コンクール出場団体あれやこれや出張版 最終回


メール、メッセージ、相変わらず返信できず
本当に申し訳ありません!
kitaraでお話しすることができれば〜〜〜。


ところでかなり長大な企画となったこの「あれやこれや出張版」。
もし全部プリントアウトしたらどれくらいになるんでしょうね?


(ああっ、見せなくていい!見せなくていいですからっ!!)




<お知らせ>


コンクール出場団体あれやこれや:出張版 その6で紹介した
「お江戸コラリアーず」の記事に追加があります。
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20091117/1258438890


団員:いとー。くんが送ってくれた資料で
「ラグビイ」が入っているCDの作曲家によるライナーノーツ。
そして作曲家:信長貴富先生へのインタビュー!
これは「ラグビイ」という曲を深く知ることができるのはもちろん、
作曲家:信長貴富先生の創作への姿勢をうかがえる
貴重な資料とも言えます。
いとー。くん、改めて感謝!



さて、一般B部門、最後の2団体です。





九州支部代表・佐賀県
MODOKI
(混声46人・11年連続の出場)




〜〜深夜の電話〜〜



今年の全国、どうなんですか? 山本さん。



「あのなあ、MODOKIは今年奇跡のシードやろ」



奇跡って(笑)。



「でも、来年の3月にコーラスガーデンがあってさ」



はいはい、コーラスガーデン
MODOKIがホストで全国の合唱団が佐賀に集う企画ですね。



「…もともと冗談で、
『シードじゃない限りコンクール出んぞ!』
 って言ってたりしたらシードになったりね(泣)」



嬉し泣きですね、わかります(笑)。



「それで正直、コンクール出ようかどうか迷ったわけ」



・・・まあことしの全日本は、
九州大会が沖縄で
全国大会が北海道という
「それなんて罰ゲーム?」ってなスケジュールですからねえ。



「それよ!金かかるしね〜。
 沖縄の九州大会は女声も少なくてさ…
 それで、あの自由曲歌ったんだからね。
 声部分けも多いのにさあ〜」



そうそう、今年の自由曲は小栗克裕先生への委嘱曲。
2005年の”Libera me”〜無伴奏混声合唱のための  に続く
http://www.bc9.jp/~oguri/oguri3.html
(↑ 小栗先生HP。MODOKIの演奏が聴けます)
混声合唱とピアノのための ”Dies irae”」ですね。
どういう曲か紹介してもらえますか?



「うーん ・ ・ ・ 『 いっぱいいっぱい 』」



なるほど〜、いっぱいいっぱい、って。えー?!



Dies iraeの意味を知ってないと
 聴いても強烈過ぎて???…かもしれない。
 いや、ひょっとすると『なんか怒ってる』て感じはわかるかな?
 MODOKIのために書いてもらったってのは
 自分はすごくわかる気がする!」



(笑)。
(※「Dies irae」とは「怒りの日」という意味でキリスト教的終末論の…
 ・・・みなさん詳しくはググってね!)



「テーマがテーマだけに緊張感がずっと続くし、
 和音も複雑だし、まあとにかく凄い曲よ」



楽しみです。



「もちろん歌いこなせたらたら楽しいんだけど…
 それでさ、楽しみなのはコーラスガーデンも!
 凄い団が揃うよー」



えっと、東京からMUSICA FERVIDA
(CANTUS ANIMAE&合唱団まい)
京都から合唱団「葡萄の樹」
奈良からクール・シェンヌ
広島から合唱団ある


九州内では
福岡からスプリッツァー
佐賀から女声合唱団 ソレイユ
熊本から合唱団 Le Grazie
鹿児島から混声合唱団グリーンエコー
大分から大分市民合唱団ウイステリア・コール


本州からだけでも
雨森先生、伊東さん、上西先生、福原先生、
・・・と指揮者も豪華ですねー。



「2010年3月20日(土)〜22日(月)はぜひ佐賀へ!!」



楽しみです、私も行きますよ!
…じゃなくって、あのぅコンクールの話も聞きたいんですが。



「まあ、今年MODOKIはシードなんやけど、
 団員は自分も含め、気にしてないって言うかさ。
 ・・・聴く人はひょっとして気にするかもしれんけど」



しますよ!(笑)



