観客賞バックステージ 混声合唱の部 その3

 

新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」

「スマホで全国大会の演奏を!」
ブレーンさんのアプリ「BRAVO Live」
アプリをダウンロードしたら、全国大会の演奏が30分後に聴けるという優れものです。

b-live.shop

会場にいなくてもネットで買えますし、CDプレーヤー、CDドライブ内蔵PCを持っていない人もスマホで聴けるのが嬉しいですね。


QRコード読み取ったら、一瞬でスマホで聴ける!
みなさんとりあえずアプリをダウンロードしておきましょう!!

 

高松の全国大会で試したら、本当にあっという間に聴けて衝撃でした……!

 

前回は観客賞の投票方法と(混声合唱部門は【3団体まで!】)CANTUS ANIMAEさん、パナソニック合唱団さん、混声合唱団Pangeさん、鶴岡土曜会混声合唱団さんをご紹介しました。

15:27から15:50まで休憩の後、混声合唱部門の後半、
最初の団体はこちらの団体です!

8.愛知県・中部支部代表
岡崎混声合唱団

https://okakon.sunnyday.jp/home/

https://twitter.com/okazakikonsei

(混声58名・2年連続出場・第57回大会以来16回目の出場
 岡崎高校コーラス部OB合唱団も含めると
 第49回大会以来18回目の出場)

母体は今年も全国大会へ出場された岡崎高校コーラス部という実力合唱団。
前回は声の明るさと良いテンポ感を持つ課題曲シューマンのG2と、信長先生への委嘱作品:混声合唱のための「Anthology」から選ばれた3曲が、岡崎混声さんの幅広い演奏力を示すものでした。

今回の演奏曲は
●課題曲
G3 水上(「三つの無伴奏混声合唱曲」から) 北原白秋 詩 柴田南雄 曲

●自由曲
混声合唱のための「三善晃合唱曲選」より
「トゥバラーマ」
「佐渡おけさ」
編曲:三善晃

八重山民謡と新潟県民謡の組み合わせ!
新潟の全国大会で聴ける「佐渡おけさ」はとても嬉しいですね。

ご当地ソングを自由曲に選ぶ団体は意外と記憶に無く。
7年前の名大グランツェさんが、鳥取全国大会で貝殻節を歌ったときくらいかな。

【鳥取県民の心を騒がせた演奏】

自由曲の2曲とも未聴なのですが。
編曲と言えども三善先生の作品ですから、いったいどんな音楽になっていることか、ワクワクしますね。
さらに佐渡おけさは「混声合唱、和太鼓(そり鈴)、ピアノのための」と添えられていることから、単純な編曲では無いことは間違いありません。

岡崎混声さんのポストにもあるように、ピアノと太鼓、そして幅広い表現力の合唱で、後半の混声合唱部門のはじまりを大きく盛り上げてくれることでしょう!


続いては同じ中部からこちらの団体です。

9.三重県・中部支部代表
Vocal Ensemble 《EST》

https://esthp1992.wixsite.com/vocal-ensemble-est

https://twitter.com/ensemble_est

(混声49名・2年ぶりの出場・第54大会以来15回目の出場)

前回はロッシーニの課題曲G2に熱いドラマがあり引き込まれ、自由曲のレーガー「O Tod,wie bitter bist du」はロマン派の様式を捉え、ESTさんの個性も発揮する演奏でした。

今回の演奏曲は
●課題曲
G2 Les fleurs et les arbres(「Deux choeurs」から) Camille Saint-Saëns 詩曲

●自由曲
立ちつくす ~混声合唱と2台のピアノのための~
作曲:土田豊貴

EST団員:Nodaさんからメッセージをいただきました。

皆さん、こんにちは。三重県津市で活動するヴォーカルアンサンブル《EST》です。全国大会は2021年度の岡山大会以来の出場になります。全国の合唱ファンの皆さんに聴いていただけること、各地区代表合唱団の素晴らしい演奏に触れ、交流できることに大きな喜びを感じています。今年は中部支部大会も表彰式も含めて通常開催となりました。実に4年ぶりのことです。私共《EST》もコロナ禍の3年間で一時は団員を半数ほどに減らし、充実した演奏が出来ない時期が続きましたが、新しい若い仲間達が少しずつ加わってくれ、ようやく人数でも演奏内容でも以前の状態に戻りつつあると感じています。今回の全国大会では新しい《EST》サウンドを感じて頂けたら幸いです。

<課題曲>G2
《EST》は創立以来、節目節目でフランスの合唱作品を取り上げてきました。オケゲムやジョスカンにはじまるフランドル楽派のたくさんの作品、印象派のフォーレ、ドヴュッシー、近現代のプーランク、ジョリヴェ、メシアンなどの作品です。ただロマン派のサン=サーンスと印象派のラヴェルの作品は取り上げてきませんでした。そこでG2にサン=サーンスが取り上げられたことを機に、この美しい小曲に取り組むこととしました。

<自由曲>「立ちつくす」~混声合唱と2台のピアノのための~
昨年9月に当団のピアニスト中村文保先生と名古屋を中心に活躍されているピアニスト北川美晃さんのデュオ・コンサートがあり、お二人のオール2台ピアノ作品の演奏を聴いて、団員一同たいへん感銘を受けました。そこで2023年度の活動のメインにお二人の2台ピアノが位置づけられないかと考えました。北川さんにお聞きしてみたところ、スケジュールも何とかなりそうとのこと、晴れて2023年度の定期演奏会とコンクールのコンセプトに2台ピアノが位置づけられることとなりました。11月5日の定期演奏会では三善晃先生の「唱歌の四季」と、混声合唱と2台のピアノのための「であい」を、そして今回のコンクールでは2019年にあい混声合唱団が委嘱初演した土田豊貴さん作曲の「立ちつくす」を2台のピアノ伴奏で演奏します。お二人のピアノ、本当にスゴいです。素晴らしいです。私達の合唱もそれに負けないよう頑張ろうと、決意を新たにしています。実はこの作品に取り上げられている長田弘の詩「立ちつくす」には、当団が委嘱初演した山下祐加さんの作品があり、たいへん思い入れのある詩なのです。病に倒れた家人の為に、荒野に立ちつくすかのようにただ祈るしかない主人公の明日への希望を、心を込めて歌いたいと思います。コンクールでは久々の日本語の曲です。私達の思いが少しでも皆さんに伝わればと祈りつつ。

