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「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2015」(その6)





今日は室内合唱部門、最後の3団体。
まずは、団名がそのまま演奏の個性となっている
こちらの混声合唱団のご紹介です。










9.高知県・四国支部代表

混声合唱団Pange

(混声24名・6年ぶり・61回大会以来3度目の出場)




6年前の札幌での全国大会では
団名の「Pange(歌え!)」のままに
明るく強い声で
「表現したい!」という意志を強く感じる
ウィテカーの「Cloudburst」の演奏が
印象的だったPangeさん。


今回の課題曲はG1
Super flumina Babylonis 
(Giovanni Pierluigi da Palestrina 曲)


そして自由曲は…

E.FISSINGER作曲
「By The Waters of Babylon」

おぉ、この曲は私も歌ったことがありますが
激しい合唱の高まりと悲痛なソプラノソロなど
心に残る名曲だと思います。
また、ラテン語と英語という違いはあれど
課題曲G1と同じテキスト!
選曲の妙を感じてしまうのですが・・・さて?



指揮者の坂本雅代先生にお伺いしました。

 


【選曲理由】 指揮者:坂本雅代

今年の選曲は、私の、
「自由曲にどうしてもE. Fissingerの
『BY THE WATERS OF BABYLON』を歌いたい!」
という思いからスタートしています。
バビロン捕囚を歌った曲ではありますが、
2600年の時を経てもなお、
同じように理不尽にも故郷から引き離され、
見知らぬ地で新しい生活を
余儀なくされている人々がいます。
今なお解決しない拉致問題、
また東日本大震災の被害者のみなさん…。
何の力にもなれない自分だけれど、
この曲を歌う事でそれらの人々の憤りや悲しみ、
苦しみに思いを馳せ、
せめて心を寄り添わせたいと思っていました。
その矢先、課題曲が発表されたのです。

G1に「Super flumina Babylonis」をみつけた時は
「きたーーーー!」と思いました(笑)

でもポリフォニーは大の苦手(>_<)

今までも避けに避けてきただけに、
G1を選ぶのにかなりの勇気がいりました。
しかし、あえて同じテキストでありながら
全く違う様式の曲を表現することに挑戦してみようと思い、
G1を選んだ次第です。
どれだけポリフォニーの世界に近づけるか、
Pange、いえ私にとっての挑戦だと思っています。

『BY THE WATERS OF BABYLON』は
MODOKIさんの2000年の全国大会の演奏を
CDで聞いたのが最初でした。
魂をえぐられるような深い悲しみと怒りに溢れた熱い演奏に、
いつかこんな演奏がしてみたいと
大きな憧れを持ったものです。
今回、少ない人数ながらも私たちなりに
思いを伝える演奏になればと願っています。

 

 

そして、「全国大会への意気込みなどは…?」を
団員さんに答えていただきました。

 

 


【全国大会に対する意気込み】 団員より


6年ぶりの全国大会出場。
この大舞台で歌うことを、
団員一同楽しみにしてきました。
指揮者の坂本先生の選曲にもありましたように、
今年は“バビロン捕囚”をテーマに、
皆で曲を作り上げてきました。
練習では、「ああでもないこうでもない」と
お互いに意見を交わし、
納得のいくまで自分たちの音を追求してきました。
全国大会での目標は、
【演奏を通して、
 曲の持つ世界観をお客様と共有すること】です。
私たちが作り上げてきた音楽が会場に響き渡り、
曲から滲み出る悲しみや怒りの感情、
愛する祖国への思いを
お客様にも感じとっていただけたら幸いです。
全国大会という素敵な場で、
Pangeの魅力を知ってもらえるよう、
全力で歌いたいと思います。
どうぞよろしくお願いします!