「こんなこと言うとアレかもしれんけど、
 今のMODOKIで、
 自分達に合った得意分野的な曲をやれば
 自分達の思ったような演奏は出来るかなー
 とは思うわけ」



はい。



「その代わり、得意分野では無く、
 違う分野に挑戦するとガタガタだけどね(笑)」



一昨年の小林秀雄先生の自由曲みたいに(笑)。
(※最下位から3番目でした・・・)



「そう(笑)。
 あの演奏も自分達は大満足だったし、
 後日小林先生にすげーお褒めの言葉もらったんやけど(泣)。


 それでもシードだからもっと高い成績の1位を目指して!とか
 何年連続金賞シード受賞!というのを意識したくないんだよな!
 もちろん無理に決まってるけど(笑)」



無理ですかね〜。



「いや、常にCHALLENGE!
 コンクールという所は
 俺らにとっては本当にぶつかり稽古!!」



おお。



「『無茶スンナ!』
 と周りから呼ばれるような事を目指したい(笑)」



おおお(笑)。



「コンクールに出ると決めたのは
 同じ事を繰り返すためじゃなくて、
 仲間達と新しい自分達を見つけるため!
 そのためにもう一度ぶつかると決めた感じ…
 だから今年のMODOKIもCHALLENGE!!」



なるほどー・・・楽しみですね。CHALLENGEかあ。



「…CHALLENGE!と言えば、
 来年3月のコーラスガーデンなんやけどね…」



ああもうわかりました、来年3月下旬、合唱人は佐賀へ集結!!!












月に1回全国から集まり練習する合宿型合唱団のMODOKI。
昨年の「あれやこれや」では2年前の話を紹介したので
今年は昨年のを。



「MODOKI 金賞!」
そして岡山県知事賞と言うシードもおまけに付いて。
MODOKI、久しぶりの金賞?8年ぶり?
などと、周りを見るとMODOKI団員は喜びながらも
「…これは壮大なドッキリなのではないか?」
という顔でやや茫然自失の態。
それよりも、異様だったのは・・・


・・・泣いてるんです。
や、団員が泣いてるんじゃなくって、団員じゃない人が。
指揮者:山本さんの知人やら他合唱団の団員さんが。
ある人は顔を下へ。ある人は笑顔で。
目の周りを濡らしている。



えー?! ちょっと思い入れが強すぎるんじゃない?
昨年と同じ言葉を使えば 「逆じゃね?」 というか、
正直に言わせてもらえば馬鹿っぽいんですけど!



ここで話は飛びますが5年前の全国大会直前。
いつものことながら「合唱ってつまんねー」などと
自分で何ひとつ動くことなくただ不満を撒き散らしていた私は
「合唱をこれ以上聴きたくない状態。
…これが最後に聴きに行くコンクールになるかも」などと
HPの掲示板に書いて愛媛の会場へ向かったのです。
んなコト書かなきゃいいのにねえ。
ああ、目の前に5年前の自分がいたら殴ってやりたい。



