夏休みに読んだ本 その2


今回は凄いノンフィクション。



ヤノマミ

ヤノマミ


アマゾン奥地でほとんど現代文明と接触せずに
1万年前と同じ狩猟採集生活、共同生活で生きていく「ヤノマミ」族と
150日間生活したルポ。


これは・・・凄い本。
著者はNHKのディレクターだが、
帰国してからカメラマンとともに心身を壊す。


衝撃的なのは「天に送る」として
生まれたての健康な嬰児を母親が自らの手で殺める箇所だろう。
著者は
「ヤノマミを否定すれば心身も壊れることはなかったろう。
しかし、むしろ自分たちと同じなのではないかと思った」と語る。



著者が心身が壊れたのは不安だったけれども、
決して不快ではなかったとし、
ヤノマミとの生活で人間の持つ「何か」に触れ、肯定したのだと語る。
その「何か」とは
「人間は神の子でも生まれながらの善人でもなく、
暴力性と無垢さが同居するだけの生き物なのだ」だと。

ヤノマミの世界には、
「生と死」も、「聖と俗」も、「暴と愛」も、
何もかもが同居していた。
剥き出しのまま、ともに同居していた



(「終章 僕たちは去る」より)

深い森の空気をまとわりつかせながら
ヤノマミ族と対峙しているような感覚になります。
読後に文化とは、人間とは、と自問自答してしまう本。