観客賞スポットライト 同声合唱の部 その4

 

 

鵜倉園地(南伊勢町)
提供:三重フォトギャラリー


大学ユースの部その3でもご紹介しましたが
再度、「マスクがずれないための工夫」について。


演奏中のマスク、着用か否かの議論はさておき、着用したときのマスクのズレが気になりますよね。

この記事で「マスクがずれない工夫」という文を書きました。

 

「おんがく広場」の第191号、加藤良一さんが書かれた方法。

https://www.facebook.com/photo/?fbid=5672121672876967&set=a.111355925620264


 

 

○平面型では無く、立体型のマスクを使用

 

○絆創膏の接着面を表にし、輪にしてマスク内側中央の鼻に当たる部分に貼る

 
両面テープより、絆創膏は肌に優しいし適していると思います。
マスクのズレに悩まれている方は是非とも試してみて欲しいですね。
転載をご承諾下さった加藤さん、ありがとうございました。

 

 

同声合唱部門、最後の3団体をご紹介します。

 


9.宮城県・東北支部代表

合唱団Pálinka

https://mobile.twitter.com/choruspalinka

(男声38名・2年連続出場・第50回大会から4回目の出場)


昨年は23年ぶりの出場からの連続出場!
勢いがあるパリンカさん。
ハンガリーの地酒パリンカ、そして小山章三先生の男声合唱曲「パリンカ」を団名に持つこちらの団体。
昨年の演奏では

 

課題曲M3のコンポジション、
古めかしい感じだけじゃ無く、
若い団員さんがいるためか
若さのエッセンスも
出てたんじゃないかな。
大人の男声という雰囲気が
良く出ていたと思います。


自由曲の松下耕「俵積み唄」は
名演だと思ったな。
合唱のハーモニーだったり、
掛け声だったり、
ソロだったり。
バランスが本当に絶妙で。


課題曲も自由曲も、
民謡の土着の音が鳴っていてとても好きな演奏。
特に俵積み唄は作品の持つコミカルさを
表情豊かに表現した快演、お見事でした。

……と好評でした。

パリンカさん、実は今年の自由曲が昨年の課題曲:間宮芳生「合唱のためのコンポジション6」から。
さらに松下耕「俵積み唄」は昨年と同じ演奏曲なんです。
なぜこのような選曲をされたのでしょう?

指揮者:千葉敏行先生からメッセージをいただきました

 

10月30日に念願だったパリンカ石巻公演を行うことができた。80名を超える地元合唱団のみなさんとの合同合唱、700人を超えるお客様を迎え盛況のうちに幕を下ろすことができた。

震災後、石巻で演奏しなければならないと思ってきた。東日本大震災最大の被害地であった石巻、お送り仲間や知り合いのいる石巻。二つのホールが被害を受け、演奏する場所もない。かえって地元のみなさんにご迷惑をかけてしまう……パリンカはチャンスを待ち、力を蓄えようとしてきた。 

ようやく昨年、石巻に本格的な多目的ホールが完成し、パリンカが23年ぶりの全国大会出場を決めたことから、10月、石巻公演の機が熟した。
被災地を励まし、コロナ禍で元気をなくした石巻の合唱界にエールを送り、さらにコンクールを両立させる選曲をした。
課題曲「平林」は、落語「平林」を素材とした珍しい作品。
「合唱のためのコンポジション6」よりⅡ(間宮芳生)は、青森県八戸市の権現舞は小正月の春祈祷のためのもの。
「俵積み唄」(松下耕)は青森県三戸郡に伝わる民謡・門付唄・どちらもその年の一家の繁栄、家内安全、悪魔祓いの曲である。

石巻メンネルコールのみなさんとともに歌った「斎太郎節」は、いつもとは一味違う、魂のこもった歌となった。
石巻市民合唱団、石巻メンネルコール、水明ハーモニー 、Ensembleフレーズ 、おがつオーリンクコーラス 、コール・カトレア、コールパストラーレ、ラ・シャンティーヌ、矢本コーラス愛好会、石巻のみなさんとともに、「あすという日が」「大地讃頌」を演奏できたのは、意義深く、感銘深いものとなった。

石巻市の合唱団とともに。

 

東日本大震災によって、私たちは歌の力、音楽の力を実感し、歌によってつながることの歓びを味わい、頑張ることができた。しかし、コロナ禍に入り、訪れること、つながること、そして「歌うこと」ができなかった。今年は様々なイベントなどに「3年ぶり」という形容詞が付くようになった。できるようになったこともあれば、まだできないこともある。それ以上に、ブランクの間に失われたことの多さに驚きおののくことすらある。どうすれば取り戻せるのか? やはり発想の転換やあり方を改めなければと思うことばかりだ。

