ぜ ・・・ ぜんぱくさん
文 ・・・ 文吾
10月某日夜のスカイプ
ぜ 今日、何話すんだっけ?
あ、止める話か。
文 そうですよ!
「大物合唱ブロガーぜんぱくさん、
人気企画あれやこれや中止の理由に迫る!」
というテーマです。
ぜ いや、超大物ブロガーの文吾さんに
そんなこと言われるとねえ。
文 …いい加減この気持ち悪いやり取り止めましょうか。
ぜ (笑)。
文 で、どうされるんですか?
今年の
「コンクール出場団体あれやこれや2015」は?
ぜ いやあ、11年書いてきて、そろそろ潮時かな。
文 11年! もうそんなになりますか。
何か止めるきっかけはあったんですか?
ぜ うーん…なにか最近、
常連団体のことばかり書いてるような気がしてね。
文 はあはあ。
ぜ そりゃMODOKIなど常連団体は素晴らしいけど
じゃあ常連じゃない団体が
素晴らしくないかというと
そんなことないわけでしょう。
文 そうですね。
ぜ 久しぶりに九州大会を聴いたのも大きいね。
沖縄の合唱団「い~すたん」さんとか、
熊本のきらりさん、
熊本の合唱団いひゅうもんさんとか凄く良かった。
文 うん、いひゅうもんさん、良かったです。
ぜ でしょう?!
ああいう全国大会へ出場できないけど
素晴らしい演奏をした団体のことを書く。
そっちの方が良いような気がするんだよね。
コンクールには否定的な論調があって。
その気持ちもとてもよくわかるんだけど
そうは言っても自分はコンクールに参加している人間なわけで。
コンクールの全部がダメとは思わないし
向き合えば上達するだけの何かは得られるしね。
文 やりたい表現に必要な技術は鍛えられますよね。
ぜ ただ・・・No.1を作ってしまうのがコンクールなわけで。
文 「コンクール1位」という価値観を創造するのが
コンクールというものですが。
ぜ その価値観を限定していく側面があると思う。
全国大会の常連団体が勝ち続けると
多くの団体がその常連団体を目指し、
それを越える何かを作ろうとするわけでしょ。
または常連団体のアンチにしても
結局、コンクールの価値観に組み込まれてしまう。
その辺がコンクールの功罪の「罪」という気がするのよ。
文 本来なら多様性がある音楽が
コンクールによって限定されてしまう…。
ぜ そう。全国大会だけに一生懸命になってくると
価値観を固定化していく過程を見ているような気がしてさ。
たとえば「良い発声とはなんぞや?」と
求めるのは良いんだけど…。
文 コンクール向けの良い発声、
良い音楽を求めることによって
切り捨てられる価値観みたいな問題でしょうかね。
・・・で、結局、今年は止めるんですか?
ぜ うーん、どうしようかな~。
どうしよう、どうしたらいい?
文 (笑)。
じゃあ初心に帰って、
11年前にぜんぱくさんが「あれやこれや」を
書き始めた時はどういう気持ちだったんですか?
ぜ 11年前は松山で全国大会があったからさ。
ウチ(コールサル)のメンバーへ向けて
書いたんだよ。
そのころの彼らは全国へ出場する団体なんて
知らなかったからさ。
文 なるほど、
「全国大会を楽しむためのガイドブック」
みたいな感じですね。
ぜ そうそう。
でも今は出場団体の情報が多いし。
全日本合唱連盟もツイッターで団体紹介してるし。
常連団体のことだったら知っている人は多いと思う。
だから自分の役割を終えている感じはあるかも。
文吾さんも書いてるし(笑)。
文 私は室内、混声部門だけですよ?
ぜ でも、自分が今年止めたら
大学ユース、同声部門も書くんでしょ?
文 数団体だけですよ!
ぜ いいねえ、嬉しいねえ。
奇特な方がついに現れた!(笑)
文 ついに現れた・・・って、
8年前にも同じセリフを聞きましたよ(笑)。
ぜんぱくさんが時間に余裕が無くて
「あれやこれや、全団体書けない!」と困っていて
「じゃあ半分、私が書きましょうか?」というのが
始まりですから。
ぜ そうか、もう8年になるんだ!
文 本当にねえ(笑)。
過ぎてしまえばあっという間でしたけど。
じゃあ今の読者にはどうなんですか。
「コーラス・どーなっツー」で知り合った大学生が
今年初めて全国大会を聴きに行く!
「ぜんぱくならではの紹介をしてやるぜ!」
みたいな心意気はないんですか?
