観客賞バックステージ 大学ユースその2

佐賀駅

 

大学生、そして(気持ちが)若者のみなさーん!

コンクールも良いし、九州観光も良いですが、旅の終わりに極上の合唱を聴いて帰るのはいかが?

11月24日(月・祝)、佐賀おとなりの福岡で、極上のヴォーカルアンサンブルの公演があるんです!

 

ザ・シックスティーン福岡公演

 

イギリスのザ・シックスティーンが21年ぶりの来日公演。

WEB割ならS席4,000円、さらに

U25(WEB購入)ならA席2,000円!

今年の課題曲作曲家でもあるパレストリーナ、アルヴォ・ペルトやマクミランなどの現代曲も。

15時開演だから遠方の方も帰れるはず……!

「あのときシックスティーンの演奏聴いたんだよね~」と後々自慢できるはず!

ザ・シックスティーンをアクロス福岡で聴きましょう!

 

 

コンクールの話題に戻りまして。

前回は1番目の都留文科大学合唱団さんから7番目の関西学院グリークラブさんまでをご紹介しました。

18分の休憩後、また日本を代表する大学男声合唱団のひとつが。

 

8.同志社グリークラブ

(男声56名・兵庫県・関西支部代表・2年連続・13回目の出場)

https://x.com/DOSHISHA_GLEE2?s=20

課題曲M3「彼岸花」は前の関学グリーと同じなので聴き比べが楽しみ。

意気込み動画で触れられていましたが「彼岸花」を含む男声合唱組曲「雪と花火」は68年前の1957年に、同志社グリークラブさんが初演した曲!

 さすが歴史ある団体ですね~。

 そしてこんな大事なことをスルーしていた自分の不見識に反省!)

そして自由曲

Leevi Madetoja「Mirjamin laulu(ミルヤムの歌)」

Veljo Tormis「Maarjamaa Ballaad (Ballad of Mary's Land:マリアの国ののバラード)」

20年前にも課題曲になったフィンランドの作曲家マデトヤの叙情的な作品と、エストニアの作曲家トルミスの緊張感が持続するメッセージ性が強い作品。

 

パナムジカHPではこの曲について

エストニアがソビエト連邦の占領下にあった1969年に作曲。トルミスは、占領された祖国への不安な想い、そして政治的なメッセージをこの音楽に込めています。タイトルにある「聖マリアの土地(St. Mary's Land)」とは、中世の十字軍によって征服された土地に与えられた名であり、この作品ではその歴史的な象徴が、当時のエストニアの状況と重ねられています。

…と書かれています。

自分のブログ記事

「飲んだくれの歌」が、なぜラトビアの“第二国歌”なのか?

でも触れましたが、ラトビアの第二国歌とも呼ばれる「風よ、そよげ」は、ソビエト連邦支配によって言論の自由が失われたゆえに “第二国歌” としての意味を持つようになった曲です。

「Maarjamaa Ballaad」に描かれた「地名の喪失」「異国の言葉の支配」といったテーマ、その背後にある抵抗のメッセージ……トルミスが中世の物語に1969年当時のソビエト支配を重ねた構図は、半世紀以上を経た現在の世界情勢とも響き合います。

まさに今歌われるべき作品とも言えるでしょう。

同志社グリーさんがこの曲に託す覚悟と切実な訴えを、しっかり受け止めたいと思います。

 

 

男声合唱が3団体続きます!

 

9.早稲田大学コール・フリューゲル

(男声21名・東京支部代表・2年連続出場・11回目)

https://x.com/chorfluegel?s=20

昨年の自由曲、信長先生の「音楽家の友への五つの詩」メチャクチャ好きでした!

