
そうぶんの竹あかり(津市)
提供:三重フォトギャラリー
観客賞・混声合唱部門で第6位内に入らなかったものの、印象的な演奏をされた団体の感想の続きです。
第6位以内の感想はこちら。
愛媛県・四国支部代表
I.C.Chorale
https://twitter.com/iyo_kora
(混声23名)

A 頑張ってましたね!
これはデリケートな話で、
いよコラのみなさんには
凄く失礼な話かも知れないんだけど……。
まず、他の団体は発声も立派で
人数も多く余裕がある。
文 何の話?
A 課題曲「智慧の湖」、
後半の「光っている」を
人数も少なめのいよコラさんが
どう演奏として成立させるか。
やっぱり厳しいじゃないですか。
BC文 うん。
A それは演奏自体の出来で
説得させるのとは違った話だから
言い方が難しい話なんですけど。
それでもね、その「光っている」は
本当に高いもの、美しいものへ
一生懸命、手を伸ばそうとしている!
……あの「光っている」を
聴いていて、どうしても涙が・・・。
(声を詰まらせる)
文 な、泣くなよ・・・。
A 今日の演奏で泣いてしまったのは
わかげさんのごびらっふtuttiと
いよコラさんの「光っている」です。
B 軽めの音色が
高いところに向かっているようで。
人数は少ないけど、
気持ちが真っ直ぐ伝わってくるような
清々しい演奏でした。
文 言葉のニュアンス、
理想の語感を
追い求めていた気はしましたね。
A 自由曲の組み合わせが良かった!
BC文 それは本当に!
文 1曲目、千原英喜
「Ave maris stella 花も花なれ、人も人なれ」、
良い曲だね。
A そうそう、自分は千原作品を
あまり得意としない人間なんですけど
この曲の持っている心を動かす部分を
素直に表現していて。
文 中間部の優しい箇所なんて
胸に染みてきたね。
演奏自体が素直なのが良かったのかも。
A うん、ヘンに「良いでしょ?」と
差し出すんじゃないから。
B 上手く「マリアとガラシャ」を
表現に投影しているんだなぁって。
文 自由曲2曲目、
モーツァルト「Ave verum corpus」との
繋がりを感じましたね。
C 「Ave verum corpus」なんて
世界中で広く歌われてきた名曲を
どう説得力を持たせ、
聴く者へ届けるか。
相当工夫してちゃんとやっていたと思う。
あの場で「Ave verum corpus」を
演奏することに違和感が無かった。
B その通りだね。
全体を通してとにかく一生懸命。
音楽に対して誠実であろうという姿が
とても見えて。
特にこの「Ave verum corpus」で
より感じられ、非常に感動しました。
A うん、本当に心動かされましたよ。
B 重要な言葉をちゃんと意識し
こだわるところはこだわって
歌っていたのも良かったな。
A この凄まじい混声合唱部門で、
いよコラさんのような音楽が
フッと来たことにビックリしたのもあって。
文 確かに会場の空気が違ったものね!
何かコンクールでは無いような。
みんな応援しながら聴いていた気がする。
C いよコラさんの抱えているもの、
やりたい音楽はヴィジョンとして
確かにあるんだけれども
それを表現するための人数や
発声は技術的な部分で難しい。
それでも可能な限り良い表現を目指す。
そこにシンパシーを
とても感じてしまい、
凄く応援したくなったんですね。
B 聴いていて心が洗われるような。
全国大会という場所で
この演奏を聴けて良かったなと思いました。
C いや本当に自分は好きでした。
これからも応援しています!
A 頑張ってください!
メール、ツイッターの感想です。
まさかと思った千原とモーツァルト、
聞いたら選曲の妙に唸らされた。
名曲Ave verum corpus の美しさを再認識させられた
G4
前の団体の余韻がある中、若い声でしっかり空気を自分たちのものに。
Ave maris stellaは温かなハーモニーに乗る優しい詩。
その中に尊い祈りを感じる
Ave verum corpus
こちらも柔らかく温かなハーモニーでホールが包まれる。
個人的にいよコラさんが楽しみでした。
以前、福島での全国アンコンで「花も花なれ・・・」を生で聴き、楽譜発売直後に購入。
取り組んだ曲だけに、どうしても感動のハードルが高く・・・、でも、この曲とモーツァルトの組み合わせには拍手を贈りたいと思います。
名曲を何の衒いもなく素直に演奏する姿勢が全国大会で見られてよかった
バランス的にソプラノがやや強かったかも?
演奏時間8:10くらいだったので審査対象ですね!!
