本格合唱マンガ「はしっこアンサンブル」を知ってますか?

 




私立大学でのオタク活動を描いた「げんしけん」で話題を呼んだ木尾士目氏が次に選んだテーマはなんと「合唱」!
連載開始から楽しく読んできたのですが、今月の23日に待望の単行本1巻が発売されました。
 

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https://www.amazon.co.jp/dp/B07GBVCRQT/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 



第1話「それは現象として事実」が無料公開されているので、まずそれを読んで欲しいのです。

afternoon.moae.jp

 


おはなしは――

藤吉晃は、声変わりした中学の頃から自分の「声の低さ」がコンプレックスで、大きな声を出せなくなり「声を使わない仕事に就けるかも」と都立端本工業高校に進学した。

しかしそこで学校になかった合唱部を作ろうと、毎日放課後にいろんな場所で歌うが、多くの生徒からは相手にされなかった同じ1年の木村仁に出会う。

ある日、「歌の力」によって2人は引き寄せられる。

「絶対一緒に合唱やろう!!」

『げんしけん』の木尾士目が贈る、工業高校×合唱部の青春ストーリー!!

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東京国際合唱コンクール感想:その4(混声合唱部門)





日付が変わって7月29日(日)、9:15から混声合唱部門の開始です。
6団体の出場。
私が格別印象に残った団体の感想を出演順に。
(記された人数は不正確な場合があります)

 

審査結果はこちら ↓ 

 

 

Kammerchor "Hiroshima Kantorei"
女声20名、男声14名。

2曲目のMendelssohn「Zum Abendsegen」は混迷から減衰しながらの解放に祈りが込められ、ソプラノの歌い方も優れていました。
3曲目のMendelssohn「Am karfreitage」はドイツ音楽の香り、深さが感じられ。
和音の精度、音楽の推進力にやや疑問はありましたが、1曲目のPurcellなど名曲に正面から向かう姿勢が素晴らしい。
一番良かったのは最後に演奏した千原英喜先生の課題曲「あかあかや」。
月を愛でるこのテキストに、酒を飲む男ども、遊女?の戯れ(恐怖を感じさせないヴォカリーズが◎)、また相撲では無く歌舞伎を感じさせる足拍子など、日本的な情緒と間が伝わり、とても良かったです。84.9点 銀賞





University of Mindanao Chorale

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昨日の室内合唱部門で金賞1位だったこの団体。
プログラムと曲順が違ったので、感想が間違っている可能性もあります。

Robert Lucas Pearsall「Lay A Garland」 最初から豊かに広がる声、歌にまず魅了されてしまいます。
・・・朝の9時代ですよね?!
Feliciano編曲「PokPok Alimpako」はとても軽やかに跳ね、リズムの面白さを表現。
ミュージックボックスのような機械的な歌唱も優れ。(「パピコパピコ」って言ってなかった?)
テンポアップしても乱れず、そのスピードの爽快さと楽しさ!
Magor Bucz 「A Nap fivérének imája」はまず勢いあるフォルテッシモで充分鳴らし。
そこからのなめらかに静かなフレーズへと別団体のように切り替わる歌唱の鮮やかさ。
最後に演奏した課題曲「あかあかや」は女声の、ホールを広げるような空間を支配する説得力。
日本的情緒とは違いましたが、それはそれで納得させられる完成度高い演奏でした。

室内合唱部門と同じく、高度な発声と魅せることを心得た、余裕さえ感じるステージ。納得の金賞1位 90.6点!

 

 






Chœur Clarté(女声17人、男声11人)
幕張総合高等学校のOBによって昨年発足した団体とのこと。
課題曲「あかあかや」は「ぷしゅー」音を女声に配する面白さ。
良い声が豊かに響きます。
女声のヴォカリーズは他の海外団体と同じくホラーのような。
アタッカで演奏された間宮芳生「おぼこ祝い唄」は力強く、ヴォカリーズのニュアンスが優れて。
Mendelssohn「Psalm 43」は後半の盛り上がりが迫ってきます。
最後のBrahmsなど、全体に曲想が変わっても響きと歌い方が同じ傾向はありましたが、山宮篤子先生という優れた指揮者の元で、若い合唱団がこれからどう成長するか楽しみです。85.4点 金賞3位。


 

 



ベラルーシからのПолифоникаPolifonica 女声17名、男声9名)

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音程など難はありましたが「どんだけ出すの⁈」とベースの低音の深さと響き!
Victoria「Ave Maria」はソリストからずっとひとつの流れで止まらない。
Bortniansky「Te Deum」は味わいあるソリスト含め激しさ、勢いが楽しく。
常に横に流れる音楽にも魅力を感じました。
ロシア音楽、いいな…としみじみ好感を抱く団体。​81.0点 銀賞

 

 



最後に出場された東京のCombinir di Corista(女声18名、男声16名)はやはり素晴らしかった!

