読者の方にこの「あれやこれや:出張版」を
毎年プリントアウトされている奇特な…いや、
大変ありがたい方がいらっしゃるのですが。
その方からメールが届きました。
今、ここまでの「あれやこれや出張版」
プリントアウトしてみました。
すでに・・・84ページです!!
昨年は全部で81だったか82ページでしたよね。
これから、まだまだ個性豊かな団体が
いくつも残っていることを考えると
今年はずっしり重くなりそうですね。
本当にお疲れ様です。
・・・うひー。
そうなんです、今日の3団体も含めて
あと7団体あるんですが
超弩級の長さの団体が2団体あるため
全部終わるとおそらく100ページを越えるのでは・・・。
全国大会の公式プログラムがおよそ50ページなので
この「あれやこれや:出張版」を両面印刷すれば
ほぼ同じページ数となります。
Web文通相手様は
「あちら様の分はぜひ、
コピーを大量に作ってプログラムに挟み込んでください」
…などと書かれていますが、
既に挟める状態じゃないよ!
むしろ公式プログラムを挟む状態に(笑)。
まあ、今日も楽しく書いていきますので
がんばって読んでくだサイ!
さて一般部門Bグループ、
8番目の鶴岡土曜会混声合唱団の演奏終了後
19分の休憩があり、
15:30からちょっとお久しぶりの団体の登場です。
9.東京支部代表
CANTUS ANIMAE
(混声43名・3年ぶりの出場)
AグループからBグループへ部門を変えてから
初の全国大会です。
おめでとうございます!
団員の谷さんからメッセージをいただきました。
今回CAは、課題曲として
G2:ハイドンの「Der Augenblick(瞬間)」を、
自由曲として三善晃『五つの童画』より
「やじろべえ」「どんぐりのコマ」を歌います。
これらの曲は、当初コンクールでと
予定されていた曲ではなかったのですが、
3月の震災のあと、今こそ絶望から希望へ、
闇から光へと向かう『五つの童画』を
青森で歌うべきではないのかと、雨森先生からの提案があり、
このような選曲となりました。
CAにとっては既に数回演奏したことのある『五つの童画』ですが、
練習の度にこの曲の魅力を改めて感じ、
また意味の深さを考えています。
都大会直前まで、詩の意味やニュアンスを話し合い、
団員で音楽を共有し合い、それまでとは全く違った音楽になりました。
全国大会では、舞台上で何をするかわからない雨森先生と、
その瞬間の音楽を心から楽しんでいる団員とで、
また新しいCAの童画をお届けできるのではないかと思います。
Der Augenblickは実は最初はさほど熱をもって
取り組み始めた曲ではなかったのですが、
ハイドンのピアノ曲を皆で聴いたり、
他の合唱作品を歌ったりして楽曲への理解を深め、
そして歌うほどにこの曲の魅力を知っていきました。
古典派音楽という固定概念に囚われずに
音と言葉がもつ表現と向き合い、
ドイツ語の発音や発語にも拘った、
私たちだけのDer Augenblickを聴いて頂けたら嬉しいです。
CAの課題曲G2については
Aグループのharmonia ensembleでも紹介した
東京都大会を審査された礒山雅先生が
そのブログ「I教授の談話室」にて
東京都合唱コンクール〜男女の対決― と題された記事で
「私の解説を数段超えたもので、
曲のもっている可能性をすべて表現した、
と思えるほどの完成度の高さ」と賞賛されています。
東京都大会を聴かれた人の感想では
すごいG2を聴いた。
The「Haydn」ではなく
CAの血の通った曲になってる。
…とこれまた絶賛。期待が持てますね。
さて、CAが演奏する「五つの童画」と聞いて
この時の演奏を思い出さずにはいられません。
震災直後、3月13日に東京で行われた
CANTUS ANIMAEとMODOKIのジョイントコンサート。
私も聴きに行きましたが、最終ステージ、
合同で演奏されたのがこの「五つの童画」でした。
当ブログでその時の感想を記しています。
MODOKI X CANTUS ANIMAE joint concert in Tokyo感想 最終回
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20110420/1303301638
この曲のライナーノーツに三善先生が書かれた一節。
どの詩にも破滅や絶望、失意の相をもたらしたと思いますが、
私は、それらを胎生の糧としない愛を信ずることができません
前4曲で描かれた破滅、絶望、失意を糧とした上で生まれた、
愛という切なる想いがこの「どんぐりのコマ」に満ち溢れていた。
今こそ絶望から希望へ、
闇から光へと向かう『五つの童画』を
青森で歌うべきではないのか
…と語られた雨森先生の言葉と重なりますね。
続いて、CAについての谷さんのメッセージです。
最後にCAという団自体に触れさせて頂きますと、
私はまだ入団して2年にならない若輩ですが、
最初に練習見学に行ったときの印象は、
和気藹々としていて
練習後には必ずある飲み会を楽しみにしているような
実に普通な感じの人たちの集まりなのに、
本当に真摯に熱心に音楽と向き合っているなあ、というものでした。
雨森先生を舞台上でご覧になった方は
「熱い人だ」と思われるかもしれませんが、
練習中もずっとあのまま、熱い人です!
