「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2011」(その7)

6.大阪府・関西支部代表
豊中混声合唱団
(混声69名・3年連続出場)



昨年は西宮開催ということもあってか
最大人数、そして委嘱初演と勢いのあった団体、
豊中混声合唱団。
課題曲G3の細やかな音楽と
新実徳英先生の意欲的な初演曲が印象的でした。


今年の課題曲はG4
自由曲:P.Łukaszewski
「Dwa motety wiekopostne(2つの受難モテット)」 から
「Memento mei,Domine」
(主よ、私を思い出してください)
「Crucem tuam adoramus,Domine」
(主よ、あなたの十字架を崇めます)


団員の山際さんからメッセージをいただいております。
各曲を選曲された理由を教えて欲しい、という問いには。

豊中混声という合唱団は、
長年取り組んできた高田作品をはじめ、
多くの優れた国内外の作品を演奏する中で、
楽曲の持つ高い精神性を表現することに
音楽の歓びを見出してきた合唱団だと感じています。


課題曲の松本望さん、
自由曲のウカシェフスキ氏の音楽は、
それぞれ谷川さんの詩、聖書のことばと
やや性格の異なるテキストを用いていますが、
ともに世界や人智を超越したものに対する
愛や祈りを内包した佳曲であり、
豊混が長い時間をかけて取り組みたい
と感じさせてくれる曲たちでした。


課題曲は本当に精緻かつ繊細な楽譜で、
みんな再現に四苦八苦しているのが実情です。。。
しかし、豊混でも度々取り上げる三善晃先生が
審査委員長だった頃の
上野の森コーラスパーク合唱作品コンクール
最優秀賞受賞作品でもあり、楽曲の魅力は絶大!
やわらかいいのちというテーマは、3月の震災をはじめ、
例年にもまして天災、人災に心を痛めるひとが
多かったように思う今年にこそ、
歌う意味がある曲ではないでしょうか。
やわらかく温かな音色で、この曲を歌えればと思います。


豊混でポーランドの作曲家というと、
古参のメンバーはペンデレッキを思い起こすのでしょうが、
今年の自由曲はウカシェフスキという
ポーランド人の曲にチャレンジします。
昨今ブレークしている作曲家であり、様々な合唱団で
演奏されていますのでご存知のかたも多いでしょう。
第一楽章は女声のややクラスターがかった導入部から
圧倒的なダイナミクスを求められるクライマックスまで、
一瞬も緊張感が途切れない曲です。
キリスト受難の瞬間を表現するにふさわしいテンション。
第二楽章はフレーズが非常に長い曲で、
全地上の喜びを祈るコーダまで滔々と音楽が流れていきます。
歌い手(特に高音の続くソプラノ、テナー)はしんどい曲ですが、
和声の移ろいの美しさから切実な祈りの表情が染み出てきます。
自由曲の約8分間、一瞬も気の抜けない状況で、
定期演奏会に取り上げた時点では、
特に発声面で課題が浮き彫りになっていました。
この曲たちとコンクールにチャレンジすることで、
大きなステップアップができればと考えています。


おお、自由曲がウカシェフスキ!
いいですよね〜。
私も最近の現代合唱作曲家の中では一番のお気に入りです。



この全国大会に対する意気込みや志がありましたら、という問いには

今年も全国大会の舞台に立てる喜びを
団員一同感じています。
東北の地で、歌を歌うということに
重大な意味があるように思う今年。
青森の地でも豊混らしく、「何かを伝えたい!」という
想いのこもった演奏をしたいと思います。

聴く人に伝えたいことがありましたら、という問いには

コンクールは競い合いの場でもありますが、
全国の合唱仲間が集う場でもあります。


昨年のかつてない二次会では幹事の大役をさせていただき、
有意義で楽しい時間をみんなで共有できたこと、
全国の合唱仲間の輪を広げることができたこと、
本当にうれしく思いました。


今年も歌好き、酒好きのメンバーで
お邪魔させていただきます。
幹事団体の皆様、ご苦労をおかけしますが、
本当に楽しみにしてますのでよろしくお願いします!!


