Nコン高校の部を視聴しました

 

 


第89回NHK全国学校音楽コンクール 全国コンクール(通称:Nコン)高校の部を視聴しました。

 

Nコンを最初から最後まで集中して観るのはかなり久しぶり。
いろいろ気付いたことや感想などを。

 

 


●マスクがずれない工夫

 

3年振りの有観客での開催。
間隔を空け、25人以下での出場。
さらに不織布マスク着用となかなか厳しい条件。
演奏時のマスク着用には様々な意見がありますが、それは一旦置いて。
気になったのは「マスクがズレたときの修正」でした。
演奏中に、しきりにズレたマスクを直す学生さんたち。
聴く側も演奏する側も集中しにくそう。

 

何か良い方法は無いものか・・・こんな工夫が目にとまりました。

 

加藤良一さんという方が発行されている「おんがく広場」の第191号。
そこに「マスクがずれない工夫」としてこんな方法が。

 

 

 

 

 

 

https://www.facebook.com/photo/?fbid=5672121672876967&set=a.111355925620264


なるほど!

 

○平面型では無く、立体型のマスクを使用

 

○絆創膏の接着面を表にし、輪にしてマスク内側中央の鼻に当たる部分に貼る

 

両面テープより、絆創膏は肌に優しく良いですね。
是非とも試してみて欲しいと思います。
転載をご承諾下さった加藤さん、ありがとうございました。

 

 

 

 


●演奏の感想について

 

どの団体も素晴らしく、最初の会津高の課題曲から目に滲むものが。
全11校を聴いた感想としては。
ひと昔前の演奏より、良く言えばスタイリッシュ。
人数を25人以下に制限しているためも理由でしょうが、あまり個性というか、発声の多様性が少なくなった気もしました。
(あれっ、宮崎学園こんな演奏だったっけ?と思ったら、有川サチ子先生がご勇退されていたのですね。課題曲もデリケートで今までの印象とは違いましたが、とても良かったです)
三宅悠太先生の作品のような、繊細な響きを求めている作品には向いているスタイルなんでしょうね。

 

今年のブロックコンクールの音源がすべてNコン on the Webで公開されているそうです。

 

 

パナムジカさんによる全出場団体の演奏曲目。

 

 

 

 


●課題曲「無音が聴こえる」と札幌北高

 

 

住野よるさんが作詞、松本望先生が作曲された今年の課題曲「無音が聴こえる」。
コロナ禍に苦しむ高校生たちへ、いま過ごす日々も決して空しくは無いと慰撫し、前向きに生きる個々人の意志を後押しするようなテキスト。
その言葉をさらに引き出す琴線に触れるフレーズと響き、心の動きと同期するよう精妙に揺れ動くテンポの音楽。
これは良い曲だな~と大会前から思っていたのですが、実際に高校生が自分たちの歌として演奏すると、作品の魅力が心の奥底まで伝わるようで、何度も目が滲むことに。

 

作曲家:松本望先生は札幌北高出身。
在籍時には合唱部でピアノも弾かれていたとか。

 

そして今年度・北海道支部代表の札幌北高はなんと17年振りの全国出場!
その年の課題曲作曲家の母校が、全国大会へ出場するなんてことは今まであったかな?!

 

さすがに審査に影響があると考えられたのか、松本先生と札幌北高の関係は番組中では触れず。
松本先生が感想を求められたのも、最初の4校が終わった時点で、その中には札幌北高は含まれていませんでした。

 

その札幌北高の演奏、素晴らしかったんです。
実は札幌北高の指揮の先生は、私が札幌在住時からの古くからの知人。
ピアニストさんもおそらく協演していただいたことがあったのでは……。
そういう知り合いが演奏に関わっているというのを除いても、爽やかで等身大な優れた演奏。
音楽の流れを掴み、課題曲を本当に自分たちの曲として歌っているのがとても響いて、また視界がぼやけてしまい。
自由曲も信長貴富「ねがい」からエルガー「永遠の光」というメッセージ性を強く感じさせる選曲とあたたかさが伝わる演奏で、これもまた格別に深いものを残しました。

 

もちろん作曲家によるとは思うんですが。
自分の作品を学生さんが半年以上、精魂込めた演奏をずっと聴くという体験はどんな気持ちになるものなんでしょう。
自己肯定感にとても影響しそうな気もしますが。
作品が自分から離れていく感覚、という話を作曲家から聞いたことも。

 

 

 

 

●審査結果発表から

 

審査発表を待つ間、一心に手を組み祈る女子生徒たち。
Nコンに限らずコンクールのこういう審査発表を待つ時間は正直イヤですねぇ。
もちろん審査の結果で自分は演奏を聴いているわけだから矛盾を抱えているんだけど。
全団体良かった終了!でいいじゃんっていつも思います。

 

審査結果も重要だけど、それだけじゃないよ!と言いたいがために自分はコンクールに関わっている気もします。
前述の札幌北高も優良賞でしたが、だからと言って演奏の価値が低かったのではもちろん無く。
他の優良賞の学校も、自分たちの演奏を褒めてあげて!と強く言いたい。
活動が限定された学生という立場の難しさもあるし、年月と経験による視点の多様性を備えるしか方法はないんですけど、どうかコンクールの結果に囚われ過ぎないことを願ってます。

 


松本望先生のツイート。

 

続くツイートには

 

「参加した高校生達には、10代後半位の全ての刺激を一番ビビットに感じれる年代に、なるべく多くの素晴らしい音楽作品、芸術作品に触れてそれを今後の生きる糧としてほしい💡」

 

 

とても良いコメントだと思います。
審査結果も限定的なひとつの価値観、いま歌っている曲も膨大な合唱作品、音楽作品のほんの一部に過ぎない。
この全国大会という貴重な体験を胸に、高校生たちはまた新たな世界へ踏み出して欲しいと思います。

 


それにしても「無音が聴こえる」のおかげで、非常に印象深いコンクールとなりました。
札幌北高の演奏をもう一度聴きたいし、他にも聴き直したい演奏がいくつも。
全国大会のCDは発売するそうなので、十数年ぶりに購入したいと思います!