しかし、石巻での体験はそればかりではないことに気づかせてくれた。合唱を通して「つながる」ことはやはり素晴らしい、感動的なのだと。これをエネルギーにして頑張っていけるのだと気づくことができた。

本日、全国大会の舞台に参加することができなかった友のために、友が再び笑い、元気に歌う日が訪れることを祈り、演奏したい。 
23年ぶりでガヂガヂになってしまった岡山のリベンジでもある。
どうぞお楽しみください。

合唱団パリンカ常任指揮者 千葉敏行

東北支部大会の集合写真とのこと。


千葉先生ありがとうございました。
昨年と同じ「俵積み唄」を選ばれたのは岡山大会でのリベンジというだけではなく

>被災地を励まし、コロナ禍で元気をなくした石巻の合唱界にエールを送り、さらにコンクールを両立させる選曲

……が理由だったのですね。
昨年の千葉先生の言葉によると「俵積み唄」は、疾走感溢れるピアノ・ソロ,ジャズのテンションコードと,日本民謡の魂が見事に交錯した作品。
東北支部大会の演奏を聴いた知人の話によると「去年からグレードアップした演奏でした!」とのことなので新たな「俵積み唄」に期待が持てます。

自由曲の2曲は「どちらもその年の一家の繁栄、家内安全、悪魔祓いの曲である。」
パリンカさんの歌、祈りによって、聴かれるみなさんへ幸せが訪れることを!

 

続いてこちらもベテランの風格の女声合唱団です。

 

10.熊本県・九州支部代表

合唱団Le Grazie
(女声16名・3年ぶりの出場・第41回大会から16回目の出場)


岩津整明先生を慕い集まった、奥深い表現を得意とする女声合唱団。
3年前の感想では

 

課題曲F3「飛翔-白鷺」は
この年代の方が歌う重みがありましたね。
熟練の演奏でした。


自由曲:信長貴富作曲 
女声合唱とピアノのための
「だましてください言葉やさしく」より
「1.もう一つのコップ(詩:高橋順子)」
「3.愛人ジユリエツト(詩:新川和江)」 、
いやこれはもう2曲まとめて・・・
凄かった!


そういう風に
作曲されているのもあるんだけど
言葉が非常にわかって。
だから音と言葉と感情が
密接に繋がって聞こえました。


ソリストのキャラクターが最高でしたね!
今大会の主演女優賞はあなただ!

……と、大変に好評でした。

 

代表の森さんからメッセージをいただきました。

 

こんにちは。「合唱団Le Grazie」です。
3年ぶり16回目の全国大会参加、 津の全国大会も19年ぶりで団員一同楽しみにしております。 
熊本県立第一高校合唱団のOGが集まり、34年前に立ち上げました。 
昨年は恩師、岩津整明先生が80歳を迎え、 先生と関わりの深い合唱団と一緒に「傘寿記念演奏会」を企画。 しかしコロナにより2度の延期を余儀なくされてしまいました。 来年こそはリベンジしたいです。

今回は3人の女性詩人の作品を選んでみました。
課題曲はF4「定点観測」
初めての詩人、初めての作曲家との出会いです。 
20歳で膠原病を発症、10代から詩と写真で受賞歴がある三角みづ紀氏の詩は、 映画のワンシーンのような一夏の情景を鮮やかに浮かび上がらせます。 流麗なピアノに誘われ、様々な表現を求められる宮本正太郎氏の旋律は美しく、 静かに熱く生を見つめながら歌います。 
自由曲は3年前にも取り上げた、女声合唱とピアノのための「だましてください言葉やさしく」より 
1曲目は「もう一つのコップ」 (高橋順子:詩)
独身女性の日常の一場面を少しシニカルかつ自虐的に綴った詩、 あたかも「ひとり芝居」の一場面のように表現してみました。 
2曲目は組曲の表題にもなっている「だましてください言葉やさしく」 (永瀬清子:詩)
3年前には組曲の中の「愛人ジュリエット」を歌いましたが、 
この2曲目も捨てがたく、今回はこちらを取り上げました。 
なんと言っても心を掴まれる冒頭の信長貴富氏のメロディ、大好きです! 
一見男性に甘える女性の詩のようにも聞こえますが、 封建的な時代と農村の生活で様々なしがらみに縛られる中、 声高に叫び抗うのではなく、優しい言葉一つで騙されたふりを演じてみせるという詩人の言葉は、 閉塞的な環境にいる女性へのエールのようです。 
3人の女性詩人の作品に登場するヒロインを私達なりに演じ分けてみました。
ゆり先生のピアノと共に私達の歌が皆様の元へ届きますように。

九州大会オンステ直後のものということ。

森さん、ありがとうございました。
「定点観測」は今回人気の課題曲で、たくさんの女声合唱団が歌います。
6番目に出場のHBC少年少女合唱団とグラツィエさんとの聴き比べが楽しみですね。