Nodaさん、ありがとうございました。
書かれるように自由曲「立ちつくす」は2019年、あい混声合唱団さんの委嘱作品。

この作品では、祈ることへの疑念を抱きながらもなお祈り続け、“無限の真ん中に立ちつくす”様を樹に喩えられた人間の姿が、心の揺れや多様な表情を見せる2台ピアノと共に表現されます。

……とあい混団員さんが書かれるように、長田弘氏の壮大な詩世界を2台のピアノと合唱で表現し、聴く者を圧倒するほどの作品です。
なかなか再演がされなかったほどの凄い作品、委嘱されたあい混さんもさぞ嬉しいことでしょう。

ESTさんは久しぶりの日本語作品、同じ詩の山下祐加先生への委嘱曲もあるということから、気合いがこもった、深い作品理解に基づく演奏を期待しております。


続いては中国支部からこちらの伝統"ある"団体!


10.広島県・中国支部代表
合唱団ある

https://chor-aru.vercel.app/page/top

https://twitter.com/Chor_Aru

(混声68名・2年連続出場・第43回大会以来19回目の出場)

「ここ広島で存在感の”ある”合唱団になりたい」という夢から名付けられた合唱団あるさん。
前回、ジョスカンデプレの課題曲G1は作品の多様な要素をしっかり表わし、自由曲パーク「Caelos ascendit hodie」は難曲を良く整理され、ベッツ「Ave, maris stella」は演奏が説得力を持っていました。
温かな、独特な雰囲気を持つ団体です。

あるさん、今回の演奏曲は
●課題曲
G3 水上(「三つの無伴奏混声合唱曲」から) 北原白秋 詩 柴田南雄 曲

●自由曲
混声合唱とピアノ連弾のための「二つの祈りの音楽」より
「夜ノ祈リ」
作曲:松本望

「水上」はあるさんの本当に気持ちの良い演奏が聴けそう。

自由曲の「夜ノ祈リ」は宗左近の詩。
初演のCANTUS ANIMAEさんによると

戦いに苦しめられる縄文人の回想です。
曲の冒頭は夜の場面。
「今日ノ戦ハドンナ誰タチノ夢」、静かに不条理を訴えます。
次第に夜が明ける。
連弾ピアノと合唱が激しく掛け合います。
「殺サレタクナイ 殺シタクナイ」、けれど「神サマ 殺シアイヲ見スゴシテオイデダッタノデスネ」。
ついには「祈リトハ 神サマニ吼エルコトデス」。
想像を絶する祈りの世界です。

壮絶な内容のテキストと音楽、聴くたびに「祈りとは何か?」を考えさせる作品です。
最初にあるさんを「温かな雰囲気を持つ団体」と書きましたが、広島の合唱団ということから折に触れて「原爆小景」などで平和を訴えてきた団体でもあります。

10月末には作曲者の松本望先生からのレッスンもあったとか。

神へ吼えるほどの絶望の夜から発せられる、あるさんの「夜ノ祈リ」。
その祈りが希望に変わり、闇の中の煌めく星のように輝くことを願いつつ。


今回の記事最後は音楽性豊かな関東の団体!

11.埼玉県・関東支部代表
scatola di voce

http://www.scatola.jp/

https://twitter.com/scatola_di_voce

(混声31名・2年連続の出場・第67回大会から6回出場)
 
scatola di voceは、イタリア語で「声の箱」の意。
前回の演奏は課題曲「智慧の湖」は構成が良く考えられ、 実に知的なもの。
自由曲の信長貴富「春と修羅」から「II」はセンスに優れ、この名曲を名曲と思わせる演奏でした。

スカートラさん、今回の選曲は
●課題曲G4
G4 Ⅰ―空と涙について―(「恋の色彩」から) 古今和歌集より 田畠佑一 曲

●自由曲
Noche(夜)
作曲:Lorenzo Donati

Lux Aeterna(永遠の光)
作曲:Ily Matthew Maniano

課題曲G4は指揮者の森田悠介先生が「本当に素晴らしい作品ですっ」「大好きっ」と語られるだけに期待が持てますね。
続く「スカートラの演奏はだいぶ濃い色で作ってます」「好みの分かれる曲作りかな」の言葉に、「やっちゃってください!」との想いが湧き上がります(笑)。
あと、名ピアニスト:松元博志先生との協演も非常に楽しみ。

自由曲の「Noche(夜)」はイタリアの作曲家Lorenzo Donatiのインパクト抜群の作品。
広大な海原からの孤独な悲鳴、星々のこだまは助けてくれるのか?と最後までテンション高く16声で訴えます。

ly Matthew Manianoはフィリピンの作曲家で、「Lux Aeterna(永遠の光)」は、フィリピンマドリガルシンガーズがレパートリーにしている個人的に大好きな作品。
神秘的で声の温かみを生かし、さらにドラマチックな音楽が心に響きます。

課題曲と自由曲2曲、作曲家の国も曲想もまったく違う個性ある3曲ですが、スカートラさんなら見事に演奏してくれることでしょう。

 

(※次回、最終回へ続きます)