「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2011」(その1)


さて、今年も
「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」を始めたいと思います!


ちなみに昨年の「あれやこれや:出張版」第1回はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20101111/1289484840


毎年、毎年「今年こそは早く始めよう!」と思っているのに
こんな時期になっちゃうんですよねえ。
あ、Web文通相手様は既にぶっちぎりのリードをしています。
http://talk21self2.blog111.fc2.com/
元はと言えば、こちらのブログの企画に私が乗っかったのがきっかけ。
快くタイトル・企画の許諾をして下さった
ぜんぱくさんに改めて感謝です。


今年でこの企画も4回目になります。
ご協力頂いた合唱団のみなさまに感謝すると共に
最終回まで(全10回予定!)楽しく読んでいただければ幸いです。







(写真提供:三上様)


青森文化会館はウワサによると良い響きらしい…?



それでは2011年全日本合唱コンクール全国大会 IN 青森。
11月19日の15:30から開始予定の一般部門Aグループ。
最初の団体は ・ ・ ・ この団体です!





1. 東京都・東京支部代表
harmonia ensemble
(混声25名・2年連続出場)



おー!昨年のシード団体が最初から出場です!!
昨年のharmonia ensembleの出現は衝撃的でしたね。
あの激戦区、東京支部を審査員全員1位という結果で代表になり、
西宮の全国大会では、半円1列に並んだメンバーの端で
コンサートミストレスの上田さんが最初の合図だけをすると
個人個人の歌が、しかし合唱の力を伴い自発的にあふれでてきて・・・。
会場中に散らばり、
メンバーそれぞれの表現力を示した「kondalilla」も良かったですが、
「With a Lili in Your Hand」の出だしのフォルテに鳥肌が立ち、
その音色の変化、歌の強さというものに
なぜか涙腺が刺激されたのを今でもありありと思い出せます。


指揮者のいないharmonia ensemble
その後、フランスでのフロリレージュ国際合唱コンクールへ出場し
グランプリ、その他たくさんの賞を受賞しました。
そんなharmonia ensembleが全日本のコンクールでシードとなった今年、
課題曲はG1のO quam gloriosum(Jacobus Vaet曲)
そして選んだ自由曲はなんとJ.S.Bachのモテット!


Motette Nr.3 “Jesu, meine Freude”
(イエスよ、わが喜びよ)BWV227より
1.Jesu, meine Freude(イエスよ、わが喜びよ)
2.Es ist nun nichits Verdammliches an denen
 (いまや罪に定めらるることなし)
6.Ihr aber seid nicht fleischlich(されど汝らは肉にある者ならで)
11.Weicht, ihr Trauergeister(退け、悲しみの霊ども)


何と言うか・・・harmonia ensembleの志の高さを感じますね。
いかなる理由でこの選曲を?
団長の福永さんからメッセージを頂きました。

今回の自由曲には、私たちはバッハのモテットを取り上げました。


コンクールのよさ・魅力のひとつに、
ひとつの作品に長い期間徹底して取り組むことによって、
合唱団のメンバーのアンサンブル能力や
ハーモニー感覚をじっくり磨く機会や、
その作品についてとても深く学ぶ機会が
得られるという点があると思います。


今回のバッハは、私たちにとってはじめてのバロック音楽
そしてドイツ語の作品への挑戦になりますが、
コンクールというじっくりと作品に向き合える貴重な機会に、
是非この偉大な作曲家に触れ、その時代の様式感や、
ドイツ語のディクションを徹底して学びたいと思ったことが、
今回バッハを自由曲に選んだ理由です。


バッハに取り組む中で、いくつもの大きな壁に突き当たりました。
特に技術的な問題、発声の問題は大きく、
バッハの作品はひとりひとりが
しっかりとした存在感を持って歌えていないと
魅力的な音が鳴らないため、
その点でこの作品に取り組む中で、
バッハに鍛えられたことは、私たちの大きな財産になりました。


バッハの作品の魅力は、
やはり言葉と音楽が
分かちがたく結びついているところにあると感じます。
言葉や、内容に対する深い探究が、
そのまま音楽の表現につながる…。
全国大会では、拙い演奏ではありますが、
そのような作品の持つ魅力を、
少しでも聴いてくださる方々に感じとっていただけたら、と思います。


前回、はじめて全国大会を生で聴いて、
どの合唱団もそれぞれの特質を生かした
多様なプログラムで素晴らしい演奏をされていて、
とても感動したことを覚えています。
幸い、今年も出演順が早いので(1番目!)、
またあのような体験が出来ることが今から楽しみです。


私たちも皆さんの期待に応えられるような演奏が出来るよう、
頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!