個人的な想いがありすぎて審査員だったら無条件で金賞にするので辞退するかインサイダー?で一生出禁になるしかない
むにゃかみさんの指揮が私がペットになってしまったマスターに影響されすぎててこの世の理を感じてる
モザルトさんはこれでコンクールを終えて欲しかった
若い指揮者がああいう曲を取り上げ、良い演奏をしてくれたのが嬉しいね。
Mozartも作品の良さが伝わる演奏をしたというのも凄いし、支部大会からいろんな勉強をし、研究をしてきた成果が出ていた。
村上先生は智慧の湖からMozartまで「祈り」をテーマにした選曲をしたようだけど、あの3曲を通じた祈りは、確かに観客へ届いていたと思う。
宮城県・東北支部代表
グリーン・ウッド・ハーモニー
https://twitter.com/gwharmony
(混声47名)

C いや、なんか泣いてしまいましたね。
指揮が田中先生に代わられたけども、
今井先生のDNAが残っていて。
田中先生が課題曲の最後、
「今井切り」したときに……
A そうそうそう!!
B文 「今井切り」??
A ポリフォニーの最後、
今井先生はふわーっと
終わらせるんじゃなく、
スパッ!と切る。
C それを田中先生がやってたんですよ!
もう泣いちゃって。
「今井切りだー!!」
A 合唱指揮界隈では有名ですよ、
「今井切り」!(笑)
文 ホントにぃ?!(笑)
いや田中先生が指導されたからか
声が以前より整備された印象。
この曲の雰囲気を良く
捉えた演奏だったと。
C 田中先生の指揮も以前より
上達された気がしました。
自由曲の選曲も
ペンデレツキ「Exaltabo te, Domine
(主よ、あなたを崇めます)」
Missa Brevisより「Kyrie」「Gloria」と
今井先生の空気を残して。
A 「Exaltabo te, Domine」は
本当に「ペンデレツキ!」
という感じだったけど
ミサは比較的、聴きやすい曲で。
文 こんな良い曲あるんだな、と思いました。
Kyrieは緊張、切迫感が良く出ていた。
「Exaltabo te, Domine」は
ペンデレツキ25歳ぐらいの時の作品で
ミサはその後50年経ったくらいの作品。
A へぇー、「Exaltabo te, Domine」は
くくくッ……(身をよじらせながら)
「わかんねー!」という感じでした(笑)。
GWHさんの演奏する曲、
凄いなーと思うけど、
やりたい!とは思えないんだよね。
文 でもね、去年に慶應ワグネルが
ヒンデミットの曲を演奏して。
もちろん演奏自体が
とても良かったのもあるんだけど、
作品の世界にスッと入れてね。
なんでだろう?と思ったら
「GWHさんで聴き慣れてるからだ!」
C 聴き手のリテラシーを
上げてくれますよね(笑)。
文 今井先生ありがとうございました!(笑)。
今回、田中先生に代わられて、
和声の繋がりと言うよりは
歌として聴かせる印象。
だから歌として今までより
自然に聞こえてきた気がします。
B 田中先生は長年GWHさんで
ヴォイストレーナーなど
関わっていらっしゃってきたので、
今まで培ってきたGWHさんの音楽を
一番熟知されているはず。
それを活かした演奏でした。
田中先生に代わられたことで、
若干テンポ感がシャープになったかな?と。
A GWHさん、
来年以降はどうなるのかなー。
C そうですね、GWHさんは
年代の幅が広く
市民合唱団のような側面もあるし。
だから今井先生の良い部分をどう残され、
また、田中先生の良い部分を
どう出されていくか。
新しいGWHさんが
不安でもあり楽しみでもある・・・。
A 今井先生の時は
学術的な雰囲気でしたよね。
先生が書かれた演奏曲の分厚い資料、
あの論文発表のような!
BC文 あったあった!
A あの資料、そして演奏は
今井先生しか出来ない音楽だったから。
本当に来年からどんな音楽になるのか、
期待しています。
メール、ツイッターの感想です。
G1の流麗さに涙
G1 卒なくサラッと流してる印象も、上品な語り口
ペンデレツキ3曲はそれぞれの歌の言葉に込められた様々な想いや祈りを複雑ながら美しいメロディーに乗せて歌う
ジョスカン、ぺンデレツキとも説得力を感じる演奏でした。美しいミサ曲だな…
成熟した声で厚みのある安定したハーモニーを聴かせてくれる団体って意外と稀有
指揮者が変わったことで持ち味がやや変わっている感じはするけれど、音楽作りに対するアプローチはやっぱりGWHさんだった
大阪府・関西支部代表
淀川混声合唱団
https://twitter.com/yodokon
(混声75名)

A 投票しました!