その会場で聴いたMODOKIの「Lacrimosa」は


「私たちが存在している意味は歌」
「私たち自身を伝えられるのは歌」


・・・ということを強く感じさせ。そして。


「合唱は全存在を賭けるに足りうるものだ!」
そう、演奏で十分証明するものでした。



演奏終了後に山本さんに会うも、
どんな風に感想を伝えればいいか口ごもっていると



「…掲示板にさ、もう合唱を聞かない、とか書いてるから
 『させるかーっ!!!』 と思いながら振ったよ」





・・・・。




ふたたび、話は昨年の全国大会賞発表時に戻り。
名は伏せますが某合唱団の指揮者で
全国大会に出場する団体の紹介記事を
ブログで書く実に奇特な方が近づいてきまして。


まあ、その方も目の周りが濡れているんですが。


で、私の顔を見て笑って言うには





「…やっぱり泣くよね?」



・ ・ ・ 馬鹿はもう一人いたというわけで。




「合唱は全存在を賭けるに足りうるものだ」
そんなことを証明する機会を、
実は私たちはずっと探し続けているのかもしれない。


ただ、それは自分で証明するのはなかなか難しく。


しかし、そんな困難を本気で乗り越えようとする人たちに
私たちは自分のこと以上に思い入れを強くしてしまうのだ。



MODOKIがMODOKIの演奏である限り、
もし失敗しても次があるさと肩を抱き、
不当な評価だったらふざけるなと怒り、
そして賞なんて関係ないよと言いつつも
しっかり認めてもらったのならその時はその時。
涙のひとつぐらい零して喜ぶのもやぶさかではない。


…MODOKIがMODOKIである限り。




9年前の札幌大会、一般A部門に出場のMODOKI課題曲は
G2:O salutaris Hostia(Rossini)
自由曲:By the waters of Babylon(Fissinger)






さて、この札幌での全国大会。
最後の団体です。



関西支部代表・大阪府
豊中混声合唱団
(混声78人・2年ぶりの出場)



豊中混声は1941年から始まったと言うことですから
今年で創立68年! 歴史ある団です。
EST代表H.NODAさんの言葉によると、
豊中混声は前回、前々回の札幌での全国大会にも出場し、
なんと前々々回(1978年度函館市民体育館)にも出場!
もうこれは北海道での大会に縁がある合唱団で間違いない!(笑)。



2年前の全国大会、
東京文化会館での自由曲演奏は新実徳英先生の「南の島(パイヌスマ)」。
色とりどりの布や旗でステージを大きく飾っていたのが印象的でした。


今年の課題曲はG2:Rukous
自由曲は「Credo」(Rautavaara)
「Auringon noustessa」(Kuula)


自由曲のラウタヴァーラは
騎馬的?なリズムから緊張感ある音が続く曲。
そして自由曲2曲目はクーラの曲。
あれ?課題曲もクーラの作品なのでラウタヴァーラを挟む形。
しかもフィンランド出身作曲家だけのステージですね。



10代からなんと90代まで
幅広い年代層の団員さんがいる豊中混声合唱団。
北海道にきっと「呼ばれて」来たんですから、
ぜひとも気合いの入った演奏を!
…って私が言わなくても団員さんは気合十分みたいですよ?

練習自体はやはり一度本番を経験しただけあって
余裕のようなものが感じられますが、
向かうは札幌、Kitaraの舞台!
残りの練習をみっちりこなして、
全国大会の大トリを飾るぞ!!



「とよこん練習日記」から


おお!飾って下さい!!期待してますよ、とよこんのみなさん!!!



そんなわけで豊中混声合唱団は9年前の札幌全国大会にも出場。
課題曲はO salutaris Hostia(Rossini)
自由曲は「空に小鳥がいなくなった日」から「朝」(一柳慧)でした。






これにて、2009年度札幌全国大会、
一般A17団体、一般B15団体の紹介記事、終了!






※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 



「ありがとうございました」



まずは唐突な質問メールや電話に快く答えて下さった
指揮者、合唱団員のみなさま、本当にありがとうございました!
かなり強引に選曲理由をお聞きしてしまったり、
大変悩ませてしまったり、
お詫びしなければならないことも多々ありますが、
最後まで書き続けられたのはみなさまのおかげです。
心より感謝いたします。もう一度、「ありがとうございました!」。



そして、この方にもお礼を言わないと(笑)。
Web交換日記相手ことぜんぱくさん、ありがとうございました〜。
あちらからもお礼を言われていますが、いやいや、
やはり「あれやこれや」という名前を使わせていただいたのだから
これはもう、最大級の感謝ですよ!





