三重全国大会あれこれ・下

 

三重での全国大会で起こったことをご紹介する「全国大会あれこれ」の続きです。

 

【樋本英一先生のご講評】

1日目、審査員:宮本益光先生の「ちょっと静かにして、周りの音を聴いてみましょう」のご講評も良かったのですが、2日目の樋本英一先生のご講評です。

文中の「WAKAGE NO ITARI」は「若気の至り」と書くところを、同名の団体があることからの洒落っ気なのかな?と(笑)。

「たとえ、楽譜に叫ぶように、と書かれていても、美しい声でなければならない」

これは賛否両論あるかもしれませんね。
かつて著名なボイストレーナーの
「舞台に本物のホームレスを上げても、それは舞台として成立しない。
役者の『ホームレスのように見える』演技があることで舞台が成立する」
という言葉を思い出しました。

樋口先生は「生の感情」をそのまま出すのでは無く、表現として意識的になるべき、とおっしゃりたかったのでは……と想像します。

 


【美し国、三重】

開会式のご挨拶で「美し国(うましくに)」と言われるだけあって、美味しいものがいっぱいの三重県。
1日目の居酒屋が三重グルメ推しの店だったので、いろいろ堪能することに。
大人のこぶしほどの揚げぎょうざ、「津ぎょうざ」は食べ応えバツグン!

 

津の思わぬ名物は「うなぎ」だそう。
以前、津市ではうなぎの養殖が盛んで平成18年の市町村合併まで、津市はうなぎの消費量、店舗数とも全国一の町だったとか。
TLに流れてくるうなぎの写真が旨そうで美味そうで!(私は食べていません)

 

三重県総合文化センターの敷地内でも「さんま寿司」などが売っており。


朝、コンビニで買ってきた割引おにぎりを取り出し、知人たちがおいしい!さんま寿司おいしいねと言っているのを横目に紅葉を愛でます。(私は食べていません)

 

 

岡山に戻る日、ランチなら手が届くだろう・・・と入店した松阪牛の焼き肉屋。

このマーブル模様の美しいサシ!
マシュマロ並みの柔らかさと甘み。(これは肉を超えた肉、つまり豆腐の加工品か何かでは?)と脳がバグりました。

食べた!オレは三重グルメを食べたぞ!!
(財布の中身が乏しくなり、帰りは新幹線を使えず6時間以上かけて岡山に戻りました)

 


【シェーンベルクと高嶋先生の言葉】

混声合唱部門に出場のクール シェンヌさん。
自由曲にシェーンベルク「地上の平和」を演奏されたのですが、団員の山氏さんからご提供いただいた資料に、作曲から20年以上経ち「世界に平和の歌は欠けているのか」というテーマで書かれたシェーンベルクのエッセイがありました。

https://schoenberg.at/index.php/de/joomla-license/friede-auf-erden-op-13-1907


「教会音楽を書くなら宗教的でなければならない、愛の歌を書きたいなら恋をしていなければならないというのはおそらく事実だとしても[中略]傷ついた人間を描くのに傷を負う必要はなく、死にゆく人間を描くのに死ぬ必要は確かにない。そして、永遠の平和を信じなくても、平和の賛美歌を作曲することは確かに可能であろう。」
作曲した当時のシェーンベルクは地上の平和を「まだ人々の和解が可能であると信じていた頃の作品」と語っているそうです。


同声合唱部門へ出場のメンズ・ウィードさん。
プロフィールには指揮者:高嶋昌二先生が書かれた文。

今からほぼ80年前の戦時中、厳しい言論統制の下、文学者は沈黙するか戦意高揚のための作品しか発表できませんでした。そんな中、金子光晴は表面上「美しい日本」、本意は「この愚かな日本は必ず負ける」という『落下傘』を、命がけで世に問いました。当時その意を読み取ることができなかった体制側も含め、どれだけの人がその慟哭に気づいたことでしょう。それはまるで今の……
私たちの演奏を、現代社会は歯牙にもかけません。それでも私たちは歌います。平和を。

 

何を信じるか信じないか。
信じなくても信じても、何かを投げかけることに意味はあるか。
無力に思う自分の力でも、それでも・・・。
そんな様々なことを考えてしまったシェーンベルクと高嶋先生の言葉でした。

 

【あい混さんと中学生の物語】

混声合唱部門に出場のあい混声合唱団さん。
本番当日に中学生とこんなお話があったそうです。

 

動画を見ると、招待した名古屋市立豊国中学校合唱部の皆さんへのサプライズ。
良い話だなぁ、としみじみしてしまいました。
「花がほほえむ」も気持ちが伝わる演奏。
ただ、中学生にあい混さんだけじゃなく、今年の混声合唱部門全団体を聴かせたのなら、ちょっと将来が心配……というのは冗談です(笑)。
でもマジメな話、一般合唱団と中学生、高校生との交流は非常に大事だと思うんですけど、なかなか現実的な解決策は難しく。
あい混さんのように、全国大会当日でもこうした交流をされるのは本当に素晴らしいことですね。
一般合唱団と学生さんたちとの橋渡し・・・自分にも何か出来ることがあるでしょうか。

 

【来年は新潟】

まだまだコロナ禍が続く大変な状況の中、優れたホスピタリティで私たちをもてなしてくださった三重県合唱連盟のみなさま、本当にありがとうございました!

 

そして来年の全国大会は新潟!
2005年の全国大会、17年ぶりにりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館で2023年11月、25・26日に開催されるそうです。

 

©新潟観光コンベンション協会

自分も訪れるのは全国大会以来の新潟。
米と魚と日本酒・・・じゃなく、また素晴らしい演奏に出会えることを期待しています。
新潟県合唱連盟のみなさま、来年どうかよろしくお願いします!

 


(三重全国大会あれこれ おわり)