孤独な若者の心情が合唱という表現を飛び越え「自分たちの歌」として届き、胸が熱くなったんですよ。

 

フリューゲルさん、課題曲はM3 彼岸花! 3団体連続でもう花壇ですね……。

自由曲は新実徳英「愛のうた ― 光太郎・智恵子 ―」から「Ⅳ. レモン哀歌」。

お~、3年前の慶應義塾ワグネル・ソサィエティー演奏会配信で聴きました。

ワグネルさんはフルート、クラリネット、弦楽オーケストラ版でしたが、フリューゲルさんはピアノ・リダクション(四手連弾)版ですね。

そんなにもあなたはレモンを待つてゐたで始まる、智恵子を看取る高村光太郎の名詩。

新実先生が、自分の一部が詩に憑依される状態に向かっていく、とまで書かれた気合いに満ちた作品です。

若いフリューゲルのみなさんが、新実先生渾身の「レモン哀歌」にどう向き合い、火花を散らしてくれるか。

 

「男声合唱ファンの皆さんが『一生に一度は歌いたい』という曲をものしたい、そんな不遜な思いを心に暖めながらこの曲を書き続けた」

「人間は誰しも青春を生きている、僕はそう思う。ましてや青春そのものを生きている大学生や若者たちは『智恵子抄』から大きなものを受け取ることになるだろうし、そうなって欲しい。

 この作品は決して易しくはない。が、歌うことを通じ、聴くことを通じ、『青春』にあるすべての方々に届くものでありますよう、願って止まない。」

新実徳英《愛のうた-光太郎・智恵子》楽譜より

 

難曲ゆえに、若さゆえに、そして今だからこそ生まれる「レモン哀歌」があるはず。

フリューゲルさん全力の青春が、聴く者の胸にまっすぐ届くことを願っています。

 

 

次はお久しぶりの団体が……

 

10.新潟大学合唱団

(混声52名・新潟県・関東支部代表・7年ぶり・9回目の出場)

https://x.com/niigatau_chorus?s=20

えっ、新潟大学さん7年ぶりですか?そんなに経つ?!

 

お~、本当だ!過去のブログ記事を読みながら、札幌全国大会での演奏を思い出しました。

発声も音楽も押しつけがましくなく、特に間宮芳生「合唱のためのコンポジションI」は軽やかで、指揮者:名島啓太先生のセンスの良さが随所に感じられました。

 

新潟大学さん、今回の課題曲はG4「不思議」。

自由曲はデンマークの作曲家Carl Nielsen「3 Motetten op.55」から「Benedictus dominus(祝福された主)」。

あぁ嬉しいなあ、この曲は自分も歌ったこともあり、思い入れがあって大好きなんですよ。

1929年の作品ですが、バロックやルネサンスの様式を感じさせ、各声部がそれぞれ明るく飛び立つようポリフォニックに主を讃えます。

一方で現代的な響き、オルガンを思わせる旋律は古さを感じさせず。

新潟大さんにとても合っている作品なんじゃないかな。

留保無しで楽しめるステージになることを期待しています!

 

 

この日初めてのユース合唱団の登場です。

 

11.Ensemble SAKAE

(混声48名・埼玉県・関東支部代表・4年ぶり・2回目の出場)

https://x.com/EnsembleSakae

SAKAEさんは「埼玉栄高等学校コーラス部・吹奏楽部・マーチングバンド部の卒業生及び関係者達で結成されている合唱団」とのこと。

 

4年前の出場時にはJukka Linkola 「Mieliteko(歌の魂よ)」、Jacob Narverud 「V. Monterosso al Mare (Agnus Dei)」を演奏され、練られた音響と若さを感じさせるリズムが好評でした。

SAKAEさん今回の課題曲はG4「不思議」。

自由曲はアメリカの作曲家Jacob Narverud 「Ascendo(飛翔)」。

埼玉栄高等学校コーラス部創部40周年演奏会でアメリカの新進気鋭の作曲家に委嘱した作品を。

「考えて」「探して」「飛翔する」3部形式の高揚感ある楽曲。

(合唱連盟Xアカウントより)

中間部からはパーカッション、トライアングルも加わり、舞踏的なリズムも伴って盛り上がっていく現代的な作品。

記念すべき初出場時と同じ作曲家に委嘱した作品!

ふたたび若さあふれる魅力を存分に伝えて欲しいと願っています。

 

 

ユース合唱団が続きます。

 

12.Chor Karmin

(混声37名・鳥取県・中国支部代表・3年連続3回目)

https://x.com/ChorKarmin

鳥取県立米子東高校合唱部の卒業生を中心に結成し、鳥取だけではなく、広島、岡山などからも集まってきている団体かな?

