大学合唱団の新歓は難しい、への余談

【大学合唱団の新歓は難しいへの余談】→コンクールと大学合唱団が存続する意味とは

 

 

この文章を読む前に
「大学合唱団の新歓は難しい」を考えてみた

をお読みください。

 


◉客演指揮者、さらに「コンクールに参加しない大学合唱団」
思い出すのは「信州大学混声合唱団」さん。
信長貴富先生へ委嘱された新作の演奏水準の高さはもちろん、「客演指揮者」と言いながらも多くは常任指揮者の合唱団とは違い、指揮者が毎年変わられます。
特に最近の演奏会では谷郁先生にお願いしたのは凄いな!と感心しました。
過去にも荻久保和明先生、名島啓太先生……とヴァラエティに富んでいます。
技術顧問の中村雅夫先生のご助言のためかもしれませんね。



◉コンクールについて→
なすさんが触れられている、「コンクール」について。
もちろん昨年の全国大会へ出場された中国支部・鳥取県代表のユース団体「Chor Karmin」さんの存在は私も知っております。
書かれるように、団員さんが岡大さんとKarminさんと重なる場合があることで、「なぜ仲間内で全国出場を争わなければならないんだ?」、そんな当然の疑問も出ることでしょう。
「コンクール参加」が中心活動のKarminさんと比較し、そうでは無い岡大さんのコンクール練習やモチベーションは難しいものになるかもしれません。

ただ、最初に挙げた【テーマ 1】の「技術向上」「岡山大学グリークラブという存在を、優れた演奏によってブランドとなる価値ある団体を目指す」に、コンクールは合致する面があります。
さらに、「大学合唱団」の単位なら、全国出場団体や(賞が)上位団体だと、大学側からの恩恵が多くなったりします。
(その辺りは、全国大会上位を何度も経験している都留文科大学合唱団さんや北海道大学合唱団さんや関西学院グリークラブさん、九大混声合唱団さんへ相談してから、岡山大学側との支援の交渉を考えるのも良いかもしれません)

また、「合唱界」の中の「全日本合唱連盟」はやはりコンクール推しです。(その是非は今回問わないにしても……)
上述のようにデメリットも多くあるコンクール参加ですが、ブランド強化や大学(またはOB)からの支援の増大、技術向上を考えるなら、選択肢として考えてみるのも良いのでは無いでしょうか。


◉なすさんが最後に書かれた→
>誰が総合考慮するの?となるとき、幹事学年が中心になって、(一枚岩ではない)在部生で決めるわけで、その方針は予測不可能である。だからこそ、腰を据えて、対話をするべき…ではあるが、次から次へとやってくる行事にきちんと対応しようとするとおちおち対話の機会も持てない。
>(4年に一度団員が100%入れ替わる大学合唱団の宿命でもあるが、)きちんと活動しようとすると、1年間は短すぎる。新歓って難しいね。

そうなんですよね・・・。
この問題は大変難しく。
時代に合わない大学合唱団もろもろのことを変えようとするには、団内での対話が必要。
しかし既存の多くの行事に対応しようとして、必然的に時間が少なくなってしまう。

現実的な解?としては、外からずっと岡山大学グリークラブを見ていた合唱名門高出身の新1年生が最初から「オレがこの団体を変える!」とか。
あるいはなすさんのような、幹事学年を経験した方が院政を敷く(?!)以外に無いような気がします。

既存のシステムを変えようとするために、「既存のシステムを十分理解し、運用できるのを示す」ことが求められるような。
矛盾しているようですが「魔王がいない世界を創るために、一回魔王になる!」みたいな。

技術、運営の役員を決定するだけでも大変ですよね。
そういう既存システムを保つこと自体が難しく、大学合唱団が疲弊してしまうのが、昨今の衰退の理由の一つかもしれません。

 

◉これもなすさんが書かれた→
>「自由の味をしってしまった」せいで学生の興味関心があちこちに向いている

そういう面で「学生さんのあちこちに向いた興味関心」にそれぞれ特化したユース団体が、大学合唱団より盛況なのは頷ける話ですね。
噺家・立川談志が弟子に言った「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ」の通りです。
ただ、ユース団体は中心メンバーが年齢を重ねたら退団か、あるいは一般団体への移行を考えなければなりません。
最初に決めた方針が上手くいかなければ、違うユース団体を立ち上げれば良いだけかもしれませんが・・・。
そこは一度休部、休団してしまうと復活が難しい大学合唱団とは異なる面かも。

もうひとつ、非常に重要だと思うのは、ユース団体は「合唱初心者を勧誘し育てるのに不向き」なのでは?
特にコンクールに特化したユース団体で、合唱初心者を積極的に勧誘し、育てることはかなり難易度が高そうです。

そういった合唱初心者の育成を含め、歌って踊れる合唱団、あるいは訪問公演に特化など、それぞれ全く違った方向へ合唱活動を進めることが出来る【可能性を秘めた人材の宝庫】、それが大学合唱団と言えるかもしれません。
変化が速い現代で、「大学合唱団」という枠組みを継続していくだけでも困難かもしれませんが、長い目で見た場合、いかようにも進める可能性の組織として、大学合唱団にはたくさんの利点があると思います。


大学合唱団に関わるみなさんに祝福があることを、心から願っています。


(おわり)