東京旅行記その3 銀座のバー 1


言うと決まって
「似合わねー」とか「ぷっ」とか笑われるのだけど
わたしゃカクテル、というものが好きである。


「ギムレット」とか「マティーニ」とか
なんやら意味ワカランけどかっこいい名前で
青やら紫やらピンクやら、自然の食品だったら絶対口にしない
綺羅びやかな色の液体。
ショートドリンクだったらわずか60mlの量なのに
ちょっとしたバーだったらその1杯で2千円。嗚呼カクテル!



・・・自分からカクテルの魅力を説明しているはずなのに
なんだかその魅力に自信が無くなってきた。


まあでも酒を飲み始めて以来、「カクテル」というのは憧れであり
ずっと付き合ってきた友人でもあったのです。
わりあい全国のあちこちへ行くのですが、
旅先の居酒屋の後、バーへ行ってカクテルで締める、というのは
なかなか良いものです。



それで日本全国のバーへあちこち行っているのに
ここに行かなきゃダメでしょ、という場所へ今の今まで
行ってなかったのですね。
それが 「銀座のバー」。



うん、まあね、そこら辺のバーでも自分が「ハマってる」などとは
決して思わないけれど、それでも銀座のバーはさらに敷居が高くて
行っちゃいけないような気がしてですね。
でもまあ今回の東京行きで意を決したわけですよ、行くぞ銀座バー!



近所のバーのマスターに
「銀座バーでカクテルなら…」と2店を紹介していただき。




和光の時計台。銀座だなあ。





「バー・フォーシーズンズ」
http://www.bar-fourseasons.jp/




銀座4丁目にある今年で開店5周年のバー。
おそるおそる、といった感じで入店しカウンター奥に座る。
あれ、独りで寡黙にウイスキーを飲んでいる男性客とかもいるけど
バーテンダーさんと談笑しているカップルもいるし、
その接客中の表情は基本笑顔で和やかだ。
少なくとも
「こちとら真剣に作ってんだからテメェも真剣に飲めよ。
無駄口叩くな!」…みたいな雰囲気は微塵も無い。安堵する。


しゅっ、とした清潔感ある男性バーテンダーさんから
「何にいたしましょう」とさりげなく声をかけられる。
胸には「吉本」という名札が。


…そうですね、この前にビールと
メンチカツという脂っこいものを食べたので
何かさっぱりしたロングドリンクをお願いします。


「かしこまりました。
それではプラムを使ったカクテルはいかがでしょうか?」


ではそれで。


プラムを取り、淀みない動作でカクテルを仕上げる吉本さん。
「プラムのジンリッキーです」
(※もう記憶も曖昧なのでジントニックだったかもしれません
 ごめんなさい)
出されたそれを口に含む。


「!」


ぎゅぎゅぎゅーんと、
「過去に飲んだ名カクテル順位」が更新されていくのが分かる。
プラムというフルーツの新鮮さ、甘さを充分に味わせながら
ジンリッキーという既存のカクテルを壊さないバランス。


こ、これは・・・うまい。


「美味しいですねえ!」と伝える。
ありがとうございます、と笑顔で応える吉本さん。
一杯目を飲み干し、次のカクテルを注文する。


二杯目のショートカクテルも当然のように、うまい。
口当たりはいいが、軽過ぎ、水っぽいものでは無いのだ。
吉本さんは福岡出身ということで私も3月に行った
「ニッカバー 七島」の話で盛り上がったり。
「七島さんはいいですよね! 雰囲気が外国映画の1シーンみたいで」
ああいう様々な人が行き合うバーが成立するのが
博多という街が文化的に成熟していると思う証拠だなあ。


そして柔らかな笑顔で女性のバーテンダーさんが現れる。
この人は・・・。



(その2に続きます)