合唱団お江戸コラリアーず第11回演奏会「お江戸の新世界」感想1

2012年8月12日(日) 13時15分開場 14時開演



昨日の杉並公会堂より遥かに客が入っている印象の文京シビック


70人ほど?のおえコラ団員が登場。
1stageは「ドイツロマン派作品集」と題した
メンデルスゾーン、レーガー、シュトラウスシューマンの作品を集めたステージ。


爽やかで明るく若い男声がいっぱいに広がる!


・・・が、今ひとつその音楽にノレない。
推進力が無いというか団員さんも
「どう歌ったらいいか」悩んでいるような。


別におえコラの演奏に限ったことではないけれど
「それっぽく」聴こえるということは大事で、
そして難しいことなのだなあ、と最近思うようになって。


凄く練習を積んでいるようだけどルネサンスポリフォニーに聴こえない、
日本民謡に聴こえない、ポップス(の編曲)に聴こえない、という例は
いくらでもあるわけで。


様式感、発声、言葉、リズム、アクセント等々…とか簡単に書いちゃうけど
それらを取捨て選択、優先順位を決めて、合唱団が演奏するということ。
指揮者もその曲の「それっぽく」聴こえるエッセンスを
抽出できるセンスが必要なんだよなあ。
それって実はとても難しいことなんだよねえ。


最終曲のシューマン「空論を吐く大酒飲み」がソリスト、音楽の変化、
リズムが楽しい曲でした!




2stage 信長貴富
無伴奏男声合唱曲集「じゆびれえしょん」


今年の1月に信州大グリーで初演されたばかりの
山村暮鳥の詩に作曲された7作品の曲集。


このステージは良かったなあ!
個人的にはこの演奏会で一番のステージだったと思います。
あのアクシデントさえ無ければねえ・・・。



1曲目の「雪景」でのサウンドスケープ的な言葉がさまざまに響く面白さや
2曲目の「貧賤抄」では言葉を転がすようなアレグロ。
さまざまな形で合唱での言葉の魅力を伝えてくれたと思ったら
3曲目の「春」からフレーズの美しさを表出し始め
4曲目「光明頌栄」では[蛆虫]という下等な存在を肯定する
荘厳で力強い応援歌としてのメッセージが伝わり。
5曲目「独唱」6曲目「りんごよ」の信長節。
そして最終曲の「じゆびれえしよん」では
(「jubilation」=英語で「歓喜」の意味だそう)
ソリストも多用した東洋的な妖しい世界。
2,4曲目でキリスト教を信仰するような詩だったのに
最終曲でそれを嗤うような詩を使っているのが
信長さんのセンスだなあ、と(笑)。


ダンスのような合唱伴奏に乗せて歌うソリストさんたちは
もっと芝居気があっても良い気がしましたが
(昨日CAでも歌っていたOさんがその点では一番良かった)
ある意味「カウボーイ・ポップ」のような最終曲はとにかく楽しかった!


最初におえコラの発声は「爽やかで明るく若い男声」って書いたけど、
例えば速いテンポから一転、長三和音のロングトーン
そのおえコラの声が広がると「おぉっ!」と感じるほどの魅力がある。


声だけではなく、作品へ共感して伸びやかに歌わせながらも、
聴かせどころの要所はちゃんと締めていた
指揮者:山脇さんのセンスも良かったと思います。


言葉、そしてそれを合唱で表現するということ、
歌の力強さ、面白さ・・・さまざまな魅力が存在するこの曲集を
おえコラは充分に伝えてくれていました。
うん、良いステージでした!



(続きます)