観客賞座談会・大学ユースの部 その3

 

 

長生橋に咲く・長岡市

 


観客賞座談会・大学ユースの部。
前回は第4位の関西学院グリークラブさん、第3位のFemale Ensemble Mandaeliteさんについてお話ししました。

 

今回は同票第1位の団体、2団体を出演順に。

観客賞:大学ユース部門
1
都留文科大学合唱団

https://tsuru-u-chorus.jimdofree.com/

https://twitter.com/tsurubun_chorus

(混声47名)

 

一同 拍手!


文 課題曲がG2「Les fleurs et les arbres」。
 都留文さん47名で男声が11名!
 その男声も爽やかで良かったな~。


 男声の力量が高い!


C まさに!
 都留文さんはいつもそんなに男声が多くない。
 毎年入れ替わる団員さんが多いということ。
 それなのにあの実力を
 キープしているのは頑張ってきたんだなと。


 あの人数でベースを
 支えられるのが凄いなと思って。
 G2もフレージングが上手かった。
 フレーズの最後の音まで意識し、
 どこに向かって歌うかが目に見えるよう。
 次のフレーズの入りがいつも明確で新鮮。
 だからとても聴きやすく、飽きなかった。


 都留文さんの軽やかな声が
 フランスもの、サン=サーンスに
 合っていたんじゃないかな。
 さらに和音の移り変わりがさりげない。
 「やってます!」じゃなく(笑)。


 この作品では重要だ!(笑)
 音楽が流麗だったですもんね。


 お洒落でね、フランスっぽかったな。


文 自由曲:津田元「風景」。
 邦人日本語作品で都留文さんの新機軸?!
 各パートの音色が変わって大人の音楽に。


 次の自由曲の「空をかついで」も、
 石垣りんさんの詩だけど
 松下先生、信長先生や三宅先生が作曲された
 主に中高生が演奏する作品があるよね。


 そうそう!
 津田先生の音楽、
 そして都留文さんの大人の音色で
 同じ詩でも中高生とはまた違った
 深い味わいが出ていましたね。


 言葉が変わっていくときに
 音の色も変わっていく気がして。
 だからどんな感情を出したいのかが
 とても伝わってきたな。


 「潮のように」と歌われ
 本当に海を感じ、腑に落ちるような……。


 うんうん、言葉といっしょに
 詩のイメージに包まれる。


 その辺は清水雅彦先生の力量でしょうね。
 やはり比類無き声楽家の一面が。


 音程やハーモニーのバランスだけでは
 出せない世界だと思いました。


 言葉と音の色を通じて、
 広く深い世界に触れた感触のようなね。


 都留文さんの日本語曲と言えば
 初めて金賞を受賞した
 相澤先生の作品
を思い出すんだけど。
 この津田先生の作品も、
 とても演奏しがいのある、
 優れた作品と思わせてくれて良かったです。


 そうですね、
 これからの「空をかついで」は
 津田元先生の混声作品!(笑)


 三宅、信長、松下先生の
 「空をかついで」は
 みんな女声合唱だったから。


文 「女性ばかり空をかつがせて!」(笑)


B 「男もかついでね!」(笑)

 


【メール、Xの感想です】

G2は軽やかさの中にも深みのある音楽、自由曲は言葉の中に見え隠れする希望と不安が表れる音楽で、毎度のことながら発声も込みで大学合唱団の枠組みを大きく飛び出してる表現に心打たれた


聞かせる力のある歌声、音楽作り


都留文は大学生と思えない演奏の上質さ・格調高さが好みでした。
コンサートを聴いたような満足感がありました。


響きの美しさ、特にテノールのつややかな声は素晴らしかった。
全体を通して、響きが豊かで、音楽のしなやかな流れも他を圧倒していたと思います。


都留文のあの統一感はなんなんだろうな あまりにも揃いすぎててもはや恐ろしい
完全に女声男声の発声の源が同じなんだよな
それでいてあの洒脱感、歌心を出せるってどうなってんだ…………


課題曲改めて良い曲だったと感じました。


圧倒的。発声の下支えがあっての表現で、説得力が違いました。


正確な和声感、鍛えられた体幹に裏打ちされた発声、その上で奏でられる流れる音楽。
G2は一般合唱団でも苦労するにもかかわらず、さらりと歌ってのける優雅さ。異次元、ダントツです。


こう歌いたいという気持ちが溢れてた!


