中国大会 室内部門感想





9月18日、中国大会へ行ってきました。

支部大会へ行ったのは昨年の九州大会なんで1年ぶりなんですが
中国大会は・・・(検索中)10年ぶり?!

 

 


倉敷からなかなか岡山へ行くことが無いので
味司 野村で玉子とじカツ丼とデミカツ丼のセットを
美味しく食べて14時過ぎからシンフォニーホールへ。


 

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さて、第55回中国合唱コンクールを室内合唱の部から
同声合唱、混声合唱の部まで全団体聴いたのですが
この感想は私、文吾の非常に主観的なものであり、
団名などで検索され読んでしまった場合には
本当にお気の毒さま…としか言えません。
すみません。

全団体の感想を記さないこともお詫びします。
そして、全国大会出場団体には
期待を込めて少し厳しめの感想になることも
お詫びいたします。


今回は室内合唱の部の感想を。






<銅賞団体>



合唱団こさじ(鳥取県・混声18名)


課題曲G2はmpからの弱音で支えが落ちる印象。
女声と男声が聴き合い、響きを作る意識があれば。
曲のブロックごとの始まりはそれぞれ鮮烈でした。

自由曲:三善晃「五つの願い」からは
別団体のように個人個人に自発性が生まれ!
こういう姿勢、課題曲でも見たかったなあ(笑)。
フレーズの中の言葉の立たせ方に配慮があれば…と思いつつ
自分たちの歌として「春だから」など
身体を揺らしながら歌う姿に好感を持ちました。

 




Fiore Hagi(山口県・女声14名)


課題曲F3は豊かな声で語り口も良かったです。
自由曲:西村朗「ゆびII」は久しぶりに聴く曲。
残念ながら音程がズレてしまい、息も浅くフレーズも短く。
間奏後の「あなたのきよらかな…」からは
持ち直し、安堵しました。
指揮者の有冨美子先生は
「歌い手に歌わせる」ことにとても長けている印象。








<銀賞団体>




J-dur(岡山県・混声24名)


20代中心?の若い合唱団。
課題曲G2はその若さも相まって勢いがある。
フレーズの始まりの音をちゃんと当てられればいいな。
弱音も丁寧に歌われて良いのですが、
さらに欲を言えば緊張感のピアノなのか
安らぎのピアノなのか、
そして表現としてどこへ向かう音か意識すると
もっと良い音楽になる気がします。

自由曲はローリゼンの2曲。
1曲目は速いテンポに発声が浅くなり
声が飛ばなくなってしまったのが惜しい。
2曲目はピアノからフォルテのあいだ、
中間の音量の表現を流すのではなく支えがあれば。
音楽がどういう感情を持っているか
伝えてくれるとさらに彩り鮮やかな演奏になるかと。
発声をもう少しがんばって!

課題曲含め、音楽の全体の設計、メリハリは
とても考えられていると感じました。
若い団員のみなさんが
一心に集中して歌う姿はとても好ましいですね。
これからも歌い続けて欲しいと思います。







<金賞団体>



室内合唱団 “零”(広島・混声17名)


縄裕次郎さんが指揮する若い合唱団。
課題曲G1は始まりの女声に表情があれば…
これ、相思相愛なのに
相手に辛く当たらなければならない苦しみの歌ですよね?
…と思っていたら進むにつれどんどん良くなり。
音楽の中の主人公、脇役を各パートが理解していて。
ロングトーンもただ伸ばすのではなく陰影があり。
女声の母音に浅さを感じたりもしたけど、
全体の雰囲気は曲の魅力を伝えるとても良いものでした。

自由曲1曲目は西村朗「一つのメルヘン」。
中原中也の有名詩がテキスト。
初めて聴きました。
西村作品特有の「Ha---!!」というクレッシェンドの緊張感、
そして音量的に最大時の表現追求をもう一歩。
それでも音響から言葉を立たせるセンスは良かったです。

2曲目の池辺晋一郎「ひどいめにあわせやがる」は
男声が荒いのかそういう表現なのか判断に困り、
さらにリズム表現の追求がもうひとつ欲しい。
しかしこの作品の軽妙な魅力を充分に表現。

課題曲自由曲タイプがまったく違う3曲を
それぞれ見事に雰囲気を醸し出していたのが素晴らしい。
自由曲の選曲も個性あるもので、
コンクール曲としてふさわしいものかはやや疑問ですが
「他と違うことをする」というのは創作者として
とても大事な姿勢だと思います!






ゾリステン・アンサンブル(島根県・混声24名)


課題曲G1はまず出だしの女声の声と表現がとても好み。
裡に恋の熱情をはらむ声!
お互いに聴き合い、響きと音楽を作っていく
アンサンブルの雰囲気がとても出ていました。
表現の持って行く方向も見えるようで
今大会でのG1演奏のベスト!

自由曲1曲目ジェズアルド「おお すべての人々よ」は
1曲を通した音量、音楽の設計が良く、
間延びしない音楽。

2曲目のニールセン「主を讃えよ」は
…うーん、歌ったことがある曲なので
厳しくなってしまうのですが
速いテンポに乗り切れず、
特に男声がまとまりきれなかったような。
喜び、祝福の表現が出るほど
音楽が身体に入っていなかった印象です。
流れや音楽が変化するところはとても良かっただけに惜しい。

4年続いた全国大会出場が途切れたのは残念ですが
(同じく出場を逃したのも5年前のこの岡山シンフォニー。
 ゾリステンさんと岡山は相性が悪い?!)
課題曲などは単純な「巧さ」だけではない
音楽の深さ、豊かさを感じました。
また演奏を聴かせていただくのを楽しみにしております。





最後に全国大会出場団体。


倉敷少年少女合唱団(岡山・女声24名)


課題曲F2。
中学生ぐらいの年代が多く小学生もいると思うのに
整備され、とても良く鳴る声。
やや母音が平べったく聞こえるのと
アルトの音域のチェンジポイントに苦労していたような?
和音の精度はもう少し。
しかしドラマを作り音楽の表情も良かったです。

自由曲1曲目ナンシー・テルファー「Kyrie」。
2曲目ヨーゼフ・ヴォルフガング・ツィーグラー「Gloria」。
並々ならぬ緊張感と表現に懸ける迫力!
ただ、タイプの違った曲なのに
似たような2曲と感じてしまったかな。
一生懸命さだけではなく、
たとえば「Kyrie」では教会で感じられる神秘性、
「Gloria」では喜びが伝わると嬉しい。

同じように聞こえてしまうのは
表現の種類が少ないせいもあるのだろうけど、
少年少女合唱団にそれを要求してしまうと
「艶のある演歌を歌うコドモ」みたいな印象になって
よろしくない場合もあるので難しいですね。

1曲の中での音楽の変化はしっかり表現されて良かったです。
全国大会初出場おめでとうございます!
(まさか住んでいる倉敷から全国出場団体が出るとは…)


 

 

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(同声合唱の部感想に続きます)