毎週の練習は、三時間立ちっぱなしのぶっ通しで、
発声もせずパート練もなく、ひたすら先生と団員とで
「アンサンブル」をそして
「音楽」をする(ことを目標としている!)時間です。
平日の夜で忙しい中、
少しでも練習に参加しようと皆集まってくるのは、
義務感だけでなくとにかく一緒に歌うのが楽しいから。
そう思っています。
ここまで長々と書いておいて実は私自身は都大会の直後から
ウィーンに留学をしておりまして、
残念ながら全国大会には参加できないのですが、
CAの団員の一人として、また合唱の世界で生きるものとして、
この全国大会でのCAの演奏を、
また縁あるたくさんの
素晴らしい団の演奏を心より楽しみにしています!
谷さんありがとうございました!
ウィーンから届いた紹介文というのはさすがに初めてです。
そして写真も送っていただきました。
「やるぞ!」という意気込みが感じられますね!
東京都大会を聴いた人の感想では
どんぐりはすごかった。
これをもう一度青森で聴けるのは幸せ。
という感想もありました。
CANTUS ANIMAE、
雨森先生と培った音楽がこの青森の舞台で輝きますように。
そして絶望から希望へ、
闇から光へと移る自由曲の2曲が、
どうか聴く人の心へ残るものとなりますように。
10.三重県・中部支部代表
ヴォーカルアンサンブル《EST》
(混声45名・5年連続出場)
シード団体のEST。
ゆるぎない実力の合唱団です。
「強靭」とでも記したい力強い声と響き。
そしてその表現力。
海外のコンクールヘ積極的に出場し、
優秀な成績を収められるのも頷けます。
今年の課題曲はG1
自由曲はE.Whitacre
「Nox Aurumque」
「Animal Crackers vol.2」より
「The Canary」「The Eel」「The Kanagaroo」
EST代表の野田さんに今年もメッセージをいただきました。
このメッセージ、野田さんに頼もうとしたら
団紹介の文章は
「そろそろ来そうだな」と思っていたので、用意してありました。
・・・さすが!(笑)
課題曲は例年通り合唱の原点ルネサンス作品を選択しました。
Bグループの大人数で、1パート数名のような
すっきりしたサウンドが創れるかどうか挑戦です。
自由曲は2年間続いた鈴木輝昭作品から離れて、
原点に返りエリック・ウィテカー作品です。
私達がウィテカー作品に初めて出会ったのは、
《EST》が初めて参加した海外コンクールである
2001年6月のドイツ・マルクトオーバードルフでの
第7回国際室内合唱コンクールの時でした。
アメリカから参加したポートランド州立大学室内合唱団が
演奏したWater Nightを聴き、良い曲だなと思ったのが最初です。
そして帰国後、前年2000年7〜8月に
スペインで開催されたワールド・ユース・クワイヤの
コンサート実況録音CDのWater Nightを聴いて、
この曲をいつか演奏したいと強く思ったのでした。
そして実際に演奏したのは2003年11月の
《EST》第11回コンサートと第56回全日本合唱コンクールでした。
この年の全日本で金賞1位をいただいたことが、
ウィテカー作品が日本に広まるきっかけになったと思います。
Water Nightは 2006年に参加した
イタリア・アレッツォでの
第54回国際ポリフォニック・コンテストでも演奏しました。
さて今年の作品Nox Aurumque(2009年作曲)は、
2001年出版のLux Aurumque とペアになる曲ですが、
楽譜が出版されて日が浅く、まだ日本で演奏されていないと思います。
(しかし何と全国大会で岡崎混声合唱団さんが同じ曲を演奏します。
しかも2団体が連続です。)
今年は6月にエリック・ウィテカー本人が来日し、
彼に直接指導を受けるという幸運に恵まれました。
その経験を生かしウィテカー作品の
新しい一面を表現できればと思います。
Nox Aurumqueはウィテカーが2003年に初演した
ミュージカル「失楽園〜翼と影」を元にしています。
言うまでもなくミルトンの「失楽園」に
インスピレーションを得た作品でしょう。
Lux Aurumqueはこのミュージカルの 中で
天使達の合唱として歌われた曲ですが、
Nox Aurumqueはミュージカルの内容を踏まえて
新たに作曲されたものです。
ミュージカルの物語は光の天使たちが闇の勢力と闘うため、
自分の子どもたちを高い壁で守られた基地に残して
出発するところから始まります。
天使達は必ず翼を持って帰ってくることを約束しますが、
17年たっても彼らは帰ってきません。
子どもたちは基地で成長し、闇の勢力との戦闘に備えて
毎日トレーニングを欠かさない日々です。
主人公のエクスタシスは壁で守られた生活に疑問を持ち、
壁の外にこそ希望と真実があると信じ、
その壁を乗り越えて外へ翼を捜しにいこうとしますが・・・。
2曲目の「Animal Crackers vol.2」は英語の言葉遊びの歌です。
詩のおもしろさをどれだけ表現できるかがポイントです。
ご期待下さい。(ちなみにvol.1は岡崎混声さんが演奏します。)
そうですね、ウィテカー作品が日本に広まったのは
確かにESTの演奏がきっかけかもしれません。
あの「Water Night」は非常に印象的でしたから。
そして「Nox Aurumque」は次に出場する
岡崎混声合唱団とかぶっているんですね!