福永さん、ありがとうございました!
東京都大会を審査された礒山雅先生が
そのブログ「I教授の談話室」にて
「東京都合唱コンクール〜考えさせられたこと」と題し
harmonia ensembleのバッハを絶賛しております。


300年近く前に作曲されたバッハのこの名曲を
まだ20代の若い人たちが演奏する・・・。
なんだか不思議さと同時に喜びを感じてしまいますね。
今年もharmonia ensemble、楽しみ!


さて、harmonia ensembleには写真を送っていただいてます。





フロリレージュ国際合唱コンクールで
ルネサンスコンクールの会場の外で撮ったものだそうです。



さらに、harmonia ensembleへ応援メッセージがあります。
コメント欄でヴォーカルアンサンブル《EST》代表H.NODAさんから。
そういえばESTもフロリレージュ国際合唱コンクールへ参加していたんですね。


そして鈴木貴文さんからの応援メッセージで

harmonia ensembleのCDを聴きました。
まだ生演奏は聴いたことはありませんが、
青森でCD水準の演奏、
それ以上の演奏が聴けるかと思うと興奮します。
客席から精一杯応援しています。


harmonia ensembleのCDは私もこのブログで感想を書いていますね。
だいじょうぶです、鈴木さん。
きっと生演奏はCD以上ですよ?!









2.島根県・中国支部代表
女声合唱団フィオーリ
(女声24人・3年連続出場)



斐川西中学校のOGを中心に結成されたというフィオーリ。
課題曲はF3の「私のいのちは」(小林秀雄:作曲)
そして自由曲は
西村朗:作曲
同声三部合唱とピアノのための組曲「永訣の朝」からIII 無声慟哭


昨年は明るく、以前よりも若々しくなった声で課題曲を演奏し、
自由曲は同じ西村作品・詩人である宮沢賢治の組曲から
「I.永訣の朝」を演奏して、
非常にまとまった、過不足のない表現を聴かせて頂きました。
今年はその組曲3曲の最終曲。
妹:とし子の死を見つめ、祈る、賢治の「無声慟哭」という詩。
フィオーリの明晰な発語による賢治の詩世界が
青森のホールにどう響くか、注目ですね。









3.奈良県・関西支部代表
Choeur Chêne
(混声29人・10年連続出場)



シェンヌ10年連続全国出場ですか!
おめでとうございます。


今年のシェンヌはシード団体ではなかったのですが
関西支部では審査員全員1位という結果で、
今年も代表に選ばれました。


そのリッチとでも言うべき声と
空気が変わったような錯覚を引き起こす優れた響き。
昨年のブラームスでは息が長く、旋律そのものを愛おしむような歌。
音楽の移り変わりの見事さ、
メゾピアノからピアニッシモの精妙な表現に
本当に瞳の水分量が増したものです。


今年、課題曲はシェンヌお得意のG1で、
他の団体を聴いた印象ではなかなか難しい曲だったのですが、
シェンヌで納得いく演奏を期待してしまいます。


そして自由曲は・・・
Felix Mendelssohn Bartholdy 曲
「Elias(エリヤ)」より
「Denn er hat seinen Engeln befohlen...」
(それ、主汝のためにみ使いたちに命じ…)
Max Reger 曲
「Palmsonntagmorgen(枝の主日)」


ほほー!こういう定評ある名曲を取り上げてくれるのも
シェンヌという団の嬉しいところ。


シェンヌ団員:最年少の学生Hくんから
メッセージを頂きました。

◆自由曲について〜シェンヌ最年少男子の思い〜◆


1曲目はDenn er hat seinen Engeln
前期ロマン派を代表する作曲家メンデルスゾーンの作品。
オラトリオ「エリヤ」の中の天使達の複四重唱であります。
美しい旋律が次々と浮かび上がり、
8声が重なり合うことにより至福のハーモニーを響かせます。