人数が一番多く、
ホールを一番鳴らしていた印象です。
自分は3階席で聴いていたんですが、
一番ビビッドに音楽が聞こえて。
B そうそう、「智慧の湖」は
人数の多さが効果的に働き
厚みのある声とハーモニーが
スッキリして、
見通しの良い演奏でした。
A ですよね、曲の輪郭が
ハッキリ見えた感じがあって。
「この演奏なら、曲も喜ぶよ!」
そう思いました。
C 人数が多いということもあるけど
余裕を感じましたね。
自由曲のオルバーン「Stabat Mater」も
良い意味で脱力感があって。
文 音量の基準がmpじゃなくmfくらい。
過不足無い表現で
後半の聴きやすい曲調には
団員さんの歌う喜びも
入っているようでした。
B この曲、声部が多くて難しい作品だと
思うんですけど。
課題曲でも言いましたが、
厚みがあるのにスッキリしているので、
聴きやすく特に後半は好きでした。
A 「Stabat Mater」って
重いテキストじゃないですか。
キリストが磔になる……。
もちろん音楽もそれを
表しているんだけど、
それ以外の音の充実に
聴いていて多幸感がありましたね。
メール、ツイッターの感想です。
ホール全体が鳴ってた
課題曲ここ迄音響的に作れば文句ないです
自由曲内声の動き投射された影のようでゾクゾクした
どこも上手くて差がない中で、課題曲・自由曲ともに良質な演奏を聴かせてくれたと思うので(投票)。
よど混きたよど混。
こいつらも全パラメータ高い強化系だわ。小細工なし、普通にやったらもう圧倒的タイプ。基礎力高すぎバケモンすぎだろ!
とにかく安心して聞けて最高だったとか言いようがない。
よどこんはなんであの人数で揃うんだ、、、意味がわからない
並びから圧巻。まるで富士山。
課題曲はクリアな音質、ただあい混があまりにも印象的であった為ちょっと薄味に聞こえてしまう…
オルバーンは豊かな男声に支えられてハーモニー感は抜群、リズムも立っていて合唱団によくマッチしてる。伊東さんはハンガリー人作曲家がお好き?
G4 安定感と推進力のある演奏をしっかり支えるバスの歌声に感動
Stabat Mater(inF)
一糸乱れぬ、これぞ混声合唱と言った印象の本格派!
美しい音の洪水
部門最多人数で大迫力だけど、決して人数ばかりではなくて繊細な表現まできっちり整理されているのでとても聴きやすい

《ありがとうございました》
これで津全国大会、全43団体への座談会を終わります。
観客賞へご投票、ご感想をお寄せ下さったみなさま、誠にありがとうございました!
この観客賞も10年を越えたそうで。
観客賞の意義を久しぶりに考えてみたのですが。
自分の経験からすると、好きな演奏に対し、「あの演奏はダメだよ」という意見は人生にあまりプラスにならなかった気がするんです。
それより自分の苦手とする演奏に「素晴らしい!なぜなら!!」と熱く語る言葉がずっと心に残ってきたし、役に立ってきました。
というのはその後、似たように苦手な演奏に対面した場合、自分が向き合うのでは無く、肯定していた人の視点で向き合うことが出来るんですね。
イヤだな~苦手だな~~と思いながら聴くよりは、「あの人ならこういう考えで楽しく聴けるんだろうな」の方が、幸せな時間は増えるはず。
自分も観客賞で正直に言うと、あまり得意としない演奏への肯定的な意見で、だいぶ聴く耳を広げられた気がします。
「その演奏が苦手な自分」を否定しなくても良いんです。
大事なことは、自分の中に「肯定する他人の視点」を許すこと。
許した結果、心の中の対話から自分の意見をより深められると思うのですが、どうでしょうか。
最近知った、糸井重里氏の「もっと好奇心を持つにはどうしたらいいでしょうか」という質問への回答。
原文をそのまま転載すると、長いし差し障りがありそうなので一部分を。
「蓼食う虫も好き好き」が、その答えなのだ。
じぶんが嫌いなもの、興味を惹かれないもの、
どうでもいいと思っていたものについて、
「それを好きな人、求めている人がいる」ということに、
どうしてだろう、どこがいいのだろうと思うこと。
これが、「好奇心」のもとである。
世界に対して閉じ、否定的になっている自分を意識したとき。
破るのは好奇心。
自分が嫌いなもの、興味を惹かれないものについて考えることはとても重要だと思います。
観客賞が、私だけではなく、参加する人の好奇心を育て、素敵な音楽の時間が増えることの一助になれば良いなあと。
最後になりますが、開催された全日本合唱連盟さん、津大会で開催に関わられたみなさま、そして全国大会に出場されたみなさま、さらに全国へ進めずとも精一杯歌われたみなさまに、心から感謝して終わります。
もちろん、この楽しくもなかなか面倒な座談会に参加していただいた方々にも!
ありがとうございました!!
(2022年観客賞座談会 おわり)