入場から音楽が始まっている課題曲「あかあかや」
深く強い男声は扇子を持ち、邪を払い?、舞う様子が目に残ります。
始まりは力強く、かつ音楽の切り替わりが鮮やかなBrahms「Warum op.92-4」。
Lotti「Crucifixus」は緊張感を保った持続音と表現の彫深さ。
そして来て欲しい音と表現が間違いなく来るBruckner「Christus factus est」。
重いストレートを何度も喰らったような力強い演奏。
全体に集中力を切らさず、幅広い表現力に圧倒されました!
88.7点 金賞2位。

 

 

 






混声合唱部門はルネサンス・バロック時代またはロマン派の作品を1曲以上演奏するということで、ヴィクトリア、メンデルスゾーン、ブラームスなどの名曲が聴ける喜びがありました。
あと千原英喜先生の課題曲「あかあかや」のシアターピース的な解釈、その表現にも注目でしたね。




(現代音楽部門に続きます)

 

東京国際合唱コンクール感想:その3(ユース部門)




間が空いてしまいました。
ユース部門は15:45分からの14団体出場。
私が格別印象に残った団体の感想を出演順で。
(記された人数は不正確な場合があります)

中国、香港、フィリピン、チェコ、台湾とこちらも国際色豊かな部門。
さらに日本の団体も全国大会常連と思われる中学・高校の団体が。

 

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東京国際合唱コンクール感想:その1(室内合唱部門)

 



第1回となる「東京国際合唱コンクール」へ行ってきました。
海外からは13ヶ国50団体が応募の、文字通り国際的なコンクール。
課題曲は4部門それぞれに人気の邦人作曲家による新曲。
7人の審査員のうち、なんと5人が著名な海外の音楽家。
3日間に渡り8部門別で競われ、最終日に各部門の代表(フォルクロア部門を除く)の団体が競う「グランプリ大会」もある非常に大規模なコンクールです。

 

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https://www.ticctokyo.icot.or.jp/top

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合唱団 クール・ファミーユ 第11回コーラスコンサートのお知らせ

 


富山の実力合唱団、 クール・ファミーユさんの第11回目となるコンサートのお知らせです。





合唱団 クール・ファミーユ 第11回コーラスコンサート

指揮 堀江英一

ピアノ 広瀬裕子 佐々木ゆき子



【日時】平成30年7月15日(日)開場:13時30分 開演:14時



【会場】富山県教育文化会館 
http://www.bunka-toyama.jp/kyoubun/
TEL 076-441-8635




【入場料】1,000円(高校生以下無料)



【プログラム】

 第1ステージ ルネサンスのマドリガル
 IO MI SON GIOVINETTA(作曲 MONTEVERDI,Claudio)
 LE CHANT DES OYSEAUX-2e version(作曲 JANEQUIN,Clement) ほか

 第2ステージ 竹久夢二表紙画によるセノオ楽譜より
 浜辺の歌(作曲 成田為三 編曲 林光)
 荒城の月(作曲 瀧廉太郎 編曲 寺嶋陸也)
 宵待草(作曲 多忠亮 編曲 信長貴富)
 カチューシャの唄(作曲 中山晋平 編曲 信長貴富) ほか

 第3ステージ 「唱歌の四季」(編曲 三善晃) 

 

 

 私たちは、富山県在住の高校生から大学生、社会人まで、幅広い年代のメンバーが集まり活動を行っております、合唱団クール・ファミーユと申します。2005年より活動を開始し、昨年、節目となる第10回コンサートを行いました。団の新たな第一歩となる今年の第11回のコンサートでは、豊かな音楽表現を目指しチャレンジしていきたいと考えています!
 第1ステージは、イタリア、フランスのマドリガルの名曲を演奏いたします。
 第2ステージでは、大正ロマンを代表する画家、竹久夢二が楽譜の表紙画を描いた愛唱曲を、学芸員による絵画解説を交えながらお届けいたします。
 そして、第3ステージでは三善晃先生編曲の名組曲、「唱歌の四季」にチャレンジいたします!
皆様、お誘いあわせの上、ぜひ足をお運びください。
団員一同、お待ちしております!

 

 

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合唱団 クール・ファミーユ / トップページ・更新情報

 

 

 

ルネサンス作品に竹久夢二表紙画からの楽譜作品や「唱歌の四季」とバラエティに富む選曲。
絵画解説など意欲あふれる試みが興味深いですね。
お近くのみなさま、ぜひ!

 

 

      

G.U.Choir演奏会感想&Joint Concert 2018 -Ars novaを求めて-のお知らせ

 





今年の3月18日に聴いた京都のG.U.Choir5th演奏会の感想を。



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川西市みつなかホール、開演15時。

指揮はすべて山口雄人さん。
ピアニストは長尾優里奈さん。

第1ステージはĒriks Ešenvalds合唱作品集Vol.1
最初の「THE HEAVEN'S FLOCK」から奔流のような豊かな声がステージからあふれ出す。
ソプラノの旋律は背筋に電流が走り、移り変わるエセンヴァルズ特有のハーモニーとフレーズに魅了された。
指揮者の山口さんはエセンヴァルズが好き過ぎてラトヴィアまで行ったということもあり、ヤカンや水筒、バケツ、フライパンなどを使い、ラトヴィア民謡のリズム、女声の愛らしさが光った「SIX LITTLE DRUMMERS」、歌と踊りの祭典のテーマソング「MY SONG」はミュージカル風味?で、いわゆるエセンヴァルズのイメージとは違った、日本では初演の曲を聴けたのも嬉しかった。