 


坂本先生、団員さん、ありがとうございました。
当時のMODOKIさんの演奏は衝撃だったと話に聞いております。
「バビロン捕囚をテキストに様式の異なった2曲を選曲」。
考えた人は他にいるかもしれませんが、
なかなか実行に移すのは難しい選曲。
その勇気が、苦手だと仰るポリフォニーの演奏に力を与え、
「曲の持つ世界観をお客様と共有する」という
高い目標がかなうことを願っております。




さらに、「我が団のこの人!」にも
団員さんに答えていただきました。

 

我が団のこの人!は
我らが団長、山中香奈さんです。
香奈さんは誰もが認める、我が団のムードメーカー。
Pangeはいつでも歌に真剣ですが、笑いにも真剣…。
何故なら、団長が香奈さんであるから!
キャラの濃い団員にキレッキレのツッコミを入れる団長。
かと思えば、計算なのか天然なのか
よくわからないボケをかますこともしばしば(笑)
とにかく、笑いの絶えない我が団になくてはならない存在です。

そんな香奈さん、団内では若手でありながら、
団長としてみんなをまとめ上げてくれます。
明るく優しい人柄もあって、
「皆を引っ張る」というよりは、
「皆に伴走しながら、行き先を示してくれる」団長だと
私たちは思います。
いつも団員に寄り添ってくれる、素敵な団長です(^^)

山中香奈団長率いる、混声合唱団Pange。
長崎の地で、精一杯演奏させていただきます♪

 

 

おお、そんな素敵な山中団長のお姿を拝見したい!…と
送っていただいた写真を開いてみたら。

 

 

 

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なお、写真はどうしようかとずいぶん悩んだのですが、
どの写真も真ん中の子が目立つので、
いっそのこと一番目立つ写真にしました。

 

 


・ ・ ・ (笑)。
個性的な団員さんが多数いらっしゃるPangeさん。
笑顔の勢いで今年も団名通りの「歌え!」パワーを
感じさせて欲しいです!










次は東北から若き実力派合唱団の登場です。
















10.福島県・東北支部代表

L'Aube des Temps

(混声24名・3回目・3年連続出場)


 


L'Aube des Temps(ローブ・デ・タン)。
「時代の夜明け」を意味する団名が示されるように
福島県内出身の若手シンガーを中心に結成した合唱団です。

あの菅野正美先生が指揮者をされていて、
昨年は良く整備された印象の課題曲、
ソプラノのソリストを筆頭に
個々の実力が高い団体という印象を受けました。




L'Aube des Tempsさんの今年の課題曲はG1
Super flumina Babylonis 
(Giovanni Pierluigi da Palestrina 曲)



自由曲は
Leo Sowerby作曲
「Eternal Light」 (永遠の光)

Xabier Sarasola作曲
「Neskatx' ederra」(美しい女)



自由曲の解説を金田孝介さんが書いて下さいました。


 

◆Eternal Light 〜永遠の光
作曲: Leo Sowerby (1895-1968)
Text: Alcuin (735-804)

Textは8世紀イングランドの神学者Alcuinによるものです。
曲はほぼ一貫してホモフォニックに進行していますが、
強弱と和声を構成する音域の盛衰によって、
光の煌めきや、
教会の中を支配する気のたゆたう様を想像させます。


[翻訳]

永遠の光 我らの心を照らし給え
永遠の善 我らを災いより救い給え
永遠の力 我らの支えとなり給え
永遠の知 我らの無知の闇を払い給え
永遠の情 我らに慈悲を与え給え
*(これらが我らの心と精神と魂と肉体に宿るならば、
 私たちは汝を見つけ出し、
 汝の限りない信仰をもって
 敬虔な存在へと導くだろう)
イエス・キリストを通じて
我らの主のもとへと
アーメン

※作曲の都合上、*()の部分は省略されている。






◆Neskatx' ederra 〜美しい女
編曲: Xabier Sarasola (1960- )
"バスク民謡" (19th c.)

バスク語という難解な言語ゆえに、
残念ながら翻訳の全てが完成していません。
しかしながら、参考にと入手したCDのブックレットには、
次のように記されていました。

≪CDは、バスクの作曲者シャビエル・サラソラによる
 「美しい女(Neskatx’ ederra)」と名付けられた
 バスク民謡のスコアで幕を閉じる。
 宮廷の女性の、自身の傲慢さゆえに、
 成就しない愛について歌ったものである。≫

この解説文をもとに、今回は曲のイメージに対して、
想像による補完を行いました。



[曲のイメージ]


この曲は、「美しい女」
その人自身によって歌われているものである。
彼女は瞳の大きい"美しい女"であると自尊しており、
自らが宮廷の娘である事に並々ならぬプライドを持っている。
「愛してる 愛してる」とつぶやきながら、
彼女はとある貴族の男性へと恋心を募らせ、
その愛情は簡単にかき消されるものでは無いと信じ、
「いつか私は彼と結婚するのだ」と疑わないでいる。


