
佐賀名物・シシリアンライス
前回は同声合唱部門前半に出場される団体をご紹介していました。
20分の休憩後、同声部門後半の開始です。
7.La Pura Fuente
(女声42名・神奈川県・関東支部代表・11大会連続出場)
https://twitter.com/la_pura_fuente
La Pura Fuenteとはスペイン語で「清い泉」とのこと。
神奈川県の合唱名門校、清泉女学院の卒業生さんが2010年に作られた団体。
昨年は自由曲にスロヴェニアの作曲家Andrej Makor「O lux beata Trinitas」、韓国の作曲家Hyun Kook「Benedicamus Domino」と個性ある選曲で会場を沸かせました。
実力も人気も高いラプーラさんの今年の演奏曲は
課題曲F3「Ⅰ」(「Motet Vernale」から)
自由曲:Levente Gyöngyösi「Exsultate, iusti(神のみ前で歓び踊れ)」
Manolo Da Rold「Regina Coeli(天の皇后よ、お喜びください)」
課題曲は間宮芳生、ハンガリーの作曲家ジェンジェシに、イタリアの作曲家ロルドと今年もワールドワイドな選曲です。
このジェンジェシ「Exsultate, iusti(神のみ前で歓び踊れ)」はラプーラさんの委嘱曲ですね!
さすが数多くジェンジェシ作品を取り上げただけあって、委嘱までされるとは……
リンク先の “Audio preview” で聴ける音源が、その委嘱作品でしょうか?
Psalm 33をテキストとした、歓喜と賛美の感情が力強く鮮明に伝わってくる作品です。
ジェンジェシらしい躍動感も感じられますが、なかなかの難曲。
ラプーラさんの声で、この音楽を聴かせてもらえるのが楽しみです。
ロルド「Regina Coeli(天の皇后よ、お喜びください)」は女性らしい魅力に満ちた作品。
ラプーラさんなら優美さはもちろん、後半のアレルヤをどうチャーミングに表現してくれるのかな?と楽しみ。
ジェンジェシ委嘱曲は大きな目玉ですが、課題曲から素敵なロルド作品へと至る“ラプーラ・オンステージ”に強く期待してしまいます。
次は熊本からの女声合唱団!
8.Colo Collegamento
(女声32名・熊本県・九州支部代表・2年連続3回目の出場)
https://x.com/CCollegamento?s=20
2017年創設。Collegamento(コレガメント)はイタリア語で「つながり」を意味。
「合唱を通して多くの合唱仲間とつながっていきたい」という想いのもと異なる環境で歌ってきたメンバーが集ったそう。
昨年6年ぶりの全国出場で三宅悠太先生の「素朴な琴」「帰郷」を演奏されました。
今回の演奏曲は
課題曲F4「かつて私は信じていた」
自由曲:信長貴富「ジョセフ」
昨年亡くなられた白石かずこ氏の長篇詩「ジョセフ」には、智慧の実、星や宇宙、過去と未来など、聖書や広大さを思わせる言葉が次々と現れます。
「非常に大きなスケールの音楽で、詩の持つエネルギーを余すところなく描ききっている」という作品紹介にも深くうなずいてしまいますが、度々登場する「ジョセフ」とは一体誰なのか?
神話や歴史の偉人なのか、まだ出会っていない運命の相手なのか、それとも自分自身なのか……。
信長先生が長い旅路へと誘うように並べたさまざまな音楽とともに、Collegamentoのみなさんがこの詩世界をどう読み解き、届けてくれるか注目しています。
続いては昨年、同声合唱部門のチャンピオンが!
9.NHK福岡児童合唱団MIRAIシニア科
(女声38名・福岡県・3年連続出場・第69回大会から4度めの出場)
NHK福岡児童合唱団MIRAIシニア科さんは、NHK福岡放送局開局75周年を記念して2005年4月に発足。
小学生から高校生まで総勢67名ですが、今回は中学・高校生のシニア科で出場。
昨年は松下耕先生の「うたおり」を演奏し、金賞第1位の文部科学大臣賞を受賞。
発声、音楽の素晴らしさはもちろん、言葉への感性が素晴らしいと大絶賛されました。
MIRAIさんの今回の演奏曲は
課題曲F3「 Ⅰ 」(「Motet Vernale」から)
自由曲:Don Macdonald「Winter Sun(冬の太陽)」
新実徳英「空に、樹に…」から「生きる」
おお、自由曲Don Macdonald「Winter Sun(冬の太陽)」は4番目に出場のHBC少年少女と同じ!
これはHBCとNHKの仁義なき戦い?!……聴き比べが楽しみです。
新実先生の「生きる」は1995年Nコン高校の部課題曲。
自分はこの曲大好きなんですよ。
谷川俊太郎氏の「生きる」がテキストなんですが、「六十二のソネット」の「私はひとを呼ぶ すると世界がふり向く そして私がいなくなる」も使われていて。
Nコン課題曲初めての無伴奏作品、構成も優れ、詩から入った人間としては新実先生の「生きる」に納得が大きいんです。
(余談ですが新実先生の「生きる」には山鹿中合唱部へ贈られた、ヴァージョンアップ版「生きる -2007-」が存在するんですね。今回MIRAIさんが演奏される「生きる」には何も書かれていないのでオリジナルの方だとは思いますが)
MIRAIさんの実力の高さは折り紙付き。
さらに指揮者:大庭尋子先生の楽曲への解像度の高さ。
そして何より「生きる」、そして「六十二のソネット」を、彼ら彼女たちの等身大の歌で聴かせてもらえることに期待しかありません。
続いては東北からあの高校のOG合唱団が!