大学ユースで圧倒的1位と思っている。
すごい、に尽きる。。日本語が全てクリアに聞こえたのもすごい。


圧倒的、他の追随を許さぬ有機的な音楽に驚嘆。


おしゃれな演奏が魅力的


歌い出しから声が違う!美しい… 聴くことができて本当によかった
自由曲の日本語もいい!詩の情景が浮かぶようです

 

 

第1位の都留文科大学合唱団団員さんからメッセージをいただいております。

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皆様こんにちは。都留文科大学合唱団です。
今年も観客賞という、名誉ある賞に選んでいただきありがとうございます。11年前から文吾様が始められた観客賞ですが、大学ユースの部で弊団が1位の投票獲得数になったとご報告を受けました。聴かれる人の心を動かすような「文大サウンド」を受け継ぎ、今大会でも皆様に愛される合唱団となったことを大変嬉しく思います。


都留文科大学合唱団はおかげさまで、今年で創立60周年を迎えました。今大会では、これまで紡がれてきた文大サウンドを絶やさないように、かつ私たちらしく、それぞれの思いをもちながら演奏いたしました。こうして合唱を愛するものが一堂に会し、同じ目標をもって音を紡ぐことができるのは奇跡のようなことで、私たちにこのような環境を与えてくださった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。そして、皆様の熱い応援は私たちの原動力となっています。いつも都留文科大学合唱団を支えてくださりありがとうございます。
時は移りゆくもので、これからまた新しいメンバーが文大サウンドを奏でていきます。皆様が楽しみにしてくださっているからこそ、その期待に応えたいと心弾ませながら、合唱を楽しむことができます。


どうぞこれからも都留文科大学合唱団をよろしくお願いいたします。

 

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団員さん、12月10日の演奏会が終わってすぐ後にも関わらずメッセージをお送りいただき、本当にありがとうございました。

12月17日(日)18時から期間限定でYouTubeでの演奏会のアーカイブ配信をされるそうです。

都留文科大学合唱団さんの演奏が、自分を含めた観客の心を掴む理由の一端を知ることが出来たようで、とても嬉しかったです。
創立60周年を迎え、都留文科大学合唱団さんの新しいサウンドの第一歩を応援しています!


さて、同票第1位、もう1団体のご紹介です。

観客賞:大学ユース部門
1

Man de rart

https://twitter.com/Man_de_rart

(男声27名)

 

一同 拍手!


 これはもう……凄かったですねぇ!
 課題曲M2「Salut, Dame Sainte」、
 トップテナーに色気があって!


 自分は端正、と思ったな。


 その端正って、
 自分たちの美意識をキッチリ守ってるような……


 そそそ、イケメンなんだけど
 変にカッコつけてるわけじゃなくって
 その人そのもの、
 自分をしっかり出している良さ。


 そうなんですよ、
 自分たちの声を生かしている感じ。
 でもそれが不自然では無い。


 いわゆるグリー系の
 トップテナーの声では無い。


AB文 うんうん。


 グリーのトップって
 「出せれば偉い!勝利!」
 ……みたいな(笑)。
 マンダラさんにはそれが無かった。


 いわゆる「ドヤ感」が無かった(笑)。


 音楽もプーランクの音がして。


 ちゃんと他のパートの音を聞き
 歌ってたしね。


 プーランク特有の諧謔と魅力も。
 精神年齢が高めで優れた演奏でしたね。


B 自由曲の千原英喜「那須与一」、
 これも非常に素晴らしかった!


AC文 素晴らしかった!!


 実を言えばこの作品、
 いままで魅力がわからなかったんですが。
 マンダラさんの演奏で
 こんなにドラマ性があって、
 心に訴えてくる作品だったのか!と。
 ビックリですよ!


 そうそう!物語を咀嚼して
 「このストーリーを
  自分たちが語っていくんだ」
 そういう強い意志を感じたな。
 曲を自分たちのものにしている。


 気合いに満ち、丁寧な情景描写、
 全体を見通したメリハリある音楽作り。
 クライマックスをしっかり聴かせ、
 アンコールのような唱歌が流れる……。


 繊細に作っている部分と、
 ガッ!と大胆に掴む、
 ドラマ的な落差が良かったな。
 クライマックスは鳥肌が立ち泣きそうに。
 最後の唱歌は映画の最後みたいで。


 スタッフの名前が流れるバックに
 唱歌が!


C それだ!映画のエンドロール!!


 なるほど、あのクライマックスが
 非常に上手く出来ていたからこそ、
 唱歌がエンドロールにふさわしく
 聞こえてきたんですね。


 指揮の下薗先生って
 男声のカンサォン・ノーヴァさんで、
 独自の活動をされている方だから
 この音楽にも納得したというか。


 いやユース初出場で全国1位、しかも
 観客賞1位ってなかなか凄いですね(笑)。


 「コンクール金賞を狙っていく」
 ……じゃなく
 「自分たちの最高の歌を!」
 そんな演奏だったかな。
 大胆にギリギリを攻めて。
 正直に言うと、
 破綻寸前に思えた箇所もあったし。


 そうですね、すっごい好きだけど
 コンクールの結果は?と。


 でもね、だからこそ
 心が大きく動かされたんだと思う。
 いまの若い人たちは
 人間関係にとても繊細で
 「自分はどう思われているんだろう」と
 昔より悩みがちじゃない?


 めっちゃ賢いし、
 周囲をよく見てるけど、
 それゆえ一歩を踏み出しにくい……


 だから

「やりたいことを思い切ってやるんだ!」
 マンダラさんのそんな心意気が
 爽快で凄く気持ち良かった!