2曲目はPalmsonntagmorgen
Palmsonntagmorgen(枝の主日)とは復活祭前の日曜日のこと。
穏やかな静寂の中で、ヤシの枝を手に取り
主をイスラエルの王として迎える
群衆の叫びを記したエマニュエル・ガイベルのテクストを、
5声の旋律が主張する古典的な多声音楽をベースにしながら、
半音階的音楽の旋律が絹の様に美しく、
時には主張し力強く重なります。


今年もドイツロマン派の選曲です。
2曲とも、旋律がシンプルで聞いていると
「綺麗でいい曲だなぁ!!」と、誰もが感じる曲だと思います。
そういう曲こそ面構えは良いですが、
いざ歌ってみるとかなり難しいことに気付かされるのです・・・
(そういうのがロマン派ってやつなんでしょうか)。
何というか、曲がシンプルなだけに
求められるものもシンプルといいますか・・・。
当たり前のことが、まだ出来ていないんだなぁと思い知らされます。

そして代表の福島さんからもメッセージを。

◆練習中の雰囲気◆


練習中の雰囲気は・・・特に昨年とも変わらず、です。
いい緊張感の中で、
時には厳しく、時には・・・厳しく(笑) 優しくですね!


でも今年は声部も多いこともあり、
1人づつ歌ったりということが多かったので
メンバーも毎回ドキドキで練習に臨んでいた様に思います。
その都度、指揮者から見本を見せて頂いたり、指導頂けるので、
少しでも理想に近づけるよう皆必死に頑張っています。


特に自由曲のPalmsonntagmorgenは本当に美しく、
理想通りに演奏できたとすると最高の曲なのですが、
歌い手泣かせといいますか、
何故こんな曲作っちゃったの、レーガーさん???
と、メンバーも一度はレーガーに問いかけたのではないでしょうか(笑)


最年少の学生Hくん、福島さん、ありがとうございました!
「エリヤ」はメンデルスゾーンの作品の中で
個人的に好きな曲なので楽しみですね〜。
そしてレーガーのPalmsonntagmorgenは
聴くと優美、華麗で美しい曲なんですが、
「歌い手泣かせ」という言葉に頷いてしまう、
声楽的にも難易度が高いというのが容易に想像できる曲です。


シェンヌの高い実力と精神性が、
そんな難しさを感じさせずに聴かせ、
青森のホールをシェンヌの世界で一色に染めて欲しいですね!
大変期待しております。



そして写真も送って頂きました。





う、上西先生・・・(笑)。



シェンヌには
この日の12番目に出演する
Combinir di Corista団員一同さんから
応援メッセージが届いております。

クール・シェンヌさんとは、
来年の5月4日に大阪いずみホール
ジョイントコンサートをさせていただくことになっており、
とても楽しみにしております。
残念ながら今回もまた演奏順の都合で
美しい歌声を拝聴できないのですが、
心からエールをお送りするとともに、
互いに良い演奏をして
ジョイントコンサートにつなげていきたいと思います。
頑張りましょう!


へーっ。シェンヌとコンビニのジョイントコンサート!
なかなか凄い組み合わせですね。
予定が空いていれば私も行きたいものです。


さて最後に、代表の福島さんから
出場される合唱団の皆様へ応援メッセージが。

出場される合唱団の皆様へ


皆様と同じステージで歌わせて頂けること、本当に嬉しい限りです。
3月11日以降、本当に色々なことを考え、
それぞれに行動されてきたと思います。
同時に、音楽が人の心に与える力・人の心を動かす
大きな力を持っていることに改めて気付きました。
今回はコンクールで集まる訳ですが、
東北の青森の地でたくさんの合唱を音楽を愛する人達が集まることに
コンクールの枠を越えた大変大きな意味があるような気が致します。
皆さんと合唱を通して繋がっていられることに感謝して、
精一杯演奏したいと思います。
青森でお会いできること楽しみにしております!


…うん、いい言葉ですね。
「コンクールの枠を越えた大変大きな意味があるような気が致します」
この気持ちは、このブログの企画にも通じていると思います。
福島さん、改めてありがとうございました!