今回は凄いノンフィクション。
- 作者: 国分拓
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/03/20
- メディア: 単行本
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アマゾン奥地でほとんど現代文明と接触せずに
1万年前と同じ狩猟採集生活、共同生活で生きていく「ヤノマミ」族と
150日間生活したルポ。
これは・・・凄い本。
著者はNHKのディレクターだが、
帰国してからカメラマンとともに心身を壊す。
衝撃的なのは「天に送る」として
生まれたての健康な嬰児を母親が自らの手で殺める箇所だろう。
著者は
「ヤノマミを否定すれば心身も壊れることはなかったろう。
しかし、むしろ自分たちと同じなのではないかと思った」と語る。
著者が心身が壊れたのは不安だったけれども、
決して不快ではなかったとし、
ヤノマミとの生活で人間の持つ「何か」に触れ、肯定したのだと語る。
その「何か」とは
「人間は神の子でも生まれながらの善人でもなく、
暴力性と無垢さが同居するだけの生き物なのだ」だと。
ヤノマミの世界には、
「生と死」も、「聖と俗」も、「暴と愛」も、
何もかもが同居していた。
剥き出しのまま、ともに同居していた
(「終章 僕たちは去る」より)
深い森の空気をまとわりつかせながら
ヤノマミ族と対峙しているような感覚になります。
読後に文化とは、人間とは、と自問自答してしまう本。