観客賞バックステージ 混声合唱の部 その2

 

 

新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」

 

今回は観客賞の投票について!

 

参加資格:
「大学ユース部門」「室内合唱部門」
「同声合唱部門」「混声合唱の部」、
それぞれ全団体を聴いていること。
(その部門の出演者は投票できません)


そして今年もLIVE配信が予定されていますので、配信で全団体を聴かれた方も投票できます!

 

投票方法は2つあります。
※生演奏を聴かれている方と、配信を聴かれている方ではハッシュタグが違うので注意!

 

1)X(旧:ツイッター)による投票

投票方法:ご自分のXアカウントで「混声合唱部門」なら
生演奏を聴いた方はハッシュタグ

#混声合唱23

を付けて


配信を聴いた方は

#混声合唱23H


を付けて

26日混声合唱の部終演(予定17:39)から
審査発表が始まる前の18:25までに良かった3団体を書いてポスト。
※できれば『終演後すぐ』に投票していただければ助かります!

※今年は『3団体』投票にします(混声部門だけ!)


その際、各団体の後に感想を書いていただけると、とてもとても嬉しいです。
1、2団体だけの投票でも結構ですよ。
4団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※昨年、ハッシュタグを間違えた方が何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので正確にお願いします!

 

ポスト投票の例(3団体): 

合唱団●● 壮麗な混声合唱のお手本!
▲▲ヴォイス 大人数でも繊細な表現が素晴らしかった
■■混声合唱団 作品の魅力がとても伝わってきました


#混声合唱23

 

Xアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった3団体とできれば感想を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間はXでの投票と同じです。
※できればメール投票にもハッシュタグを付けていただければありがたいです。

つまり


1)その部門の出演者じゃない全団体聴いた人が

2)3団体もしくは1、2団体を書いて

3)生で聴いた人はハッシュタグ #混声合唱23
  配信で聴いた人はハッシュタグ #混声合唱23H (←最後に【H】を付けるのを忘れずに!)

4)部門終了後すぐに投票

…してくださると、とってもありがたいです。

繰り返します、混声合唱部門 "だけ”今年は『3団体』投票にします。

たくさんのご投票をお待ちしています!

 

前回はCoro Ponteさん、混声合唱団うたうたいさん、MODOKIさんをご紹介しました。

続いては出場されると常に観客賞上位のこちらの団体!


4.東京都・東京支部代表
CANTUS ANIMAE

https://www.cantus-animae.net/

https://twitter.com/CANTUS_ANIMAE

(混声52名・2年ぶりの出場・第52回大会以来18回目の出場)

2年前の出場時、課題曲G2のロッシーニ「O salutaris Hostia」はイメージが明確で、気持ちのまま音楽の流れがあったと評判を呼び。
自由曲の信長貴富先生への委嘱曲「異界の門」は優れた表現力により宮沢賢治の異様な詩世界を現出させ、「圧巻」「映像が見えるよう」などの支持で観客賞第2位。

今回のCANTUS ANIMAE(以下、CA)さんの演奏曲は
●課題曲
G4 Ⅰ―空と涙について―(「恋の色彩」から) 古今和歌集より 田畠佑一 曲

●自由曲
「Sämann -種を蒔く人-」混声合唱とピアノのために
作曲:信長貴富


演奏曲についてはCAさんのホームページで団員さんが詳しく、かつ愛情に満ちた文章を書かれているので、ぜひリンクをお読みください。
(※私の2011年時の記事にも言及されております)

CAさんが演奏する課題曲はいつも「こう来たか~!」な印象。
それも奇をてらうものではなく、さまざまな視点から深く考え、歌い込まれた末の進化形。
新潟の全国大会でも多くの団体が演奏されるG4ですが、CAさんの「恋」の描き方、そしてピアニストの野間春美先生との協奏が楽しみですね。

自由曲の「Sämann -種を蒔く人-」は2011年男声合唱団のお江戸コラリアーずさんが委嘱されたものの混声編曲版。
非常に厳しい曲です。
作品中、気が緩む隙間は一切無く、災いのようにピアノ(自由曲は平林知子先生!)が合唱を打ちのめします。
それは、絶望から安易に希望を持つことを許さない信長先生の、自身への厳しさかと思うほど。
特にホームページでCA団員さんが書かれたように、「種を蒔くことは生産の神の遺体を葬ること、種蒔きの時は悲しみの時」という言葉が響きます。

