リトアニアの合唱団 ヤウナ・ムジカ倉敷公演感想

 

 

 

10月2日 17:00~


倉敷市民会館で、初来日というリトアニアの合唱団、ヤウナ・ムジカの倉敷公演を聴きました。
バルト3国ではエストニア、ラトビアの合唱団は何回も聴いているんですがリトアニアは初めて。
さらに今年は日本とリトアニアの友好100周年記念だそう。

 

男女半々24名。
決して張り上げず、澄み切った響きとひそやかな演奏。
弱音が特に美しく、ここまで繊細な表現の合唱は記憶に無いほど。

 

 

 

第一部はリトアニア民謡を題材にしたリトアニアの現代作曲家たちの作品。
鳴り物を多く使い、指揮者:アウグスティナス氏作曲の「三つのリトアニア民謡」はポピュラー色が濃く、男女の会話の演劇的な洒落た演出、最終曲の一列に広がり高らかに歌い上げる作品など、キャッチーでやってみたくなる合唱好きは多そう。
個人的にはヴェニスロヴァス「日が昇るよ、昇る」は2人の女声ソリストと合唱の、つかず離れずの音響空間に惹きつけられました。
合唱を越える声楽能力は十分お持ちと推察するソリストでも、ことさらに音量も響きも主張せず、合唱と重なり同化する箇所、わずかに異なる箇所のグラデーションが興味深かったです。

 

 

 

 

 

第二部は日本人を含むさまざまな海外作曲家の作品。(…このプログラム、絶対日本人が一枚噛んでるでしょ⁈)

 

 

ウィテカー「スリープ」はこの和音の精度で演奏するとこんなにも違うのか!と驚き。
初めてこの曲の本質を伝えてもらった気が。
この演奏会最高の1曲を選ぶとしたら、自分はこの曲でしたね。
(だからこそ終わりがけピアニッシモで「……sleep」と繰り返される部分で携帯の着信音?が盛大に鳴ってしまったのは残念。倉敷市民会館は携帯電話などの通信機能抑止装置は設置されていないようで……)


エセンヴァルズ「ロング・ロード」はあそこで拍手してしまうのは仕方ないですよね(笑)。
間宮「合唱のためのコンポジション」はここまで綺麗に響くコンポは聴いたことが無い、というか全くの別曲!
なぜこの作品が選曲されたかというと・・・知人からの情報によると、日本の某有名指揮者氏が前にヤウナ・ムジカで客演指揮をされた際にコンポを演奏し、今ではヤウナ・ムジカのレパートリー(!)になってるとのことでした。ですから日本公演が理由で選曲されたのでは無いとのこと。
 ※※あくまで飲みながら出た話、だそうです。知人さん感謝です)

 

解説の女性から「今年の全日本合唱コンクールの課題曲です」と説明された大中恩 「草原の別れ」は全国大会でこれ以上の演奏が聴けるかな?というほど。
プログラム最後の曲ということもありましたが、繊細な響きとフレージングが胸に迫りました。
アンコールの曲名は秘しますが、超有名曲はやはり涙腺に。

 

 

ヤウナ・ムジカ。肩を掴んで揺さぶる!…というタイプの演奏ではありませんでしたが、雑味を極限まで除き、ひたすらにクリアな音響と音楽を追求されている印象。
海外合唱団を生で聴くのは数年ぶりだけど、「こういう音楽もアリだな!」と合唱音楽への固定観念を壊してくれるのは有り難い。
倉敷を皮切りに、日本ではあと13公演、頑張ってください!

 

 

【公演日程 2022年】
10/2(日)17:00 倉敷市民会館 
10/4(火)18:30 広島文化学園HBGホール
10/5(水)18:30 岡山シンフォニーホール
10/7(金)18:30 呉信用金庫ホール
10/9(日)15:00 下関市民会館
10/11(火)19:00 アクロス福岡シンフォニーホール
10/12(水)19:00 北九州ソレイユホール
10/14(金)18:30 アルカスSASEBO 大ホール
10/16(日)14:00 サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)
10/18(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
10/20(木)18:30 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
10/23(日)14:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
10/25(火)18:30 けんしん郡山文化センター
10/26(水)18:30 神奈川県民ホール