■東京×高知、つながる合唱の熱意──配信で観たジョイントコンサート
混声合唱団パンジェ×あい混声合唱団ジョイントコンサート配信、良かったですよ!
残念ながら高知には行けず配信で視聴したんですが、配信からも出演されたみなさんの熱量と会場の高揚感がしっかりと伝わってきました。
作曲家の土田先生が客席にいらしたことも関係してか、あい混さんによる混声版初演「夕暮」から始まり、合同演奏で改訂版「あなたへの手紙」で締めるという「今日はたっぷり土田豊貴三昧」! 熱意と企画力が光る演奏会でした。
■繊細に磨かれた初演と、遊び心ある選曲──あい混が描く二つの魅力
混声版の初演とは思えないほど完成度の高い、あい混さんの「夕暮」。
ほぼ暗譜で挑み、厚みのあるハーモニーと繊細な歌唱表現が見事に両立していました。
ピアノの残響と合唱の重なりも計算され尽くしており、混声版の発表を機として今後さらに多く演奏されるのではと期待しています。
また、交響曲5番や白鳥の湖など、山本直純氏の手によって編曲された「チャイコフスキー作品集」は、どこか懐かしい合唱の雰囲気で面白く。(1993年出版だとか)
合唱でのワルツなんて滅多に聞かないし!
■爽やかに、ドラマティックに──Pangeが見せた合唱の魅力
Pangeさんは「カイト」が良かったですね! 歯切れの良さと若々しい女声の響きが楽曲にぴったりで、ホモフォニックな場面でも押しつけがましくならず、爽やかに心に届きました。
暗転し灯りが輝き、グラスハープが神秘的に響いた「Stars」、中島みゆき「時代」、演出付きの「さくらんぼ」と芸達者のPangeさんが合唱の幅広さと魅力を1ステージで伝えてくれた感。
そうそう、坂本先生ご快癒おめでとうございます!
■「あなたへの手紙」で胸を撃たれる──土田作品の多様さと深み
合同演奏:土田豊貴先生の改訂版「あなたへの手紙」は作風の多様さと深さをあらためて感じさせる作品。
「春の目ざめの詩」は「この曲はどこへ連れて行かれるんだ……?」と面白く聴きましたし、表題作の「あなたへの手紙」は後半の言葉が聴こえてきたとき、不意に胸をつかまれるような衝撃がありました。寺山修司の詩特有の儚く甘い抒情と、その奥にある苦みが魅力的に合唱作品へ昇華されていて。もっと演奏されても良いんじゃないかと思う熱演でした。
■距離を超えて響いた合唱の力──高知×東京ジョイントの可能性
もちろん実際に高知行って、相澤先生が好きなカツオと高知の日本酒も楽しみたい!と思ったのは事実ですが、配信でも十分満足できるとても有り難い演奏会でした。
配信のアーカイブは無いものの、後ほど演奏をまとめてYouTubeに上げてもらえるそうなので楽しみですね。
高知県の中高生を集めたステージ、作曲家ご自身の指揮で「ぜんぶ」を歌うなんて貴重な機会だろうし、前述のPangeさんによる多彩な合唱のスタイル、あい混さんという東京の実力合唱団の生演奏に触れるのも高い価値がありますよね。
東京と高知という距離を越えて実現した今回のジョイントコンサートが、地元の若い世代にとって強い刺激となり、さらに豊かに未来の合唱文化へと続いていくことを願ってやみません。
↓ NotebookLMでポッドキャスト風に生成した動画です