観客賞バックステージ 同声合唱の部その1

佐賀・呼子のイカ

 

前回は室内合唱部門の出場団体をご紹介していました。

同声合唱部門、全12団体聴かれた方は

「観客賞」に投票を!

11月23日(日曜日)の同声合唱部門を好き勝手に語りたいと思います。

 

23日(日曜日)午前10時から開会式、そして5分後に演奏開始です。

#朝カツ運動 遅刻厳禁ですよ!

 

佐賀全国大会、同声部門のトップバッターは……

 

1.Men’s Vocal Ensemble“寺漢”

(男声24名・広島県・中国支部代表・2年連続3回目の出場)

https://x.com/Teraotoko_choir?s=20

 

2007年創設。団名「寺漢」の由来は、指揮者:寺沢希先生の「寺」と男声なので「漢」を加えて「寺漢」。

ユニークな活動をされる男声合唱団。

「広島で先ず演奏されない珍しい男声合唱曲を演奏する」ことをコンセプトに、広島の男声合唱命!組も合流し10名で結成されたとのこと。

間違ってたら申し訳ないんですが、多田武彦先生作品を演奏したことが無いんでしたっけ……?

 

昨年は信長先生の「くちびるに歌を」を熱演し、観客賞第1位を獲得!

さて、今年の演奏曲は?

 

課題曲M4「いきよう」

自由曲:三宅悠太「帰郷」

 

大学ユース部門では演奏されなかった相澤直人先生の「いきよう」がここで初めて選ばれます。

楽しみですね。

そして自由曲は昨年亡くなられた谷川俊太郎氏の詩。

三宅悠太先生の美しい旋律が、生きることへの讃歌をそっと心へ運んでくれるような作品です。

三宅先生は人気の作曲家で「帰郷」も大変よく演奏される曲なのですが、男声版を生演奏で聴く機会はなかなか無いんですよね。

サウンドへの意識に優れた寺沢先生と寺漢さんなら、男声合唱ならではの魅力を生かして、三宅先生の音楽世界を豊かに描き出してくれるでしょう

 

 

次は他部門から現れたニュースターの登場です!

 

2.Man de rart

(男声30名・兵庫県・関西支部代表・3年連続3回目の出場)

https://x.com/Man_de_rart?s=20

 

3年前の初出場で金賞第1位、観客賞も第1位を獲得するという鮮烈なデビューを飾ったMan de rart(通称:まんだら)さん。

昨年までは大学ユース部門に出場していましたが、今年からは同声部門。

 

一昨年は千原英喜「那須与一」、昨年は信長貴富「くちびるに歌を」と邦人作品を自由曲に選ばれていましたが、今回の演奏曲は?

 

課題曲:M2「Geistesgruß」

自由曲:Veljo Tormis「Kaksikpühendus(Diptychon)」(2つの献呈歌)より「Ühte Laulu Tahaks Laulda(私はうたが歌いたい)」

Knut Nystedt「Beata Nobis(私たちは祝福されている)」

 

課題曲はオーストリアの作曲家ヴォルフ、自由曲はエストニアのトルミス、ノルウェーのニーステッドと、今回は海外作品で揃えた選曲なんですね。

トルミス「Ühte Laulu Tahaks Laulda(私はうたが歌いたい)」は、囁くようなピアニッシモと想いが溢れたような突然のフォルテッシモ!

その繰り返しで音楽が進むさまは男声合唱の迫力と魅力、持ち味が力強く発揮される作品です。

Knut Nystedt「Beata Nobis(私たちは祝福されている)」はグレゴリオ聖歌のような静謐な始まりですが、そこに現代的な響きが交錯する、ニーステッドらしい緊張感ある和音が重ねられています。

聖霊降臨のテキストをふまえ、祈りのように内省的な旋律から、鋭い反復的フレーズへと音楽が次々と展開していき、古き宗教音楽と現代音楽が融合した作品。

指揮者:下薗大樹先生とまんだらさんの、音響へのこだわりとドラマティックな構成が特に活かされそうな選曲で期待が高まります。

 

 

 

人気の上西一郎先生、3団体目の出場です!

 

3.Nelken Chor

(女声29名・奈良県・関西支部代表・3年連続3回目の出場)

https://x.com/nelkenchor

 

2022年4月に創設。団名の「Nelken」はドイツ語で「なでしこの花」だとか。

「少年少女合唱団のみなさんにはネルケンさんの《"ちょっと" お姉さんなソプラノ》を目指して欲しい!」……なんて声も。

昨年はアンドリーセンのMissa Simplex、ヴェルディの「聖歌四篇」を演奏。

22日には室内部門でAlyssumさんとNisiさんを指揮されていた上西一郎先生、3団体目です。

 

今回の演奏曲は

課題曲F2 「Die Capelle」

自由曲:Max Reger「Abendgang im Lenz(春の夕べの散歩)」

髙田三郎「遙かな歩み」から「2.櫛」

 

レーガーの静謐な美しさが魅力の小品と……えっ、髙田三郎先生?!