ぜ ないよ。
文 即答(笑)。
ぜ それは冗談だけど。
…そもそもどれだけ読まれているかわからないし。
文 あれ? アクセス数でわかりませんか?
ぜ それはわかるけど、
一番読んで欲しい大学生は
読んでくれてない気がするなあ。
文 そうなんですかねえ。
ぜ あと、全国大会へ出場するような団体は
やっぱりみんな上手ですよ。
だから、そうじゃない団体を大事にしたい。
最初は全団体の感想を書いていたじゃない?
あれって銅賞で肩を落としている人たちに
「そんなことないんだよ。
自分は凄く心動かされたんだよ」
と言うつもりだったの。
文 なるほど。
ぜ だから、いまは全国大会でも銅賞や
支部大会、県大会で埋もれている団体の
感想を書こうという気持ちの方が強いなあ。
そういう意味では初心に返っているかもしれない。
あと、コンクールってどこへ行くんだろうな?と。
いま47歳なんだけど、
10年前もいまと同じことやって、
で、10年後も同じことやってるのかな。
それがなんになるの?と。
文 ・・・・。
ぜ コンクールじゃないものも含めて
もっと良いものにして
次の世代に渡すみたいな役割を
そろそろ我々の世代が担っても良いんじゃないかな、と。
文 うーん、そうですか・・・。
ところで、私の話もして良いですか?
ぜ 私? どうかしたの?
文 「あれやこれや:出張版」、
今年いっぱいで止めようと思ってるんですよ。
ぜ 本当に?! 引き継ぐんじゃないの??
文 引き継がないですよ(笑)。
ぜ ・・・でも、そう言いながら
来年になったらまたやるんでしょ?(笑)
文 いや、来年から休むか、
数団体だけを取り上げるかわからないですけど、
全団体を紹介するのは今年が最後、中締めです。
体力的に難しくなってしまって…。
実は、去年全国大会から戻って
寝込んで職場を3日間休んでしまったんですよ。
ぜ あのね、それ気合入れ過ぎ、おかしいでしょ。
がんばりすぎだ!(笑)
文 あと、ぜんぱくさんも言ってましたけど
「読んで欲しい人に読んでもらえない」問題。
出張版は、出演する人たちに読んでもらいたいけど、
そのほかに、全国大会を目指す、
特に地方の人たちへ向けているのもあったんですよ。
それで全団体を紹介することが
その人たちに届くことになるのか疑問に思ってしまって。
ぜ なるほどね。
で、来年からどうするの?
文 どうしましょうかねえ。
ぜ 文吾さん的にはどうなればいいの?
文 どうなる、とは?
ぜ 合唱がどんなふうになれば
良い感じになるとかさ。
プレイヤーじゃないんだから
客観的に見えるわけでしょ?
文 …う~ん、コンクールに限らなくても良いんですか?
ぜ いいよ。
例えば10年前、京都の合唱シンポジウムも
凄く良かったよね。
文 素晴らしかったですよね!
…自分はDVDを観ただけですけど。
そうですねえ、ああいう海外の団体も良いですよね。
宝塚国際室内合唱コンクールも意義ありますし。
ぜ 海外の団体かあ。
文 あとはプロフェッショナルの団体。
たとえば東京混声やBCJ。
そういうプロの団体と海外の団体の演奏を
アマチュアの団体がただ聴いて
「良かった。でも自分たちとは違うね」って
箱にしまっちゃうんじゃなく、
交流やジョイントコンサートができないかなあ。
それで影響が受けられれば
アマチュアの合唱ももっと面白くなるんじゃ。
ぜ 良いじゃん!
多様な価値観がちゃんと伝わる機会が
増えれば良いね。
文 どうなればそうなるか、
まったくわからないですけどね。
ぜ まず、言葉にすることに意味があるんじゃないかな。
・・・そうか、今年で文吾さんの連載も終わりか。
じゃあ、自分もやろうかな。
文 えっ。
ぜ 紹介文を書くこと自体は嫌いじゃないし。
一緒に最後の花火を上げて終わろうか、ぽんっと。
文 意外な展開に(笑)。
でも、本当に良いんですか?
ぜ いいよ、やろうよ。最後の「あれやこれや」。
文 わかりました!
では、ぜんぱくさん、文吾の最後の
全国大会出場団体紹介企画、
「あれやこれや2015」、
11月上旬からの開始をお待ちください!
ぜ お待ちください!
・・・まあ、自分は気楽に書くけどね。
しょせん居酒屋のダベリ話風だし(笑)。
文 またそういうことを(笑)。
(おわり)