【メール、Xの感想です】

Man de rartはもう天晴すぎた
倍音ギュイギュイに鳴ってて思わず天を仰いでしまったわ


さすが関学OB主体というか、関学サウンドのその先にある音楽という印象
パート内の統一感、音楽の推進力、そしてラストの和音…こんなの聴き惚れるしかないじゃないか!


これが若手の男声合唱や!


今回、注目していた団体でした。
課題曲のプーランクの豊かな音楽性、そして那須与一の緊迫感。いずれも素晴らしかった。
ピッチや、高音の絶叫など、少し気になるところはあったものの、とにかく感動的な演奏でした。


自由曲の那須与一がとてもよかった
数年前の関学の那須与一がいまだに忘れられないのですが、当時歌っておられた方がいらっしゃるのでしょうか?
(文吾註:いらっしゃるようですよ?)


とにかくメリハリが凄かった フォルテッシモのパワフルさには痺れた


千原作品の良さを感じることができました。


那須与一の最後のトップエグすぎ。
古風な部分でガラッと雰囲気が変わってメリハリが付いていた。


溶け合ったハーモニーとトップテナーの歌唱力に驚き!


これよこれこれ!これが聴きたかった!って男声合唱!って感じ。
緩急ついて和音もキレイでカッコよかったです。


那須与一のラスト凄すぎた!


これぞプーランクって感じで和声も言葉🇫🇷も良かった
自由曲千原の娯楽的な様相を表現しててOK


課題曲の上品で優美な音運びに魅了されたかと思えば、自由曲では作品の個性的な世界観や面白さを余すところなく表現しており、歌い手にも聴き手にも作品を愉しむ余裕の感じられたステージだったと思います。

 

Man de rart指揮者:下薗大樹先生よりメッセージをいただいております。

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観客賞ありがとうございます!Man de rart(マンダラート)の指揮を振っておりました下薗(しもぞの)です。
「まんだら」と呼んでください!「しもきん」と呼んでください!

Man de rartは、母校の後輩たちと今年の3月に飲んだ勢いで作った合唱団です。
「王道」な男声合唱曲で滾(たぎ)る演奏をしたいというコンセプトでスタートしたこの合唱団ですが、気づけばニンニクマシマシなメンバーが全国津々浦々集まってくれました。

久しぶりの男声合唱に飢えた怪物達が集まり、最初は「怪獣大戦争」「うるSalut」なんて言いながら全く声の纏まらない練習が続きましたが、徐々に理性的な顔を見せてくれて、気づけば元から1つの合唱団だったかのようなサウンドになっていきました。
集まってくれた皆さんのポテンシャルに驚くばかりでした。

コンクール本番では、りゅーとぴあの素晴らしい音響の中、初出場ゆえに「まあ楽しくやりましょう」という感じで気負いなく演奏できました。
観客賞もいただき、自分たちが楽しんできた男声合唱の魅力を伝えることができたのかなっと思えて嬉しい限りでした。

まんだらはこれからも、滾(たぎ)るような演奏に少しばかりの理性を持ち合わせて、男声合唱の魅力を発信していきたいと思います。
全国津々浦々、男声合唱中毒の皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

次回の本番は、私の主催している合唱団CancaoNovaの定期演奏会、
CancaoNova Chorus Next 2.0の2nd Sessionにて、Man de rartがゲスト出演します(自作自演みたいで少し恥ずかしいですが、、、)。
ぜひお近くの方は生でその魅力を感じていただければと思います(配信も準備中です)。

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CancaoNova Chorus Next 2.0
2024.3.10 (Sun.) デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO
13:00-14:00 1st. Session
14:00-15:30 2nd. Session
15:30-16:30 3rd. Session
公式HP:https://cncn2.cancaonovachor.com/

チケット販売ページ:

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02my1a1uzic31.html

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下薗先生、ありがとうございました。
読みながら笑顔になり、かつ下薗先生とMan de rartさんの男声合唱への熱い想いを感じられるメッセージだと思いました。

CancaoNovaさんのChorus Next 2.0も、ティザー動画を拝見するに、実に面白そうですね。
とても興味を惹かれるプログラム&コンセプト!
ゲスト出演のMan de rartさんもまた「滾ってきた!」と聴く者を熱くさせる演奏をしていただけると期待しています。

来年3月10日はデザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITOでMan de rartさんやCancaoNovaさんを「体験」しましょう!


 

改めて観客賞:大学ユース部門の結果です。


同票第5
混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ
なにやらゆかし合唱団
 
4位 
関西学院グリークラブ
 
3位 
Female Ensemble Mandaelite
  
 
そして同票第1位!
 
都留文科大学合唱団
 
Man de rart


でした!

ご投票いただいたみなさま、感想を書いてくださったみなさま、感想転載の許可をくださったみなさま、本当にありがとうございました。

 

(観客賞:室内合唱部門の感想に続きます)