2011年の記事でおえコラ団員:村田さんの

自宅でピアノで爪弾いてみたのですが、率直に言って、その音から感じたのは「絶望」あるいは「破滅」。
特に最後の「froh」(=喜び)のテキストに書かれていたfffで伸ばされる音は9声部のクラスターで、まさに「絶望」な音でした。
frohなのに!
ところがです。
初めて合唱でテキストをつけて音にしてみた時、そこには希望の光が確かに聴こえたのです。

村田さんのこの言葉は大変印象深く、その後どの団体が「Sämann」を演奏するときも、私は最後の「froh」に希望を探すようになりました。
「こういう音楽、メッセージを伝える作品なのだ!」と断言できるような作品ではありません。
しかし、私が「froh」に人間の声ならではの喜び、希望を探してしまうように、人間は「どんな困難の中でも希望を見出さずにいられない」、そんな心の在りようを考える作品と言えるかもしれません。
震災から12年経ち、今もコロナ禍、世界の争いと災いは止まることなく。
絶望から何を見出し、何を葬り、自分にとっての希望の種を蒔くのか。
「Sämann」はそんな問いを投げかける作品なのかも。


CAさんの問いが、聴く人の心へ、深く届くものでありますように。

 

続いて、職場合唱団から唯一参加の名門団体です!

 

5.大阪府・関西支部代表
パナソニック合唱団

https://mccchoir.jimdofree.com/

https://twitter.com/Panasonic_choir

(混声72名・5年ぶりの出場・第36回大会より29回の出場)

前回の出場時は課題曲G3「まいまい」を落ち着いたやわらかい響きで演奏され、自由曲のストゥループ「We Beheld Once Again the Stars」は音楽の切り替わりが鮮やかで、クライマックスのフォルテッシモは輝くようでした。

パナソニックさんの今回の演奏曲は
●課題曲
G3 水上(「三つの無伴奏混声合唱曲」から) 北原白秋 詩 柴田南雄 曲

●自由曲
混声合唱のための「ラプソディー・イン・チカマツ(近松門左衛門狂想)」 より
「2.貮の段」
作曲:千原英喜

「水上」はパナソニックさんの大人数を活かした、ゆったりとした余裕のある空気が味わえるかと。

自由曲の千原英喜先生が作曲された「ラプソディー・イン・チカマツ」は近松門左衛門の「辞世文」および「曾根崎心中」をはじめとする世話浄瑠璃などを基に、先生が創作されたものをテキストにした作品。
拍子木や鉦などの鳴り物や、前述の浄瑠璃に加え、歌舞伎などを思わせる掛け声。

大久保混声合唱団さんが衝撃的なこの作品を演奏されたのが、ちょうど20年前、2003年三重での全国大会。
その時のエピソードは当時、大久保混声合唱団団員だったぜんぱくさんが詳細に書かれています。

かなりの難曲ですが、パナソニックさんポストの写真を見るに、演奏にも演出にも、並々ならぬ気合いが入っているよう!

発表されて20年の節目の年、新しい「チカマツ」を見せていただけるでしょうか。

 

続いて、意欲的な委嘱作品の団体が登場!

6.高知県・四国支部代表
混声合唱団Pange

https://pange.sakura.ne.jp/cms/

https://twitter.com/Pange_Kochi

(混声33名・2年ぶりの出場・第61回大会以来5度目の出場)

ラテン語「Pange(歌え!)」の団名を持つPangeさん。
前回は室内部門へ出場され、課題曲G3「うたをうたうのはわすれても」は、明るく伸びやかで気持ちの良い流れ。
自由曲の千原英喜「おらしょ」から「II」は軽やかさも加え、表情付けも細やかな演奏でオリジナリティがありました。

Pangeさん今回の演奏曲は
●課題曲
G4 Ⅰ―空と涙について―(「恋の色彩」から) 古今和歌集より 田畠佑一 曲

●自由曲
混声合唱とピアノのための「あなたへの手紙」より
「V.だいせんじがけだらなよさ」
作曲:土田豊貴

課題曲G4はPangeさんならではの「恋の歌」が聴けそう。
そして自由曲の「だいせんじがけだらなよさ」? な、何語?!