第2ステージはG.U.チャレンジ!と題された、今年のコンクール演奏曲。
課題曲の「まぶしい朝」は、ややゆったりとしたテンポで、テナーの新鮮さ、バスとアルトの響き合い、語感の良さが印象に残る。
「Cloudburst」は多彩な楽器を団員さんが演奏したこともあり一体感ある演奏。
大自然のパノラマを音で充分楽しませてもらった。

第3ステージは「混声合唱組曲 島よ」
昭和45年度芸術祭参加作品、大中恩先生の往年の名曲。
さすがに大時代的な古さを感じないでもなかったが、言葉の扱いに繊細さと柔らかな響きが乗り、島の変化に自身を重ね「島よ…」と呼びかける音楽には強い説得力。

最後の第5ステージはG.U.アラカルト ~G.U.(自由)な世界を見たくて~
カホンを使い、鶏の鳴き声に唸らされた「KOKOUKO」、ケニア伝統音楽の「Wana Baraka」、ひそやかな和音の色変化が美しかった「LET MY LOVE BE HEARD」など、指揮者の山口さんがWorld Youth Choir(世界青少年合唱団)に参加された経験を活かした、歌以外のパフォーマンスもある、実に多彩な選曲で演奏会は締められた。


これだけの曲をすべて高い水準で、深く、熱い共感を持って演奏されたことに、素直に敬意を抱きました。
兵庫まで来た甲斐があった!



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G.U.さんの素晴らしいのはハーモニー感覚が抜群なところ。
しかもありがちな、ベターッと全部同じようにハモるんじゃなく、音楽の瞬間に最適な強さと色合いで和音が変化していく。
ハーモニーに対する旋律も浮かず、かつ埋没しない。
立ち現れ消えていく、変幻自在なその美しさを堪能しました。

あと、響きが下に落ちず明るい発声なのも好印象でした。
ベースですら胸に落ちなく、かつ豊かな響き。
言葉への感覚も繊細で、若さゆえの共感を持って歌われるから、プログラムの良さもあって、全5ステージ約3時間の演奏会でもそれほど疲れず最後まで聴けました。

ただ弱音の繊細さ、大音量の鳴りは良くても、中音域になると音楽の説得力がやや失われがちのような。
そして選曲の幅広さ、作品への深い共感があり気付きにくいけど、音楽の捉え方が少しパターン化している印象も。

しかしそんな印象も吹っ飛ぶ演奏がありました。
第4ステージ、森田花央里さんへの委嘱作品である「星の旅」の演奏。

1曲目「星の旅」のヴォカリーズから壮大な、厳しさと優しさを併せ持つ音楽。
トーンチャイムが効果的に響き世界を作り。
2曲目「どれだけ遠く」では合唱に対するピアノの役割。
最終曲「ひとり」では男声女声それぞれ長くユニゾンで歌われた後、ハーモニーの意味を考えさせられたり。
そもそも多人数で歌う意味は。
歌い手にとって詩のバックボーンは?などさまざまな問いが生まれてくる作品。

最終曲の「ひとり」で男声のあと女声で歌われる「 たとえ答えはどこにもないとしても 」から、まだ血の滲む傷に、音と言葉がそっと手を当てるような感覚に。
作曲者の森田さんは「彼らの未来が幸せになるような歌を書こうと思った」と書かれているが、その幸せは甘いものでは無く。
例えるなら望みがすべて失われ、多くの傷を負い、倒れ、顔をわずかに上げるも視界は曇天。
でも一角にかすかな青空があるよ。
それが幸せと呼べるかもしれないよ。
…そんな音がしました。



年を経て若さゆえの痛みから遠ざかったはずなのに、この作品であの時の痛みが甦る。
音楽的にも「今の合唱曲」への問いと答えが、作品と演奏によって示されたと感じさせた時間。
「星の旅」はG.U.の彼ら彼女たちにとって、永く寄り添う、大切な作品になったことを実感する演奏でした。


そしてこの作品が7月1日に京都で再演されます。

G.U.Choir、同志社混声合唱団こまくさ、神戸大学混声合唱団アポロンによる合同合唱。
指揮は山口雄人さん、ピアノは作曲者の森田花央里さん。


Joint Concert 2018 -Ars novaを求めて-

開催日:2018年7月1日(日)
時 間:14:15開場 / 15:00開演
場 所:長岡京記念文化会館
入場料:一般2000円・学生1000円

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http://guchoir.chobi.net/jc2018/



指揮の山口さんはハンガリーへの留学が決まったため、日本で彼の演奏が聴ける貴重な機会になるかもしれません。
大変残念ながら私は行けないのですが、きっと入魂の演奏が聴けるはず。



心の傷はそれぞれ孤立したものですが、どこか深いところで繋がっていて。
痛みを強く意識させながらも、同時に差し伸べられる手の温かさを感じるような。
そんな厳しく、とても優しい音楽。
「星の旅」、多くの人に聴いていただきたい作品です。