- 作者: 岩岡ヒサエ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/31
- メディア: コミック
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「Beth」連載時から読んでたんだけど、
単行本で通してみるとまた違った感動がありました。
ストーリーは簡単に書くと、
高校へ入学したばかりの田辺きみちゃんが
数人しかいない弱小合唱部へ入部し、
廃部をまぬがれるためにコンクール入賞を目指し
頑張っていく、というもの。
正直に書くと、雑誌で読んでいたときには
課題曲が「春に(地平線のかなたへ)」だったり
自由曲が「方舟」だったり。
合唱そのものへの掘り下げも浅いように思えて
「…ヌルいな・・・」と思ってたんだよね。
作者の岩岡ヒサエさんは大学で合唱をやっていたんだから
もうちょっとさあ、なんて。
でも、こうして単行本としてまとめて読むと
主人公の「合唱のはじめて」に「あるある」と頷いたり。
もちろん、その「はじめて」は良い感情ばかりじゃないけれど。
浅いんじゃなくって、
初めて合唱に出逢って経験することを、
大切に丁寧に描こうとしている、と感じてからは
一気に引き込まれました。
合唱に限らず、他者が受け取って成立するものは
客観的な視点や評価がとても大切。
コンクールだって、もちろんそんな評価のひとつだし、
そういう見方からすると、このマンガで描かれている弱小合唱部は
意味が無く、価値の無いものになってしまうんだけど。
でも、それと同じくらい重要なのは
隣り合う声を大事にする、という気持ち。
それは単なる自己満足じゃなくって、
隣にいる、その声を出す人たちを
大事にしたい、大切にしたい、
そういう気持ちに意味があるんだ、と気づかせてくれる作品です。
映画、ドラマ、小説、マンガで
合唱を題材にしたものは色々あったけど、
私の知る限り、ここまで真正面から合唱を取り上げて
経験者にも深く共感させる作品はこの
「オトノハコ」が初めてです。
合唱経験者は是非とも購入して読むべし!
あと、まだ合唱というものを知らない
小学生や中学生にも読ませたいなあー。
岩岡ヒサエさん、素敵な作品を本当にありがとう!
20年前高校生だったおっさんは最終話で涙ぐんでしまいました。