観客賞座談会・室内合唱部門最終回

 


観客賞座談会。
今回は室内合唱部門で
5位以内には入らずとも印象に残った団体を。

 

 


室内合唱団《零》

(混声15名)

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良かったですよね!


超良かった!


好きでした!


アンサンブルとして良く、
指揮者と合唱団の関係が
密接なんだろうなというのが分かる演奏でした。


安定感がとてもあったし、
サウンドの練りも本当に素晴らしい!

 

民謡の歌い方も見事でしたね。


ただ、立つ位置がベタじゃなく、
一段二段上がっていれば
もう少し声が落ち気味じゃなく聴こえたかも。
惜しかったかな…。


いやぁでも、15人という今大会の最少人数、
それであの東京芸術劇場大ホールで
あんな安定感ある演奏をしたんだよ!?


うんうん、ひとりひとりが
声楽的に訓練されていた印象でしたね。


そうだね!
とても主体的な演奏だったし、
好感を持ちました。


また来年聴かせてもらうのを楽しみにしています!




《文吾の感想》

課題曲のプーランクは1列になり、
弱音がとても美しい雰囲気あるSalve Regina。

千原先生の「混声合唱の為のピエタ」は
ドライブ感あり、各部の音楽を作り込み、
立体的で非常に表情豊かな演奏でした。
座談会メンバーではとても好評な団体でしたよ!




 

 

 

 



ウィステリア アンサンブル

(女声17名)

 

 

藤岡先生、少し痩せられました?


一同 (笑)。


よく見てるな~(笑)。
声の均質性と美しさが印象に残っています。


課題曲のラッススは
美しさの中に切なさが感じられました。


自由曲の松下耕先生の「うたおり」は
説得力がありましたね。


サウンド、5度の感覚などが良かった!

 


《文吾の感想》

課題曲は「Ave」に喜びが存在し、
統一感ある声がクレッシェンドと共に
広がりのイメージが伝わってきました。
個人的に下降音形の巧さが印象に残っています。

「うたおり」の「薔薇」は
最初は訥々と歌っていたのが
フォルテになってから
ドン!と声と気持ちを前に出し。
「戦場」の「死骸は…」の前のハミングの美しさ。
しみじみ心に響きました。
改めてこの曲の良さを感じさせる演奏でした。



メール投票では


やっぱり清々しい演奏

…という感想がありました。


 

 

 

 

 

 



L'Aube des Temps
(ローブ・デ・タン)


(混声21名)

 

 


声が整っていましたね!


課題曲のラッスス、
前にも課題曲だった時があったんですけど、
高校1年生で自分が初めて全国へ出た時に
気を付けていたことを
菅野先生はちゃんとやって下さった!


基本に忠実と言うか、
おろそかにしない堅実な演奏でしたね。


自由曲含め、
過去のローブデタンさんの演奏の中では
一番良かった!


そう!
自由曲2曲目苦しい感じのヴァスクス。
そして3曲目、
ウカシェフスキーの解放感ったら!(笑)


溜めて溜めて…!みたいな(笑)



《文吾の感想》

自由曲は1曲目の静謐な雰囲気が良く。
ホモフォニックでのテノールのブレンドされたサウンド。
ダイナミクスではフォルテからピアニッシモへの落差。
そこかしこに「上手いな!」と思わせる丁寧さが。
最終曲では解放感と共にソプラノが輝いて。
今までのローブさんの演奏の中で一番良かったのは
私も同意します!



 

 

 

 

 



Serenitatis Ensemble

(混声21名)

 

 

課題曲は力強さがありました。


熱かったね!


自由曲は面白い曲選ぶな~と。


音響も面白く感じました。
ちょっと無い世界。


《文吾の感想》

課題曲、自由曲含め
非常に個々が生きた主体的な演奏でした。
湯浅譲二先生の自由曲は
コンクール以外でも今後生演奏で聴くことができるか?
…と思うほどの貴重な機会だったと思います。







 

 


マルベリー・チェンバークワイア


(混声19名)

 

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良かったです、好きです!


この課題曲G2を演奏した中では一番好きな演奏!


色っぽさがあったよね。


自分の思うプーランクの魅力って
「オシャレ感」なんですけど、
この演奏にはそれがありましたね。


あったあった! 
ちゃんとオシャレに聴かせる
テンポコントロールが絶妙でした。


自由曲の「Dies Irae」もカッコ良かったなー。


良い曲選びますよね!



《文吾の感想》

課題曲は座談会でも触れられていたように
良いテンポで良い流れを作られていました。
ピアニッシモの表情が特に繊細。
自由曲のルカーシュ「Dies Irae」は
リズムとメリハリがあり、
確かな発声で支えるフォルテッシモの見事さ。
2曲目の「Beerburrum」は
動物の鳴き声などが巧みに交じりスピード感あり
楽しく印象的な演奏でした。



メール投票では


関東大会から見事にランクアップした、王道のチェンバー「らしい」演奏です。

 

…という感想がありました。








《室内部門全体の感想》


楽しかったね!


合唱団それぞれの個性が出て、
コンサート的な楽しさがあるのが
この室内部門というカテゴリーかな、と。


あと、室内部門は毎回
「もっと小さいホールでやれば良いのに…」と
思ってたんですけど、
今回はそんな風に思うことは少なかったです。


ホールが良かったせいも…。
室内部門向きのホールなのかも?


「これがやりたいんだ!」というのが
一番伝わってくる部門かもしれない。


わかる。
伝わってくるからこそ、
ただ演奏を聴くだけじゃなく、
歌い手と聴き手のコミュニケーションが
感じられるような…。


だから個々の発信力が問われてしまうよね。


ひとりひとりが歌っているのが
実感できるのがすごい楽しくて!
ある団体のアルトの人なんて
「…私に向かって歌ってくれてる?!」


一同(笑)。


それ、前から5列目で聴いてたからじゃない?(笑)


聴いていて
「あの人の歌、いいな!」みたいなのは、
感じることが何回かありましたね。


全国大会まで来た団体だから
賞はどうでも良いというのは言い過ぎだけど、
「これをやりたいんだ、伝えたいんだ!」に
インスパイアされるところが嬉しいな。


私たちはこういう美学があるんだ!と。


こういうこと言っちゃあれだけど、
コンクールに限らず
どんなに上手くても伝わらない、
眠くなっちゃう演奏ってあるわけで・・・。


文吾 だから観客賞の意義が…(笑)。


そうですね(笑)。


今回は大学ユース、室内合唱部門、
両部門の観客賞1位が銀賞だったから。


珍しいよね。
今まで1位の団体は金賞ばかりだった。


伝えるという面で
それだけ技術が拮抗していたのかもしれない。


ホールの大きさや審査基準、
アンサンブルコンテストとの違いなど
いろいろ難しい問題はあるけど
これからも良い形で続いて欲しい部門ですね!



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(観客賞座談会・室内合唱部門おわり)