【5年越しの開催!】第30回東日本合唱祭【全編公開】をぜひ

 

台風やコロナ禍の影響で、昨年10月なんと5年ぶりの開催となった、岩手県一関市の第30回東日本合唱祭。



全国から招待された5つの団体、そして地元の一関市民合唱団さんと学生の合同合唱、合同ステージと3時間にわたってすべて公開されています!



【出演団体】
一関市民合唱団(岩手県) 指揮:黒川 俊之 ピアノ:黒川 祥子
クロスロード「Shu」(東京都) 指揮:辻󠄀 秀幸 ピアノ:河本 充代
混声合唱団 京都木曜会(京都府) 指揮:永井 英晴 ピアノ:伊吹 元子
東京フラウエン・カンマ―コール(東京都) 指揮:岸 信介 ピアノ:法嶋 晶子
harmonia ensemble(東京都) 指揮:福永 一博 ピアノ:水野 彰子
Tokyo Youth Choir(東京都) 指揮:松下 耕 ピアノ:前田 勝則

(※プログラム画像ご提供 eikoさま、ありがとうございました)

 

ぜひ多くの方に観て、聴いていただきたいと思います。

 

全国各地の団体は本当に素晴らしく。
東京都のクロスロード「Shu」さんは、なかにしあかね先生の女声合唱曲を。
味わい深い星野富弘さんの詩を音楽は軽妙に、しかし心の奥に残る演奏で。


混声合唱団 京都木曜会さんは松下耕先生の作品に続けて、懐かしの名曲。
非常に練られた歌と、歌う意識の高さを感じさせ。
こういうポップス、歌謡曲を観客に「聴かせる」ためにずっと心を砕いてきたのだろうなぁ、と強く感じさせます。
観客と向かい合い、ステージで培った長年の試行錯誤の結晶。良かったです!


東京フラウエン・カンマ―コールさんは新実徳英先生の「音のとびら」から。
新実先生の比較的新しい作品をしっかりした実力で、曲の魅力を伝えていただきました。


東京からのプロ合唱団・harmonia ensembleさん、これは本当に聴けて良かった!
最初の信長貴富先生編曲の嘉納昌吉「花 ~すべての人の心に花を~」からそんじゃそこらとは違います。
声の良さはもちろん、和声のバランス、響きのセンスといい、別の方の編曲のようにも聞こえ、「これこそ信長先生の目指す音?!」と。
岩手の詩人:宮沢賢治の詩から「イーハトーブの風」「星めぐりの歌」も、ハルモニアさんが上手い団体なのは自明ですが、ことさら技巧を誇るのでは無く、すっと音楽と言葉が入ってくる。
一転して美空ひばり「お祭りマンボ」はノリ楽しく華やかに表現の幅広さを示し、「川の流れのように」はしっとり、そして力強いクライマックスを。
このステージ、プログラミングでも唸らせてくれました。

harmonia ensembleさんの演奏から始まるリンクです)


Tokyo Youth Choirさんは松下耕先生が指揮のユース団体。
前回出場できなかったOBも交えた大人数。
松下先生の作品「やわらかいいのち」、副題に"思春期心身症と呼ばれる少年少女たちに"と付く谷川俊太郎氏の詩。
若い同じ年代の苦しみとして、歪み複雑な音を自分たちの姿と重ね伝えた演奏。
最終曲の熱いほとばしり、松下先生が加えられたという「愛されている」に、悩む若者たちへのエール、格段の想いが込められていると感じました。


最初に出場された地元の一関市民合唱団さんは、サン=サーンス。さらにイギリス、アメリカの現代作曲家の作品を集中度高く、彫り深く演奏され。
(コンクール自由曲のDaniel Knaggs作品には特に惹かれました)
続く千原英喜「みやこわすれ」も叙情性豊かに。

この演奏会で一番心が動いたのは、一関市民合唱団さんと地元の中学生、高校生たちと一緒に歌った最後の信長貴富「若い合唱」!

「若い合唱」から始まるリンクです)

一関市民合唱団さんの力強い響きに、中高生たちの青空を思わせる爽やかさが加わり。
同郷である村上昭夫氏の詩なのもありますが、「合唱のまち」として東日本合唱祭をずっと続けてこられた一関のみなさんの願いが歌にこもっているようでした。
客席で聴いていたら、大泣きしていたかも。


大人数となった最終ステージの合同合唱では東日本合唱祭のために委嘱された松下耕先生の「あなたに歌の花束を」も良く。
京都木曜会さんも歌われた「歌声を世界に」は、大人数での演奏がまたこの作品の魅力を引き出し、心に残るものとなりました。


人口減、そして部活の地域移行などで合唱を趣味とする方は減少傾向で、特に地方都市での活動は困難になっていると聞きます。
それでもこの東日本合唱祭のように、地元の合唱団と日本各地の団体が、ひとつのステージで歌われる姿に、自分は合唱の希望を見出さずにはいられません。
場所も、年齢の差も越えまさに「歌声を世界に」響かせようとする「東日本合唱祭」。
どうかこれからもずっと永く続いていけるよう、心より願っています。