも3団体です。

 



最初の団体は地元・岡山からこちらの少年少女合唱団です!

 

 


1.岡山県・中国支部代表

倉敷少年少女合唱団

https://twitter.com/kurashiki_ss_g

(女声24名・3大会連続出場・第69回大会から4回目の出場)


一昨年の出場時は、岡山県からなんと46年ぶりの全国金賞受賞団体となった倉敷少年少女さん。

 


声楽のコンクールに上位入賞している団員さんがいるだけあって、ステージから高く伸びあがるような発声にまず度肝を抜かれました!

大人寄りの声で安定感、ハーモニーの精度が抜群!

鈴木輝昭先生の作品はまったく破綻することもなく、自然さ、柔らかさもあり、音響現象だけがずっと続くんじゃなく要所で言葉の魅力が生きていた。

 

……などととても好評でした。
指揮者の難波夕鼓先生よりメッセージをいただいています。

 


お久しぶりです(涙)、倉敷少年少女合唱団です!
美しい白壁の街(文吾様のお膝元!)岡山県倉敷市で、園児〜高校生等の約150名が、声楽を基礎とした美しい発声を目指して活動しています!
2019京都全国で挑戦した、鈴木輝昭先生の「幻の風・光の海」から3rd Sceneに、金賞と予想外のカワイ賞を頂き大喜び。
夢と希望にあふれていた子ども達が、突然コロナに大好きな歌を奪われました。
大変な日々を乗り越え、2年ぶりに地元・岡山全国で演奏できる事、本当に嬉しく思います!
「少年少女合唱団の宿命」として、毎年、高3のリーダーたちが力強く羽ばたいていきます。
前回から半数が「ひな鳥」(新人)に入れ替わり、また未曽有の「録音審査」??!!となった為、本当に本当に心配しかしていなかった中国支部大会で、初・全日本理事長賞を頂きびっくり、なんとか無事さえずっています!

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【コロナ真っただ中、カワイ奨励賞に(贈呈頂いた楽譜を持って)お礼の記念撮影】



大人数だと練習会場でのソーシャル・ディスタンス等が難しく、練習もかなり大変とお聞きしました。
少年少女合唱団も学生団体と同じく、卒団制度があるんですね。

団員さんの半数が新人さんとは、考えるだけで大変そう!

さて、倉敷少年少女合唱団さんは今回は何を演奏されるんでしょう?

 


今回の演奏曲について。

・課題曲F4「いたいな」(「愛のとき」から)(木島 始 詩 髙嶋みどり 曲)は、わらべうたと言われる曲の中に、美しい響きを目指します。

・松下耕作曲  女声合唱のための「聖母への祈り」から「Ave Regina caelorum(幸いあれ、天の女王よ) 」は、宗教曲ながら勢いや疾走感など迫力のあるこの曲のカッコよさを、若い力で表現できればと思います。

・Gustav Holst作曲「Ave Maria」は、8声部の難曲に24名で挑戦!
コロナで練習参加条件を厳しくしている今、各パート極少人数の為、大変でした(涙)!
メンバー揃って無事演奏できるか、当日まで薄氷を踏む思いです。
また、マスク着用の為、どこまでお伝えできるかわかりませんが、このコロナ下に少しでも「合唱の素晴らしさ」を感じて頂けるよう、また、合唱の灯をともし続ける事ができるよう、皆で心を込めて歌います。

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【2019京都全国、難曲を無事歌い終え、笑顔爆発! 
 多くの高3団員が東京芸大など声楽の世界へ羽ばたきました!】


難波先生、ありがとうございました。

自由曲は宗教曲から2曲、と言ってもその性格はかなり違います。
「Ave Regina caelorum」は難波先生が書かれるように勢いとリズム、疾走感など、おじさんにはなかなか表せない「カッコよさ」を若さあふれる倉敷少年少女さんなら見事に表現してくれるはず。

そして「惑星」で有名なイギリスの作曲家ホルストの「Ave Maria」。
何度聴いても心に響く名曲ですが、この作品はホルストが8歳の時に41歳で亡くなった母:クララ・レディアード・ホルストの思い出に捧げられているんですね。
8声部を24名で歌うのは本当に難しそう。
でも心のどこかでお母さんのことを想って歌ってくれると嬉しいな。

2曲とも、もちろん難易度が高い作品なんですが、技術を全面に出すのでは無く、音楽、合唱の喜びを真正面から伝える名曲。

>「合唱の素晴らしさ」を感じて頂けるよう
>合唱の灯をともし続ける事ができるよう

倉敷少年少女さんの心を込めた歌、期待しています!






