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大分市民合唱団ウイステリア・コール第61回演奏会感想 その1


2013年6月15日 
駅から歩いて10分ほどのグランシアタホールは
iichiko総合文化センター内にある。


初めて訪れたホールはステージの天井が高く、
アメリカンチェリー色の内装、オペラレッドの座席は
重厚な雰囲気でありながら温かみも感じさせるホール。


大分市民合唱団ウイステリア・コール第61回演奏会」
開演18時半。
3階席まであるホールの1階後方に座る。
1階はお子さん、制服の女子中学生から(団員さんの教え子かな?)
お年を召した方まで幅広い年代層で賑わう。


ウイステリアの団員数は女声29人、男声17人(プログラムによる人数)


最初の曲は飯倉貞子先生による
今年度全日本合唱コンクール課題曲(G1)
O magnum mysterium(Tomás Luis de Victoria)


純な響きの女声が高い天井へ吸い込まれるように立ち昇る!
他パートも入ると、優しく、ふくよかな声の印象が増してくる。
豊潤な、美しいその響き。


「・・・?」


その豊かな響きに違和感と言ったら失礼か、
今までのウイステリアの印象とは異なった感想を抱いた。


今まで大分市民合唱団ウイステリア・コールの響き、演奏の印象は
どちらかと言うと線が細めで、やや物足りないものだったのだけど
この響きの深いグランシアタホールだと
非常に豊かで、隙間を感じさせない演奏に聴こえる。


もちろん以前の印象の、線が細め、すなわち少し引いたその表現が
楽曲本来の姿を浮き上がらせていたのも確かだったのだが。


純朴、純粋な響きはそのままに
のびやかに深く、各パートの間に隙間が生まれることなく
緻密で豊かな響きと表現が客席までしっかりと伝わってくる。


グランシアタ、これは良いホールだ!
このホールに慣れていない合唱団だと
戸惑ってしまうほどの深い響きだが
グランシアタをホームとしているウイステリアは
見事にホールを味方に付け、
説得力を生む演奏を成している。


なるほど、これが現地で聴くということなのかもな…と感心していると
猿渡健司さんへ指揮が代わり、ヤイロ(Ola Gjeilo)の
「SERENITY」「THE GROUND」の2曲。
最初の曲は丸尾和子さんという若いヴァイオリニストとの協演。
ヴォカリーズのように「O magnum mysterium」の言葉が
音節ごとに控えめに伸ばされ、
それを背景にヴァイオリンの旋律が美しく絡んでいく。
緊張感が張り詰める中、合唱が前に出て切なくも優しい旋律。
そしてふたたびヴォカリーズを背にヴァイオリンの響き・・・。


長く伸ばされたヴァイオリンの最後の音をつなぐように
アタッカでピアノの前奏が始まる。
「THE GROUND」の始まりだ。
壮大、かつ心惹かれるその音楽を楽しんでいると気づいたことが。
この2曲、ヴァイオリン、ピアノ、それぞれの楽器は決して「伴奏」ではなく
音量のバランスでも音色でも合唱と「協演」している。




第2ステージは今年生誕100年になるブリテン(Benjamin Britten)による
「Five flower songs(5つの花の歌)」


指揮は猿渡健司さん。
暗く静まったホール。
フリーアナウンサーの広瀬道子さんが舞台袖に座り、
少女の手によって、広瀬さんの前に置かれた燭台のロウソクへ火が灯される。
衣装もそうだが、ブリテンと同じ英国のイメージだろうか。
照明も曲ごとに変化し、雰囲気は充分。


各曲の前に広瀬さんによる詩の朗読がされる。
さすがプロフェッショナルの語りだけあって
詩の雰囲気、内容を声によって伝えてくれる。
そして朗読が終わってから、ではなく
終わりがけに音取りの音が鳴らされるのが
間と流れを大事にするウイステリアらしいなあ〜と感心。
(ただその音取りの音色と音量にもう少し配慮があっても良かったかな?
 音取りの音色はその曲の前奏のように、
 しかし音量は控えめに、が理想と思うけど・・・ムズカシイな 笑)


演奏はとても良く、個人的にはこの日のステージの中で一番良かった。
プログラムの猿渡さんの言葉によると
この曲を30年前に演奏したリベンジだそうだが
それは充分果たせたのでは。


やや細め、軽めのウイスの音色が
ブリテンの軽妙さにハマり、
運動性、躍動感、旋律の中の軽やかな力感というものが
随所にある演奏だった。
特にデクレッシェンドでの響きの合わせ方などは
指揮、合唱団とも、非常に良いセンス。
(指揮者:大谷研二先生を少し思い出すようなニュアンスが有り)
各パートの整備もできているので
交錯する旋律が濁らずに澄んで聴こえるのもGood!


最終曲の
「Ballad of Green Broom(緑のほうき草のバラード)」は
詩の内容に沿って悪戯っぽく締める朗読の広瀬さんへ
突然現れた少年が駆け寄り
ロウソクの灯りを「ふッ!」と吹き消し暗くなる演出。
憎いね!ウマイね!



(つづきます)