第12回JCAユースクワイアコンサート感想

2023年3月4日 アクリエひめじ


第12回は初の関西開催、岡山から近い姫路ということで訪れました。
ユース関連の演奏会は過去に何度か行ったことがありますが、Japan Youthは初めて。
昨年は長崎開催でエシェンヴァルズ氏を客演指揮にお呼びしていたのですが、コロナ禍で急遽松原千振先生に代わられたのが記憶に残っています。

16才から28才の枠で募集され全国から集った38名が4日間のリハーサルキャンプを経て、コンサートを開くというもの。

 


歓迎演奏は兵庫県立姫路西高等学校音楽部さん。
尾形敏幸先生の「シャンパン」など生演奏で聴くのは初めてで嬉しかったり。
(未成年飲酒が問題になっていたときだったので「私たちはシャンメリーですけどー!」みたいなボケがあっても良かったのでは?などという冗談を友人と 笑)

東方正教会の音楽、東欧の民族音楽をプログラムに。
指揮者はブルガリアからのテオドーラ・パブロヴィッチ氏。

JCAユース、清々しい若者たちの合唱ということも多分にありますが、ブルガリアを中心とした東欧の、あまり複雑な和声や交錯するリズムが使われない合唱作品ばかりで、気楽に、気持ち良く聴けました。
民謡と舞踏が宗教的な祈りと明確に分けられず、一体化して聞こえたのが面白く。おそらく歌い手の意識も?

ブルガリアの作品ではドブリ・フリストフのヘルヴィムの歌が、日常のしみじみとした祈りから一転、荘厳・華やかな曲調が印象的。
ペトコ・スタイノフ「3つの民謡」の「松の木が揺れ」は哀切なメロディと特徴的なリズム、女声ソロが一体となり世界を作る。
アンコールのウクライナの人々への献歌も名演。

いちゃもんと捉えられると困るのですけど。

JCAユースに限らず、こういうユース団体の演奏会は聴いていても「演奏会ならではの熱」というか、「楽曲を通して伝わる音楽世界と歌い手の意志」が個人的にはそれほど感じられることが無く。
拍手より先にどうしても毎回「はっ!勉強させていただきました〜」……みたいな気持ちになるのが常なんですよね。
彼ら彼女たちより(おそらく)技術水準が低いであろう大学合唱団のジョイントコンサートではそんな気分になることは少ないのに。
合唱団ごとでは無く、ユースは個々人の参加、そして「コンサート」というものへの意識が他と違うからなんでしょうかね?
これは自分の中でも考えていきたい謎です。

ただ、繰り返しますが優れた技術を持つ歌い手さんたちの若々しい歌唱はとても気持ちの良いものでしたし。
東欧作品と並べるとチャイコフスキーやシュニトケ作品も地続きに香るものが感じられ。
そういう言語化しにくい音楽のエッセンスこそ、指揮者:テオドーラ・パブロヴィッチ氏が今日の若者たちに伝えたいことだったのでは、と演奏を聴きながら感じました。
コンサート後のSNSでも参加された方たちの微笑ましい交流を目にし。
このJCAユースでの貴重な体験が、団員さんが居るそれぞれの地で花開くことを願ってやみません。
今後、全国で活躍するユース団員に幸あれ!