東西四連配信感想

 

 

6月27日、京都コンサートホールでの東西四大学合唱演奏会(通称:東西四連)の配信を視聴しました。

アーカイブは7月3日(金曜日)23時まで視聴可能だそう。

 



慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団(53人)

新実徳英「ことばあそびうたII」

佐藤正浩先生の指揮で。

大ヒットしたこの曲を久しぶりに聴きます。

ナンセンスなことばあそびの詩を、超絶難易度の技術と感情のメリハリで聞かせるギャップが楽しい。

ワグネルは非常に練られた発声でさらにその効果が増し。

「うとてとこ」「たそがれ」では前田勝則先生のピアノの抒情も優れ、良いステージ!

 

 

関西学院グリークラブ(40名)は更に古い名曲、清水脩「アイヌのウポポ」を手堅く。

広瀬康夫先生の指揮で。

単純な曲調ながらリズムや現地の生活が匂うような雰囲気で聴かせます。

アイヌの土俗性や高音域にもう一踏み込み欲しい気もしましたが、良い曲を良い曲と感じさせる誠実な演奏。

団員数が増えていて嬉しい。

 

 

早稲田大学グリークラブ(42名)

「ハレー彗星独白」鈴木輝昭男声作品で一番人気の曲だと思いますが、今まで自分にはピンと来なかったんですよね。

しかし今回は非常に面白く聴けました!

ワセグリの、時に暴発しそうなエネルギーを、昨年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した若き俊英:米田覚士氏が上手く道筋を付けた印象。

最終曲の繊細な指揮と相まって、弱声のサウンド造りは現地で聴きたかった!

米田氏へのオファーは優勝前だったはずなので、白羽の矢を立てたワセグリ運営の慧眼には唸らされます。

こういう20代のオーケストラ指揮者に、客演を依頼しがっぷり噛み合った真剣勝負を目指すアマチュア合唱団って、自分が知る限りワセグリだけ。

難しいでしょうが、他の団体も追随して欲しいですね。

 

 

同志社グリークラブ(49名)

伊東恵司さんの指揮でヴェリヨ・トルミスの2作品。

「Kokko lenti koillisest(北東から鷲が舞った)」 「Raua needmine (鉄への呪い)」、いずれもリフレインが多い作品ですが、緻密なサウンドとテンションの計算で、特に「鉄への呪い」は呪術性まで感じられて。

先日、同曲の混声版も聴いて良いなと思ったのですが、こういう演出があるなら(なにコラさんのコンクール演奏を思い出しましたねw)統一感の説得力でやはり男声版に一票!

これも現地で聴きたかった!

 

 

合同演奏は信長貴富「帆を上げよ、高く」。

伊東恵司さんの指揮で。

詩はみなづきみのりさんなので、ある意味自作自演。

テキストの一部はピエロに触れていて、曲調も名曲「月光とピエロ」を思わせる瞬間がありました。

伊東さんの師、福永陽一郎氏が愛されていた曲ということもあったのでしょうか。

東西四連の次の日には、福永氏の生誕100周年記念式典があったそう。

 

アンコール2曲目の「響け、彼方へ」が、彼らの愛唱歌になったんだなぁと思わせました。

この曲も2022年のコロナ禍明け、3年ぶりの東西四連で委嘱された曲という事情を思えば感慨もひとしお。

 

男女平等、ジェンダーが盛んに論じられる現在だからこそ、「男性/男声ならではの良さ」を考えてしまいます。

荒々しさと繊細さ、一点へ注ごうとする膨大なエネルギー、シリアスな局面でもどこか哀しさを漂わせる・・・。

この日の単独ステージの選曲と演奏は、女声はもちろん、混声でも代えがたい、男声ならではの魅力が出ていたのでは。

男声合唱を取り巻く現状も厳しくなるばかりですが、こうして若い世代が男声合唱の豊かな遺産を受け継ぎ、優れた演奏で歌い継いでいることに希望を感じました。

 

繰り返しますがアーカイブは7月3日(金曜日)23時まで視聴可能。ぜひ!

(イープラス配信チケット販売は7月3日19時まで)

 

 

第75回 東西四大学合唱演奏会 感想

(とのとののブログ)

自分より年長男性、さらに大学男声に並々ならぬ愛が感じられる記事。

ワグネルのアンコール曲も記されていて有難かったです。