コーラスガーデン IN SAGA レポートその2

合同リハの最初はこのコーラスガーデン主催、
MODOKI指揮者の山本啓之さんがアンコール曲を指導します
そういや山本さんと私はフタケタにはまだだけど
それに近いぐらいの年数のお付き合い。
でも、実際の指導を見るのは初めてなんですよね。


中ホールの客席に並びステージ上から山本さんの指揮です。
アンコール1曲目はみなづきみのりさん詩、
北川昇先生作曲の「ここから始まる」。




…ほー、笑いを常に織り交ぜ、
テンポ良く指示を出す指導がさすがです。
そして後で「雨森先生に似てるね」
と言う声もどこからか聞こえてきたのですけど、
その熱さはもちろん、
「聴き手にリアリティを感じさせる表現」を求める姿勢が
似ている気がします。
(そこへ向かうアプローチは違いますが)
意味の無い音を許さない、と言うか。


それにしてもこの「ここから始まる」という曲。
以前から
「聞くよりも歌う方がひょっとして楽しいのでは?!」と思わせる
ツボを押さえた北川昇先生のハーモニーとメロディ。
山本さんの、言葉と音の本質を歌へ乗せるような指導。
そして何と言ってもみなづきみのりさんの詩に、
「…これは本番、ヤバイことになるのでは・・・」
そんな個人的な予感がかなり濃厚に匂ってきます。


だって「ここから始まる」はこんな言葉から始まるんです。


(注:作者のみなづきみのりさんに転載の許可を頂いています、感謝)

私には夢がある
どこまでもどこまでも
世界の続く限り、あなたと二人で探してみたい夢が
まだ見たことのないたくさんの景色
まだ感じたことのない鼓動
世界の扉にノックして
幼い日に知りたかったこと
問いかけてみたい
あなたと寄り添いながら


そして、その後の連が

私には歌がある
いつまでもいつまでも
時間の続く限り、あなたと二人で歌ってみたい歌が


と続くのです。
うーん、この「コーラスガーデン」のために作られた、
と言われても信じてしまうような詩。
ヤバイ、というかなんかマズイぞ、この曲!
(・・・そしてこの予感は現実のものとなります)


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続いて山本さんは指揮をしませんが
三好達治:詩、木下牧子先生の超有名曲「鴎」を練習し、
山本さんの指導は終了。
正味50分もありませんでしたがとても充実した時間でした。




休憩後、雨森文也先生の合同合唱、
Samuel Barber「Agnus Dei」の練習。
今度はステージ上に上がります。
200人を越える人数?壇上が狭い!
本番はこれ以上増えるだろうからギッチギチになるだろうなー。


雨森先生の指導を受けるのは久しぶりですが、相変わらずの熱さ。
オーケストラも振る先生、
原曲の「弦楽のためのアダージョ」を引き合いに出し、
合唱と対比させ、楽曲を理解させる構図が非常に分かりやすい。


先生がこだわっていたのが、
ソプラノ冒頭の「Agnus Dei」の「A」の出し方。
指揮も打点でタイミングを出すのではなく、
円の動きの中から歌が自然に、自発的に始まるのを
引き出すような指揮。
点から「ポン!」と始まるのではなく、
ヴァイオリンの弦を触れるか触れないかの状態から
弓が弦に触れ、充分に弾き切るまでの、
滑らかな、そして幅の大きい変化が求められます。


ダイナミクス、音の増減、語尾、ハーモニー・・・等々。
音楽を形作るための細かい指示が熱く鋭く出されます。
先ほどの山本さんの練習でも感じたのですが
全国大会常連団体のメンバーが揃っているせいか
ただ流すだけでもどんどん音楽がまとまり
表現に力が入っていくのがわかります。
これはショボい歌い手の私でも楽しい!


あー、それにしても約8年ぶりに歌った私ですが、
ここまで歌えないとは!
一人カラオケで個人練習をしてきたのに
ブレスは浅く短いわ、音を保てないわ、
そもそも狙った音に当たらないわ、
発声もひどいものです。


自分を出しながら、周りの声の響きと合わせ、つなぐ
“糊”のような声を目標に
現役時代はそれなりに出来ていたような気がするのですが、
今の段階は糊どころかハサミ、カッター、シュレッダー。
つなぐどころか周りの声をズタズタにしちゃってます。
いやー、本当に私の周りで歌っていた方、すいませんでした!
(シェンヌ、フェルビダの百戦錬磨の歌い手さんたちが
 「…へー、文吾くんバリトン上なんだ」とか言って
 こっちを見る目が怖かったですよぅ)


さらに。雨森先生の指導は1時間なのに、
それでも疲労困憊して途中で座り込んでしまう始末。(情けなー)


でもこの大曲を実際に合唱として歌い、
先生の熱い指導に触れて
「コーラスガーデンが始まったんだ!」という実感が湧いてきました。
本番までにはなんとかしちゃる! …せめてもうちょっと。





(練習直前、厳しい表情の雨森先生。でも指導は基本笑顔)



(つづきます)