10.合唱団L'alba
(女声21名・福島県・3年連続出場・第70回大会以来5回目の出場)
https://x.com/Lalba_otome?s=20
L'albaさんは安積黎明高校のOG中心に2014年に創団し、現在は同校卒の新しい仲間も加わっているとか。
「L'alba」はイタリア語で「黎明」の意味を持つということ。
星英一先生の指揮、御指導の元、郡山と東京都内各所で約月2回活動中だそう。
昨年は三善晃「虹とリンゴ」を演奏され「柔らかいし、ただソフトなだけじゃなく惹きつける魅力を持っている」と藤井宏樹先生に評価されていました。
今回の演奏曲は
課題曲F1 Sub tuum praesidium(1584a)
自由曲:三善晃「三つの夜想」より「3.或る死に」
課題曲のF1パレストリーナは、今大会でラルバさんだけの演奏なので、聴けて嬉しいですね。
自由曲の「或る死に」は詩人:村松英子氏18歳の時の詩に作曲。
「私は知る ─私を 支えてくれる堅固な柱を 私のために かるい笑いをたたえたままで 旅に立った者を」(村松英子「或る死に」より)
生きる力に満ちている、若さゆえの生の揺らぎ。
死者へ憧れを感じる繊細な心の揺れに、三善先生が美しく、そしてドラマティックに曲想を付けられています。
ラルバさんの過去の演奏は、言葉の意味や感情と距離を置いた、透明でクリアな音という印象。
自分の思いを主張せず、音が「在る」だけ。
ただ、その音が新鮮な響きを生む瞬間を何度も経験してきました。
「三つの夜想」1985年の初演から40年。
数え切れないほど演奏されてきた「或る死に」、しかしラルバさんの演奏には新しい響きが宿るかもしれません。
続いて新進気鋭の指揮者と男声合唱団!
11.男声合唱団ノヴァーリス
(男声42名・千葉県・2年連続2回目の出場)
https://x.com/male_novalis?s=20
昨年初出場で金賞第2位を受賞。
室内合唱部門に出場されるAF合唱団:石橋遼太郎先生が指揮者の団体です。
昨年は西村朗「永訣の朝」を演奏。
配信で聴いてこんな感想を残していました。
良い演奏は良い前奏からわかる、まさにそんな演奏でした。
ピアニスト岩本先生の素晴らしい前奏、さらに合唱の日本語もさすがこの指揮者ならではの自然さ。
音色も非常にいいんですよね。
バリトンバスの渋さというか深さ、豊かさがもうたまらなかったです。
ノヴァーリスさん、今回の演奏曲は
課題曲M4「いきよう」
自由曲:新実徳英「祈り」男声合唱とピアノのための
43年前に広島・崇徳高校グリークラブが初演した、典礼文、中原中也の詩をテキストにした作品。
「やさしい魚」と同じ年の1982年に作曲されたんですね。
中原中也の激しく、しかし深い祈り。
「死の時には私が仰向かんことを!」が強く残る曲です。
ノヴァーリスさんの演奏を機に楽譜も出版されるとのこと。
新実先生はレッスンに赴いた際に
「第一声を聴いて、ハイ・レヴェルの合唱団と直ぐに分かる。何事であれ『佳きものは出会った瞬間に解る』というのが僕の信念で、まさにそのことを実感したのだった」と賞賛。
このように近年あまり演奏されてこなかった作品を掘り起こし、再びステージに載せる意義はとても大きいと思います。
昨年その演奏に心を動かされた岩本果子先生のピアノが聴けるのも嬉しい。
作品が演奏によってまた甦る。
中也の祈りがどんな表情を見せるのか──ノヴァーリスさんが呼び覚ます「祈り」に注目です。
最後の団体は昨年の観客賞第1位、人気の女声合唱団!
12.monosso
(女声37名・香川県・9大会連続9回目の出場)
https://twitter.com/monosso_kagawa
2015年創設。讃岐弁で「とても」の意味を持つ団名のmonossoさん。
指揮者は混声合唱部門のMODOKI指揮者:山本啓之さん。
当ブログの観客賞では3年連続第1位を獲得の、とても人気がある団体です。
作品への深い没入と、観客と呼吸を共有するような演奏が魅力。
昨年は西村朗「永訣の朝」を選曲し、聴く者の心に深く届く演奏でした。
monossoさんの今回の演奏曲は
課題曲F2「Die Capelle」
自由曲:信長貴富「創造の草笛」女声合唱・オーボエ・ピアノのための
お~、「創造の草笛」は岡山県・Coro Piaceさんの委嘱曲。
詩の中で「草笛」は愛する人の象徴として存在し、本作のオーボエはその「愛する人=儚い存在」であるかのように音が紡がれている。
合唱は詩人の声として歌い、ピアノは合唱とオーボエを包む宇宙空間のような雰囲気が醸し出される。
2023年のCoro Piaceさん全国大会の演奏では「大手拓次の詩ということで官能的な香りもあり。草笛を模したオーボエ、ピアノと合唱との独自の世界。後半の鮮烈な和音や訴えが輝き、信長先生の新境地」という感想が寄せられていました。
なかなかオーボエと合唱の協演は聴けることが少ないですからね。
さらに課題曲のシューマンもmonossoさんならひと味もふた味も違った演奏を聴かせてもらえるはず。
「創造の草笛」では名ピアニスト:酒井信先生とのアンサンブルも楽しみです。
結成10年、そして来年は初めての単独演奏会。
さらに指揮者:山本さんにとって“合唱を始めた地”である佐賀での演奏ということで、さぞかし気合いも入っていることでしょう。
"ものっそ”期待しています!
以上で同声合唱部門出場団体のご紹介を終わります。

同声合唱部門、全12団体聴かれた方はぜひ
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(次回は混声合唱部門の団体をご紹介します)