続いては初出場のこの女声合唱団です。






2.東京都・東京都代表

女声合唱団 ゆめの缶詰

 

https://twitter.com/yumecan_choir


(女声24名・初出場


初出場おめでとうございます!
ゆめの缶詰さんは東京都大会で東京都合唱連盟理事長賞、審査員特別賞を受賞。

演奏曲は
課題曲F3 夜来香(「花の四季」から)(江間章子 詩 池辺晋一郎 曲)
自由曲:「夕暮-女声合唱とピアノのための-」(谷川俊太郎 詩/土田豊貴 曲)
「夕焼け」(女声合唱アルバム『ここ・いま・春』より)(工藤直子 詩/相澤直人 曲)

「夕暮」「夕焼け」と同じ時刻で揃えられた自由曲。
2曲目の「夕焼け」は相澤直人先生の自作自演ということになりますね。

代表の阿久津さんからメッセージをいただきました。

 


私たち女声合唱団 ゆめの缶詰は、音楽監督・相澤直人のホーム合唱団として2015年に結成された女声合唱団です。
アットホームな空間と時間の中で、団員ひとりひとりが主人公となり音楽を伸び伸びと表現する姿は、ゆめが詰まった缶詰のよう。
初出場となる全国大会で、蓋を開け、皆さんにもお裾分けできることを団員一同楽しみにしております。

課題曲は池辺晋一郎作曲「夜来香」。
香りが視覚的にも漂ってくるような、その国の風景や遠い地からの人々の想い。
それらに優しく包まれるような、とても美しい曲です。
私たちが大切にしている、映像のようなグラデーション、色彩の変化を美しいピアノの音色とともにお楽しみください。

自由曲は土田豊貴作曲「夕暮」、相澤直人作曲「夕焼け」。
「夕暮」は心の揺れ、葛藤を夕暮という大きなスケールで表現した、土田先生らしい大変エネルギーのある曲で、夕日の眩しい輝きが、まるで目の前にその情景があるかのように、豊かに広がって駆け抜けていくかのよう...。
壮大な曲なので、ご自身の人生への想いを馳せながら聴いていただけると幸いです。
「夕焼け」は明日への希望を込めた祈りの曲。
リアルでなかなか会いにくい、なんでもオンラインで、、という時代。そのため皆で音楽を紡ぐ時間がなによりも大切に感じられます。

あしたは かならず 晴れるに ちがいないなぁ

混沌とした世の中ですが、聴いてくださる皆さまの心に明日への希望の陽が灯りますように。

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阿久津さん、ありがとうございました。

YouTubeで聴かせていただいた2019年ゆめの缶詰さん東京都大会の演奏。
「その木々は緑」「聞けよ、ひばり」「きんぽうげの日々」 詩、言葉に繊細な感性、生命力に満ちあふれた演奏だと感じました。

今回の演奏曲「夕暮」「夕焼け」、特に「夕焼け」は初めて聴く人にも「良い曲……」と思わせる作品です。
作曲家:相澤直人先生の自作品を、相澤先生が信頼されている「ゆめの缶詰」さんに歌ってもらえる。
聴衆として幸せな時間です。


「明日への希望を込めた祈りの曲」、工藤直子さんの一見易しく、優しいことば。
強い音楽の説得力を持たれる相澤先生。
細やかな心情表現に長けたゆめの缶詰のみなさんなら、美しい音だけではなく、きっと心に夕焼けの光や、夢が広がるステージになることでしょう。




(明日に続きます)