「何故、選曲理由などを尋ねる企画を?」と
某さんに逆に質問されたのですが。
コンクールという「競争」の場で、
「敵」という記号になりがちなそれぞれの団体を身近に感じて欲しい
…という理由もありますし、
単純に私が知りたかった、というのもあります。



子供の頃、そして今でも、
お土産などで箱詰めのちょっと高級なお菓子に付いている
その菓子の説明書?を読むのが好きでした。
形のない言葉が形作る、菓子としての姿。


それは実際のお菓子を忠実に表わしていたり、
あるいは現実から遠く離れていたり、様々でしたが
言葉と現実が重なること、そして離れていることも込みで好きでした。



今思えば、お菓子とその説明書の間にある
物語のようなものを探そうとしていたのかもしれません。



それはこのコンクールと言う場と私との間にも
探し続けているものです。




そういえばお菓子で思い出せば、幼い頃ある菓子を食べて


「これは世界一おいしいね!」と言って
周りの大人を大笑いさせたことがあります。
その当時は何が可笑しいのかわからなかったのですが、
今となってみれば食べたものの数も種類もごく少ないのに
「世界一」と断言してしまう幼さゆえに笑われたんだと
わかります。



7、8年前から毎年のように
「合唱なんてつまらない」…と言い続けた自分がいて。
それでも少し前から「やっぱり面白いじゃん、合唱!」と
思い直している自分がいます。



「合唱ってつまらない」と言っていた自分は、
そのコンクールや演奏会の場“だけ”で
全てを判断していたような気がします。
最近意識するようになったのは、
ほぼアマチュアで構成されているこの
「日本の合唱」世界と違う、あるいは重なるものは何か?
アマチュアならそれに対するプロフェッショナルとは?
声の音楽ならそれに対する器楽とは?
日本的なるものならそれに対する外国らしさとは?


もちろん今までも聴きに行ってはいたのですが
より積極的に、
合唱以外のジャンルの演奏を聞きに行くようになりました。
その場でも「重なるもの」「違うもの」を考えながら聴き。
そして合唱演奏の場に戻り同じように
「重なるもの」「違うもの」を考えながら聴くと・・・
以前よりつまらなくはないんですね。
もちろん演奏技術の優劣などはあるけれど、
以前感じていた自分が「閉じている」感覚は減ってきた。



その場の演奏に断言せず、
常に、外の音楽との「重なるもの」「違うもの」と問いを持ち、
「ではこの演奏の理想とは?」と考えると
それほど退屈なものではなくなってきた。
いやむしろ面白くなってきた。


これは結局、
「合唱ってつまらない!」と言っていた自分が、
実は一番つまらない奴だった、というオチです。
幼い子の「このお菓子は世界一おいしいね!」が滑稽なように
外の世界を意識しないで言う
「合唱ってつまらない」も非常に滑稽だと。



だから今、強く思うのは


「開かれている合唱が好き」だということです。
それは観客はもちろん、選曲にも、他団体にも、
合唱以外の他ジャンルの音楽にも。



「これしかない!」ではなく、
たくさんある中から選ぶ「これがいい!」が好きです。
自分が思う豊かさというのは、
数少ないものが遥か高みにあるのではなく、
多くのものが選択可能で、そしてその様々なものが
お互いに認め合っている・・・それが豊かさだと思います。



合唱はもちろん、何かを表現することは
自分だけの穴をひたすら掘り進めるようなものですが。
それでも、同じく穴を掘り続ける他の仲間に目を向ければ
穴の掘り方も変わってくるんじゃないのかな?



コンクールという場は確かに演奏を競う場ではありますが
伊東さんの言葉をお借りすると
「コンクール自体がホールの中の拍手で完結してしまわないように」
するためにはどうすればいいか。
コンクールで完結するのではなく、コンクールが過程、
あるいはコンクールが始まり・・・そんな風にするには。



「あれやこれや」で指揮者の方々のお話に出た
「新しいものへの挑戦」「冒険」
「単純に同じことをやるのは意味が無い」
「CHALLENGE!」


それらの言葉は、閉じている自分を開かせ、
なにか新しい風が入ってくるような感じがします。



閉じこもりがちな自分を開いてくれる、
指揮者や合唱団のみなさんに、
もう一度心から感謝の言葉を。






ありがとうございました!


kitaraでお会いしましょう!!



(コンクール出場団体あれやこれや出張版 2009  ー完ー)