森さんの詩の背景へのご説明に興味を惹かれて。
「もう一つのコップ」はサスペンス、ホラー?!と思わせてからのシニカルな自虐。
「だましてください言葉やさしく」は一見かよわい女性の印象を受けますが、メロディーの変化と相まって実は掌の上で男を転がすしたたかな女性と印象が変わります。

> 3人の女性詩人の作品に登場するヒロインを私達なりに演じ分けてみました。

この年代だからこそ出せる味わい、と言ったら怒られるかもしれませんが。
グラツィエさんの幅広く、奥深い表現力と曲がハマったら凄い効果が生まれるのは3年前にも体験済み。
どうか今年も「主演女優賞」目指して頑張って下さい!
(・・・そんな賞は無いんですが、すみません 笑)

 


同声合唱部門、最後の団体は初出場の女声合唱団です。


11.広島県・中国支部代表

女声合唱団コール・ビビッド
(女声11名・初出場

初出場おめでとうございます!
いつから活動されているのか?どんな団体なのか?
団員さんからメッセージをいただきました。

 

はじめまして!広島県広島市から参りました、コール・ビビッドです。女声合唱大好きな私たちは、団員から指揮者まで、合唱とカワイイを追求するため日夜活動しています。(カワイイ指揮者はTwitterやFacebookで見られます!)2008年の結成以来、「ビビッド」の名にふさわしい「明るく」「鮮やかな」女声合唱を求め続けてきました。念願だった全国大会の舞台で皆様に私たちの歌を聴いていただけることが、何よりも嬉しいです。今日もビビッドな歌声をお届けできるよう、楽しんで歌います。

2008年の12月に、安田女子大学の小さな小さな教室でビビッドは誕生しました。安田女子中学校、安田女子高等学校で合唱をしてきた代表が、大学でも自分たちの歌を歌い続けたいと思い、安田女子大学の同級生と一緒に立ち上げました。その後、同じ大学に進学してきた安田女子中・高の後輩たちや、広島市内の大学に通う合唱仲間たちを新たなメンバーに加えながら、14年間歌い続けてきました。

 

ほう、今年で結成して14年になるのですね。
気になるのはカワイイ指揮者・・・
ビビッドさんは混声合唱部門に出場の「合唱団ある」さんと同じ福原泰弘先生を指揮者に擁する団体です。

 

 

カワ、イ、、い……?

今回のビビッドさんの演奏曲。

●課題曲
F1 Quam pulchra es
John Dunstable 曲

●自由曲
「Magnificat(私の魂は主をあがめ)」
Javier Busto 曲

「Hodie Christus Natus Est(今日、キリストはお生まれになった)」
Karai József  曲

自由曲の2曲にストーリーがあるとか?

 

少人数編成で歌えて、かつ歌いごたえ聴きごたえを兼ね備え、コンクールの時間制限に適した女声合唱を探すのは、毎年苦労しています。当団の指揮者が得意とするのが、現代作曲家による宗教合唱曲。いつもたくさんの案を出してくれるので、団員みんなで参考音源を聞いたり楽譜を見たりしながら、ああでもないこうでもないと悩んでいます。今年は、候補曲の中で気に入ったものを挙げた際、偶然にもキリスト誕生を待ち焦がれる待降節のMagnificat、そしてキリスト誕生の日の喜びを歌うHodie Christus natus estが並び、キリスト誕生のストーリーができあがっていました。これしかない!と満場一致の決定となりました。
当団の指揮者は、宗教音楽に取り組む理由について常々このように語っています。

「私たちは、キリスト教徒でもないのですが、人間に共通する祈りは必ずあり、それは宗教の違いを超えるものだと思います。イエスの誕生について、私たちの救世主ではないかもしれませんが、私たちの心の闇を助けてくれる存在がこの世界にはあって、それに祈ることは、この世界の平和を願うことに等しい。私はそう思っていますし、それを願わない人はいないと思うのです。」

 

ありがとうございました。
中国支部大会の演奏を聴かせていただいたのですが、課題曲F1は上方向へ心地良く解放される声、純粋な祈りのイメージが胸に迫り。
ブスト「Magnificat」は最初から最後まで、明るい曲想への表現に不足も過剰も無く、その解釈に頷きながら聴いてしまいました。
それを受けてのカライ「Hodie Christus Natus Est」は軽快なリズムが若い女声に合い、キリストが生まれた喜びが弾けるようで、素晴らしい演奏だったと思います。

三重大会、最少人数の11人で全国大会初ステージ、さらに部門最後のトリに挑むビビッドさん。
大きく、熱い拍手で出迎えたいですね。
頑張ってください!

 

 

(混声合唱部門に続きます)