しかも「Animal Crackers」という曲集まで同じとは!
これらの曲は10月末、
京都での国民文化祭「合唱の祭典」で聴くことができ、
「Animal Crackers vol.2」は表現力が高いESTだけあって
コミカルな演出がハマっていました。
詳しく書いてしまうと、全国での楽しみを奪うのですが…。
どうしよう。
お、恰好な応援メッセージが!
F.K.さんからの応援メッセージです。
課題曲:G1
指揮者なしでも歌えるぐらいの勢い・輝きを感じたいんです。
「Nox Aurumque」 痛みのある音楽となりますよう祈ります。
「Animal Crackers vol.2」
1)何度も何度も同じ音型で歌ってくる
カナリアちゃんのうっとおしさったら、もう。
2)ウナギの気持ち悪さ襲来、うわぁ、オエッ!
3)そんなことしているカンガルー野郎、
ブーメランで狩られて、料理されちゃうぜぃ。
こんな感じの3曲の総合表現を期待しております。
『本当の音楽をしていれば、絶対に報われないことはない。』
(小澤征爾)
総合表現!なるほど、ESTにふさわしい言葉かもしれません。
次に東北への想いがこもった野田さんのメッセージを。
今年は10年ぶりに東北で開催される大会です。
私達が初めて全国大会に出場したのが
前回の2001年福島大会でしたから、
初出場から全支部を一回りしたのですね。
とりわけ今年は東北の大震災を受けての大会です。
実は私ども《EST》は3月6日に
福島県郡山市の郡山市民文化センターのステージ上にいました。
郡山市主催「音楽都市郡山全国合唱祭」に
招待していただいたのです。
そして現地スタッフの方々の至れり尽くせりの運営と
福島の暖かい聴衆の皆さんのおかげで、
大変素晴らしい体験をさせていただきました。
その5日後にあんな大震災・原発事故が起きようとは
夢想だにしませんでした。
郡山の市民文化センターも使用不能になったと聞いています。
大震災以来私達は、
福島をはじめ東北の皆さんにお返しできることはないのか、
「歌うこと」を通して私達に何かできることはないのか
模索し続けてきました。
今回の全国大会が単に技量を競い合う場だけでなく、
合唱王国東北へ全国から
連帯のエールを送る場になればと思っています。
野田さん、ありがとうございました!
応援メッセージは続けて
合唱大好き岡崎オヤジさんから
私のブログにESTの代表さんが
立ち寄ってくださったことをきっかけに
先日定期演奏会に伺わせていただきました。
私はどちらかというと一般部門より
中学校・高校部門の合唱を鑑賞して来ましたが、
この日のESTの演奏は素晴らしいもので
涙が出るほど感動しました。
私は行けませんが青森でも
会場を感動の渦に巻き込んで
東北の方々を元気付けてください。応援してます!
合唱大好き岡崎オヤジさん、
そのメッセージはきっとESTの力に、
そして会場にいる人たちへ届くと思いますよ!
野田さんからは写真も送っていただきました。
一昨年から取り組んでおりました
「鈴木輝昭混声合唱作品集」の録音が今年9月に終了し、
近いうちに発売される予定ですが、
録音終了後、鈴木先生と一緒に撮った写真を送ります。
野田さん、改めてありがとうございました!
ESTの力強い歌声が
縁深い東北の地へのエールとなることを私も願っております。
11.愛知県・中部支部代表
岡崎混声合唱団
(混声72名・8年連続出場)
名門岡崎高校コーラス部の近藤恵子先生率いる岡崎混声。
その輝かしい声と練習をかなり積んだと思われる演奏で
上位入賞が多い実力団体です。
今年の課題曲はG4「やわらかいいのち」。
そして自由曲はE.Whitacre
「Nox Aurumque」
「Animal Crackers vol.1」より
「 The Panther」「The Cow」「The Firefly」
ESTの野田さんも触れられていましたが
同じ中部代表で自由曲が同じ作曲家!
しかも1曲は全く同じ!
さらに連続出場!
・・・こんなことがあるんですねえ。
あ。同じ曲集「Animal Crackers」とはいえ
ESTは「カナリア」「うなぎ」「カンガルー」ですが
岡崎混声は「黒ヒョウ」「雌牛」「蛍」なので
それぞれの表現の違いが楽しみですね!