一昨年は信長「くちびるに歌を」、昨年は松本望「天使のいる構図」、そして今年は

課題曲G4「不思議」。

自由曲は三宅悠太「祈りのうた」から「Vocalise / 風のうた」。

日本語曲にこだわりを持っていることがよく分かります。

この選曲は、3つ続く《不思議》のラスト。

ここまで来るとKarminさんには、不思議を超えて“不可思議”な演奏を期待してしまいます。

さらに安水稔和氏の詩による「風のうた」は「遠くのひとのために 声をなくしたひとのために」という言葉が象徴するように、あらゆる存在への普遍的な「思い」を尽くす、根源的な祈りの世界。

日本語曲への深いこだわりを持つKarminさんが、この詩の優しさと力強さをどのように昇華させるのか、注目したいと思います。

 

続いて昨年、観客賞第2位の人気男声合唱団!

 

13.北海道大学合唱団

(男声34名・北海道支部代表・4年連続・33回目の出場)

https://x.com/Gassyo_hmc

昨年は高嶋みどり先生の「ごびらっふの独白」を立体的にセンス良く演奏し、評判の高かった北大さん。

今回は課題曲M2 「Geistesgruß(亡霊の挨拶)」。

前の男声3団体がすべて「彼岸花」だったので、ここでHugo Wolfが聴けるのは嬉しい。

北大さんは課題曲に定評があり、今回も指揮者:尾崎あかり先生の音楽性を感じられる演奏を期待してしまいます。

自由曲は高嶋みどり「白鳥」……え、この曲男声版ってあったっけ?と疑問に思ったら、編曲を委嘱されたんですね!

そして2曲目が高嶋みどり「かみさまへのてがみ」 これは面白いカップリング!

「かみさま……」は子供が神様宛てに書いた純朴な手紙を集めたテキストに、明るいジャズ風味と多彩なスキャットを交えた楽しい曲。

最近はあまり演奏されませんが、1982年の初演から古さを感じさせない優れた作品です。

 

課題曲「Geistesgruß」でロマン派男声合唱曲の魅力、「白鳥」で哀しさと優美さ、そして同じ高嶋みどり作品でもガラリと雰囲気を変えて「かみさま」は明るく楽しく!

3曲それぞれに個性がある、素敵なステージになりそうですね!

 

 

大学ユース部門、最後の団体はこちらもお久しぶりの団体!

 

14.東京科学大学混声合唱団コール・クライネス

(混声90名・東京都代表・6年ぶり・38回目)

https://x.com/chorkleines?s=20

えっ、クライネスさん6年ぶりですか?そんなに経つ?!

……と新潟大学さんと同じ反応をしてしまいます。

 

なるほど・・・6年前から「工業大→科学大」と大学名も変わり。

団員数も「144名→90名」と減少し(それでも十分多いですけどね!)

唯一変わらなかったのは、前回も部門最後の出演順だったことかな(笑)

 

クライネスさんの課題曲はG4 「不思議」。

自由曲は千原英喜「ミサ・ブレヴィス “クアトロ・ラガッツィ” -旅の日の天正遣欧少年使節」 より「Kyrie 」。

ローマに派遣された九州の4人の少年──天正遣欧少年使節の数奇な運命を描く作品。

「物語の皮切りの Kyrieは大河ドラマのオープニング曲をイメージ」と千原先生が語られているように、非常にドラマティック。

「途中挿入の Mille regrets “ 千々の悲しみ ” (原曲はジョスカン・デ・プレ)は少年たちが帰国後に豊臣秀吉の面前で演奏したと推察される曲」など、千原先生らしい仕掛けも満載です。

 

そうそう、変わらなかったことはもうひとつ。

東京都大会の演奏を聴かせてもらったのですが、大人数とは思えない、まとまりある繊細な響きと音楽!

これはやはり、クライネスさんの伝統と、岩本達明先生という名指揮者の力でしょう。

 

6年ぶりの全国。

その積み重ねをすべてぶつけて、大学ユース部門のラストを堂々と飾ってください。期待しています!

 

そしてクライネスさん演奏後、

大学ユース部門の全14団体を聴いた方はぜひ

「観客賞」に投票を!

 

(観客賞バックステージ 室内合唱部門に続きます)