倉敷少年少女合唱団第46回定期演奏会感想

 

2023年5月5日こどもの日、倉敷少年少女合唱団第46回定期演奏会へ行ってきました。
場所は倉敷市民会館、14時開演、整理券を配っていましたが無料の演奏会です。


少年少女合唱団の定期演奏会は、かなり昔に東京少年少女合唱隊のを何回か聴いただけで経験値が少なく。
そもそも団員さんの保護者や関係者でもない自分が、行っていいのかというためらいもありました。
しかし全日本合唱コンクール全国大会での上質な演奏を思い出すに、一度は聴いておかないといけないと……!
そんなわけで周囲から浮いているのを自覚しながらも行ったわけです。

 

コンサートは幼稚園年中から高3卒団生まで、約150名の団員さんによる、本格的な合唱曲から最新のヒット曲、ミュージカルなど多彩なプログラム。
特にコンクール自由曲でもあった、Biebleの「Ave Maria」鈴木輝昭の「詩篇104」などはとても印象に残りました。
Biebleの「Ave Maria」は、団員さん個々の実力の発揮、さらに一体感とハーモニーが溢れる中、美しい旋律が響き渡り、聴衆を魅了し。
鈴木輝昭「詩篇104」はかなりの難曲なのですが、コンクール時とは異なるリラックスした雰囲気が漂い、抒情的なフレーズの巧さも光り。
特に、3群が見事に呼応し奏でる音響は、聴きごたえ十分。
この曲の演奏を通じて、団員さんの成長と表現力の向上を感じました。

最後に50人ほどで歌われたKaraiの「今日キリストはお生まれになった」は、特別な思い出となりました。
団員さんの声が一つに結束し、会場に豊かな音色を響かせ。

プログラミングとしても、真面目な合唱曲の間はヒット曲など親しみ深い曲を挟み、集中力をできるだけ途切れさせることが無い工夫を感じました。
一般団体の演奏会と比べ、かなり頻度が多い優れたアナウンスもその効果を強めるためのものでしょう。


中学生部門県一位の独唱もあり、その才能に驚かされたりも。
「キャッツ」のミュージカルシーンでは、特にダンスの得意な団員さんの華麗なダンスパフォーマンスは、合唱演奏会の枠を超え。
ステージ全体が一体となり、会場に熱気と興奮をもたらしました。

演奏会での団員たちの喋りや個々のパフォーマンスは、練度の高さが感じられ。
自信を持って発する声や表現力の豊かさ。
個々の努力と集団としての一体感が、素晴らしいステージを生み出していました。


<一番興味深く、自分の考えを変えることになったもの>

一般団体ではコンクール結果については、プログラム上やステージで軽く触れるくらいなのですが。
倉敷少年少女さんはステージ上で何度もアピールされ、さらにそれを入団へ繋げようとする強い意志を感じました。
それは最後の卒団生の挨拶でも。

正直に言うとその強いアピールには違和感が少しありました。
しかし演奏会後に考えは変わって。
というのは、やはり保護者あってこその団体ということで、コンクールの成果を強く、明確にアピールする必要があると思ったのです。
そしてそのアピールによって150名もの、大人数の団員さんを維持出来るのだと印象が変わりました。

かつて名門:安積女子高校合唱部(現:安積黎明高校)で100人を超える合唱団員を保ち、コンクール連続1位を受賞していた渡部康夫先生は著書で「なぜ、あんなに多くの生徒を集めねばならないのか?」という質問に、こう答えられています。

「年ごとに合唱人口は減少し、大型合唱団が小型化しているのが現実の姿である。また、クラシックと称される演奏会の聴衆が減少しているとの声も耳にする。
 私たち現場の教師は、一人でも多くの歌ってくれる生徒を集め、良き音楽の愛好者に育てたい」(「愛と栄光のハーモニー」1989年)

少子化、さらにコロナ禍で合唱人口も半減したと伝えられています。
倉敷少年少女合唱団さんの演奏会。
成果を強く、回数も多く観客へアピールすることで、合唱の価値を、合唱団の外にも認めてもらう。
そして少しでも多くの合唱、音楽愛好者を増やしたい・・・そんな思いも感じました。

コンクールということで賛否を生むのは重々承知ですが、それでもこの「外部にアピールし、存在を認めてもらう」行為として、コンクールは非常に有効なのだと思います。

もちろん、倉敷少年少女合唱団さんに関わられた全ての方が、合唱活動を続けられるとまで私は思っていません。
それでも「合唱への良き理解者」になってくれるのではないか、そんな期待が、この演奏会からは生まれました。



渡部先生の合唱団のアルトパートリーダーだった生徒さんは、合唱についてこう語られています。
「心を合わせ、声を合わせることによって、二人ならば二倍に、三人ならば三倍に、100人いれば100倍になって、喜びが返ってくる」


倉敷少年少女合唱団のみなさん、そしてそれを支える指導者、保護者のみなさん、これからも合唱のあかりを灯し続けられることを心から願っております。