山際さん、大変素晴らしく、
磨かれた文章、本当にありがとうございました!
そうそう、昨年は豊中混声が
「史上かつてない2次会」を開催して下さったんですよね。
準備も大変だったと思います。
豊中混声合唱団のおかげで、
素敵に楽しい時間を過ごすことができました。


豊中混声合唱団、写真も送っていただきました。




写真は、今年7月に開催しました、
第51回定期演奏会の写真です。
豊中少年少女合唱団との合同ステージで、
曲は、信長貴富先生に委嘱しました
『ゆずり葉の木の下で』という、
こどもとおとなのための合唱曲集です。
おとなはなにも持っていかず、こどもたちの手に
未来をゆずっていく、というとてもあたたかい曲でした。

豊中混声合唱団は、
このように少年少女合唱団との共演をよくされているんですよね。
写真からも伝わる「あたたかい」雰囲気。
どうか全国大会でも伝えて欲しいと思います。







関西の団体が続きます。次の団体は・・・








7.大阪府・関西支部代表
淀川混声合唱団
(混声80名・2年ぶりの出場)



80名とお江戸コラリアーずと並んで
最多人数の淀川混声合唱団。
(おえコラは働く男性が多いから
 当日はひょっとしたら淀混が最多?!)


大人数でも純度の高い声、
クリアな響きが特徴の合唱団です。


今年の課題曲はG3:父の唄(高嶋みどり曲)
私は中学・高校生の演奏でしか聴いたことがないので
淀川混声がどんな演奏なのか楽しみです。
そして自由曲はE.Whitacre
「Leonardo Dreams of His Flying Machine」
(レオナルドは空飛ぶマシンを夢見る)

ウィティカーのドラマティックな曲が
淀川混声でどう演奏されるか?


指揮者の伊東恵司さんから
メッセージをいただきました。

ウィティカーはサウンドが美しいので、
淀川混声の目指している
クリアなサウンド作りの方向性の中で
練習が出来ると思いました。
ファンタジーの世界、わくわくするような音楽にしたいです。


おお!美しいサウンドと「わくわく」する音楽!
大変楽しみですね。


聴く人に伝えたいことがありましたら、という質問には

毎回言うことですが、私個人としては、
21世紀になって10年もたったんだから、
旧来的な合唱コンクールとは違う枠組みで
価値観や世界観を分かち合い
エクスチェンジしていく方法を
考えなければいけないのではないか、
と思って方法論を模索しています。


(→コーラスめっせ
http://chorusmesse2010.cocolog-nifty.com/
(→アルティ声楽アンサンブルフェスティバル
http://www.yumemirusakananoabuku.jp/chorus/panf/alvef.html#2011
(→年末学生指導者合宿
http://www.yumemirusakananoabuku.jp/mutter/afternoon/an-1014.html



また、来てくださいね!!
かといってコンクールの存在を
否定しているわけではありません。
もちろん、今回もたくさんの方に見ていただける晴れ舞台で
思いっきりよく演奏出来たら幸せです。
でも、そろそろ合唱団ごとの優劣ではなく、
多様性に関心を広げ合唱人口の裾野を広げることと、
逆にアカデミズムというか合唱文化を
深化、発展させていく方向に
向かわねばならないように思いますね。


伊東さん、ありがとうございました!
2年前にいただいたメッセージと同じように、
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20091119/1258616031
合唱界の未来を見つめる貴重な提言だと思います。


日本の合唱文化を深化、発展させる方法を私も考えていきたいですね。
(来年こそはコーラスめっせやアルティ声楽アンサンブルへ
 行きたいなあ・・・)


淀川混声には応援メッセージが届いています。
亀山 史さんから

密かに応援しております。


・・・いや亀山さん、「密かに」、
じゃなくって堂々と応援して下さいよ!(笑)


淀川混声団員の林さんから写真を送っていただきました。
岡山大会の時の写真だそうです。





2年ぶりに聴くよどこんサウンド、楽しみにしています。
がんばってください!