この組み合わせには一瞬驚きましたが、上西先生は2月のNisiさんの演奏会でも髙田三郎「心の四季」を取り上げ、懐古ではなく“いま”の表現を丁寧に引き出しておられました。

今回ネルケンさんに「櫛」を選ばれたのも、演劇的な主張や強いアピール力を作品そのものに備えた楽曲としての「櫛」だからなのかもしれません。

「遥かな歩み」はオールド合唱ファンなら皆知っている1972年初版の古典ですが。

村上博子さんの詩にある、母から受け継ぐ、装いと命の象徴の「櫛」の精神性は現代にも通じる気がします。

ふるさとの野山を梳りに、若いネルケンさんなりのあふれる想いを込めていただきたいですね。

 

 

続いて北の地から連続出場記録を伸ばす少年少女合唱団。

 

4.HBC少年少女合唱団シニアクラス

(女声45名・北海道支部代表・12大会連続13回目の出場)

https://www.hbc.co.jp/hbc/jr-chor/

HBCは北海道放送株式会社(Hokkaido Broadcasting Co.,Ltd.)の略称。

1957年に前身のHBC児童合唱団。

1965年に中学生を加えたHBC少年少女合唱団を創立。

今回出場されるシニアクラスは中学生と高校生のメンバーとのこと。

 

昨年はシュトローバッハ「Ave Maria」、ホルスト「Ave Maria」を選曲。

あまりコンクール的に"詰める”選曲では無く、難易度よりも旋律やハーモニーの美しさを前面に出した作品を選ばれるのがHBCさんの特徴。

 

今回の選曲は……

課題曲F2「Die Capelle」

自由曲:Don Macdonald「Winter Sun(冬の太陽)」

Kim André Arnesen 「Ubi caritas et amor(慈しみと愛のあるところ)」

 

カナダの作曲家 Don Macdonald は合唱作品だけでなく映画音楽も手がけており、その豊かな音楽性からは、カナダの冬と北海道の冬が重なり、透き通るような美しい情景が立ち上るようです。

そしてノルウェーの作曲家アルネセンは、これまでも HBCさんが繰り返し取り上げてきた作曲家。

今回選ばれた作品も神秘的な美しさを湛えた、魅力にあふれる感動的な一曲です。

少年少女合唱団ならではの純粋な祈りが、この作品をより輝かせることを期待して。

 

 

続いて7年ぶりの男声合唱団が!

 

5.創価学会しなの合唱団

(男声41名・東京支部代表・7年ぶり11回目の出場)

https://x.com/SHINANO_Chorus?s=20

今年で結成56年を迎えるしなの合唱団さん。

7年前は田中達也先生へ委嘱された「三つの悲歌」を集中度高く、緊張感が充溢する「しなの合唱団」だからこそ表現できる曲と好評でした。

 

今回の演奏曲は

課題曲M3「彼岸花」

自由曲:信長貴富「音楽家の友への五つの詩」より

「4.ギター弾きへの告別」

「5.ながいながい曲の終りにただ一度立ち上がってシンバルを叩いた人に幸あれ」

 

お~、昨年早稲田大学コール・フリューゲルさんが演奏され、自分も気に入った作品です。

黒田喜夫の詩が若者の孤独を鋭く描き出し、男性/男声ならではの世界を描いていて。

 

フリューゲルさんは「2. ピアニストの死」を選ばれていましたが、しなのさんは「4.ギター弾きへの告別」。

この選曲の違いに、団体ごとの美学や語りたい物語がにじむ気がします。

大学生のフリューゲルさんとはまた異なる、円熟味のある表現を期待して。

さらにしなのさんは今年、東京都理事長賞も受賞されています。

とにかく演奏から膨大な練習量が感じられるしなのさん。

7年ぶりの全国大会、最終曲でその喜びと積み重ねてきた時間を力いっぱい解き放ってほしいですね。

 

次は全国大会で貴重な「弾き振り」が拝見できる団体の登場!

 

6.VOCI BRILLANTI

(女声29名・愛知県・中部支部代表・4年連続12回目の出場)

https://x.com/Brillanti0202?s=20

昨年はバーバーの名曲「Agnus Dei」を首藤健太郎先生の委嘱編曲で披露し、驚きと感動を届けてくれたブリランティさん。

 

今回の演奏曲は

課題曲F4「かつて私は信じていた」

自由曲:宮本正太郎「風のシンフォニー」

 

自由曲は今をときめく宮本先生の作品。

昨年、松山女子高校が委嘱したこの無伴奏女声合唱作品は、まるで「音による映像」が見えるかのような世界を描いています。

松山女子の演奏を全国大会配信で聴いた際、音の風景が生き生きと立ち上がる演奏に強く惹かれたのを思い出します。

宮本先生の作品は高校生に大変人気がありますが、今回の佐賀全国大会で演奏するのはブリランティさんだけ。

96名の高校生の演奏と比べ、大人ならではの深みと、ブリランティさん特有の繊細なアンサンブルと表現が楽しみです。

 

さらに課題曲はここ数年、白鳥清子先生の弾き振りに注目ですが、今回も!

合唱とピアノの真の協演、他団体とはひと味違う「かつて私は信じていた」を楽しみにしております!

 

同声部門後半に続きます。