こちらはPangeさんが2017年の第15回定演の為に、土田豊貴先生に委嘱された組曲の終曲ということ。
テキストは寺山修司氏の作品で、「だいせんじがけだらなよさ」を逆から読むと・・・「さよならだけが人生だ」。
五言絶句「勧酒」を作家:井伏鱒二が意訳し、さらに寺山修司の「幸福が遠すぎたら」という詩を基にしているのでしょうか。

4月に高松で聴いた、四国の合唱団による「Palette -四国合唱遍路道-ジョイントコンサート」でも、Pangeさんの演奏される信長貴富「新しい歌」は、自分たちの歌だ!とばかりに楽しく訴える素敵な演奏でした。
指揮の坂本雅代先生が中学・高校の2部門で指揮をされた高松全国大会でも、土田豊貴先生の作品は大変な人気で、学生の歌心をしっかり掴まえた作品ばかり。

今回のPangeさんの委嘱作品、坂本先生からは「何としてもこの曲を全国で皆さんにお披露目したかった」とのこと。
熱い想いで、Pangeさんのまさに「自分たちの歌」を聴かせていただけるに違いありません。

 

今回最後の団体は、楽曲の本質を伝えてくれる団体!


7.山形県・東北支部代表
鶴岡土曜会混声合唱団

https://twitter.com/TsuruokaDoyokai

(混声70名・4年ぶりの出場・第50回大会以来14回目の出場)

4年前の出場時は課題曲にG1(ヴィクトリア)を選ばれ、仲間と紡いだことが伝わる温かい音、美しいサウンドなどの感想があり、自由曲の三善晃「渇き」は思い入れ深く丁寧に歌われた言葉ひとつずつから、言葉の向こうにある世界までをも感じ。
作品の個性を大事にし、誠実に伝えてもらえる団体という印象です。
https://bungo618.hatenablog.com/entry/2020/09/29/091108

ちなみに全国大会の次の週、12月2日の土曜日に演奏会だとか!

 

鶴岡土曜会さん、今回の演奏曲は
●課題曲
G1 Wenn mein Stündlein vorhanden ist(「Psalmen und Christliche Gesäng」から) Hans Leo Hassler 曲

●自由曲
混声合唱曲「嫁ぐ娘に」より
「3.戦いの日日」
作曲:三善晃


G1はフレーズやコラールに土曜会さん、指揮者の柿崎泰裕先生らしく究めた演奏が聴けるのではと期待。

自由曲には少し驚きました。
というのはコンクールで「嫁ぐ娘に」を演奏された団体は過去いくつも思い出せるものの、「戦いの日日」単独の団体は思い当たらなかったのです。
銃後に残され苦しむ母と子を歌う中、途中に兵士となった夫の優しい言葉とメロディはありますが、「いつまでも夜明けはこなかった」で終わるのは救いが無い。
したがって、娘を花嫁として送り出す平和の象徴のような「かどで」を共に選曲される団体ばかりの印象なんです。

詩人の高田敏子さんは、結婚してすぐに向かった昭和9年のハルピンで満州事変に遭い。
台湾の高雄に移ったときは夫が徴兵され、太平洋戦争の終わる数年前にはお子さん3人と台湾の地方都市へ疎開と、日本以外の地で二度も戦争を体験されている方。
さらに天津では看護師として、戦線から送られた兵士の看病をした体験もあるそうです。
「未来が無いんですね。戦争というのは恐ろしい」……高田敏子さんの言葉。

勝手な想像を働かせるのですが、土曜会さんは戦禍が各地で起こる現在の状況で、「かどで」を歌い観客を安らかな心へ導き、結果「戦いの日日」の印象が薄れてしまうのを避けたのでは。
悲惨な戦争の状況をそのまま訴える、1曲に集中することへ賭けたのではと。

想いを込めた言葉と音のひとつひとつ、そして課題曲、自由曲、1曲ずつ。
「戦いの日日」という作品がどんなに深いものを持っているか、土曜会さんの演奏で気づく自分がいるかもしれません。


(※次回へ続きます)