観客賞バックステージ 大学ユースの部 その2

 


前回は観客賞への投票方法とともに、大学ユース部門のFemale Ensemble Mandaeliteさん、名古屋大学混声合唱団コール・グランツェさんの2団体をご紹介しました。



今回は3団体をご紹介します。


3.山梨県・関東支部代表
都留文科大学合唱団

https://twitter.com/tsurubun_chorus

(混声・15大会連続出場・第51回から16回目の出場)

全国大会常連、さらにこの観客賞で毎回高い人気の都留文科大学合唱団さん。
昨年も大学ユース部門の観客賞第1位を獲得しました。

課題曲「草原の別れ」は語感を活かし、巧みなフレーズ。
自由曲のチョピ「Otche nash」は少なめな男声が人数以上に響き、ハーゲンバーグ「Alleluia」は和声、色彩の変化を軽やかに美しく表現していました。
名匠:清水雅彦先生の指揮で、混声合唱の響きの美しさを知的に体現している団体です。


都留文さん今年の演奏曲は
課題曲 
G2「Les fleurs et les arbres(「Deux choeurs」から Camille Saint-Saëns 詩曲)

自由曲
「風景」
「空をかついで」
(作詞:石垣りん 作曲:津田元)

都留文さんのサンサーンスは流麗な音楽が期待できそう。
そして自由曲が一昨年の課題曲「うたをうたうのはわすれても」作曲家:津田先生とは!
「空をかついで」のテキストは信長貴富先生、三宅悠太先生、松下耕先生らが作曲され、どちらもいま人気の曲です。

 

 

ポストの写真のように、都留文さんの男声の割合は少なめ。
しかし、聴く者にはそれと感じさせない見事なアンサンブルです。
津田先生の作品、私は未聴ですが、都留文さんの日本語への鋭い感性が生きる、印象深い演奏になることでしょう。

 

 

 

4.東京都・東京支部代表
なにやらゆかし合唱団

https://twitter.com/Choir_Yukashi

(混声24名・初出場

初出場おめでとうございます!
2020年10月、都内の大学生を中心に結成された混声合唱団。
特徴的な団名は松尾芭蕉の俳句「山路来てなにやらゆかしすみれ草」からつけられたとか。
東京都の大学ユースの部で、ユース団体が全国大会へ進まれるのは初めてだそう。

なにやらゆかし合唱団さんのYouTubeチャンネルを聴いてみると。

そのセンスの高さ、演奏の知性に唸ると共に、本山秀毅先生が書かれる「耳を用いた」発声、合唱を実感出来て興味深く。
このような若い方が創る新時代を嬉しく思うと共に、おっさんの出来ることは何だろう?とつい考えてしまいました。
指揮者の和田太郎先生も、ピアニストとしていろいろな合唱団と協奏されている才能の持ち主。

なにやらゆかし合唱団さん、今回の演奏曲は
課題曲
G4「Ⅰ―空と涙について―(田畠佑一)」

自由曲
混声合唱組曲「方舟」から(詩:大岡信 作曲:木下牧子)
「1.水底吹笛」


1番目に出場の森岡希望先生に続き、和田太郎先生も23歳の若さとか。
そういえばこの「方舟」という作品も、木下牧子先生が東京藝術大学大学院1年のときに発表された初の合唱組曲。
詩の大岡信先生も十代の頃の作品です。

発表から40年以上経ち、今なお鮮烈な印象を与える傑作。
指揮者の和田先生も「はじめて聴いたときから、僕は水底吹笛に恋し続けていました」と語られるように素晴らしい作品です。

10月29日に第1回演奏会を開催されたばかりの「なにやらゆかし合唱団」さん。

 

若い年代の指揮者、ピアニスト、歌い手のみなさんが一心に奏でる、みずみずしい命の煌めきのような作品。
どんな新鮮な調べを聴かせていただけるのでしょうか。

 

 

長岡市・秋晴れに舞う

 


大学ユース部門、前半最後の団体です。


5.福岡県・九州支部代表
九大混声合唱団

https://twitter.com/Qkon_chorus

(混声・7大会連続出場・第40回大会から21回目の出場)

昨年は課題曲に「智慧の湖」、自由曲に三宅悠太「VocaliseII」 「海辺にて」を演奏し。
優れた男声とともに「自分たちの歌」として説得力を持つ演奏を披露してくださいました。


九大さんの今年の演奏曲は
課題曲
G4「Ⅰ―空と涙について―(田畠佑一)」

自由曲「帰郷」
(詩:谷川俊太郎 作曲:三宅悠太)

なにやらゆかし合唱団さんに続き、G4の聴き比べが楽しみ。
そして昨年に続き、三宅作品!
ことばのリズムや語感を音楽に活かし、繊細なピアノとの対話が合唱と盛り上がり「帰郷」の意味に結実する素敵な作品です。

ハロウィンも全力で楽しんでいる様子が伝わるように、いつも「大学生らしさ」が十分感じられる九大混声合唱団さんの演奏。

課題曲の恋の歌、自由曲の「帰郷」と、今年も等身大の「自分たちの歌」を奏でてくれることを期待しております!


(※次回に続きます)