文責: 金田 孝介

 

 


金田さん、ありがとうございました。
どちらも技巧よりは「歌心」を前面に出した印象の曲。
「Eternal Light」のどこか宗教的な美しさ、
さらに「Neskatx' ederra」はバスクの恋歌。

サラソラ氏の作品は
昨年、マルベリーさんで聴いた曲も良かったですが、
L'Aube des Tempsさんが演奏される曲も良い曲で
この2曲、大変気に入りました。



そしてL'Aube des Tempsさんの意気込みは…との問いには

 


「ローブ・デ・タン」「時代の夜明け」その名のとおり、
合唱界の新たな可能性を追求し、日々練習に励んでいます。
結成8年目を迎え、3回目の全国大会出場を果たすことができ、
大変うれしく思っております。
福島県の中・高生の活躍に負けないよう、
一般団体ならではの大人の演奏ができたらと思っています。

 


たしかに福島県の中学・高校生の活躍は凄いですからね。
L'Aube des Tempsさんによる
「一般団体ならではの大人の演奏」、期待しています!








さて、室内合唱部門最後の団体は
実力、人気、ともに上位のこの女声合唱団です!













11.佐賀県・九州支部代表

女声合唱団ソレイユ

(女声24名・10年連続出場・59回大会から10回目の出場)



昨年、審査結果1位、
そして観客賞も1位だったソレイユさん。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/12/25/062109

これもできるし、あれもできる。
全方位的に引き出しを見せてくれる団体がソレイユさん。

…との感想のように、
高い技術でいろんなタイプの曲を
しかも技術を誇示しない
耳にすっと入る優しい演奏で聴かせてくれます。



今年の演奏曲は課題曲F2
Veni Domine (Felix Mendelssohn 曲)


自由曲はEster Mägi作曲
「Laulikuetele」

Einojuhani Rautavaara作曲
「The First Runo」




昨年は出産のため全国大会をお休みし、
無事、娘さんを出産された(おめでとうございます!)
池田さんに楽曲を解説していただきました。

 


自由曲1曲目、
エストニアの女性作曲家、
エステル・マギの作品「吟遊詩人に」は、
一言で言えば「スポーツ」・・・です!
前半部分の変拍子では、腹筋が崩壊しかけます(笑)。
でも、歌詞と和音の美しさに惹かれています。
その美しさが皆さんに伝わるように、腹筋がんばります!

 



Laulikutele  吟遊詩人に

私の心を駆り立てるものは何?
私の心を悲しませるものは何?
私を脅かすものは一体何?

広い世界は美にあふれているけれど、
人生にはたくさんの痛みもある

豊かな美は海の波に憩い
豊かな美は空の星と共に在る

恋する瞳の中にはやさしさの世界が隠され、
若い心の中には無限の温かさが生きている。

魂の深いところに生命は輝き、
熱き心は痛みに苦しむ

世界は美や生命や痛みに満ちている
あなたの歌は、
その小さなひとつひとつの足跡を私に伝える





2曲目の 「The first runo」
これは、フィンランドの民族叙事詩
「カレワラ」の第一章という意味です。
大気の処女イルマタルが
天地創造に関わった内容を歌います。
カレワラは、もともとは物語を読み聞かせるものではなく、
歌って聴かせるものだったそうです。
私たちも、この歌を通して、
天地創造という壮大な物語を
ドラマティックに表現したいと思います。



The First Runo カレワラ第一章

大気の娘、処女イルマタル。
大海原に降り立ち、
大きな風に吹かれ身ごもって、
七百年もの間、身ごもったままだった。
きついおなかの苦しみに海をさまよった。
ある時鴨が飛んできて、イルマタル、
その水の母の膝に舞い降り、巣を作り、
六つの金色の卵と、
七つ目にくろがねの卵を生んだ。
鴨は卵を、膝頭の上で抱いていた。
三日目に、水の母は肌が焼けるかと思い、
急に膝を引き寄せた。
卵は水に転げこみ、
破片はより良いものに変わり、
かけらは美しいものとなった。
卵の下の部分は大地となり、
上の部分は大空、
黄味の上の方は太陽、
白味の上の方は月になった。
卵の中のまだらなものは星となって大空へ、
黒いものは天空の雲となった。

 

 

 

 

 

池田さん、楽曲の解説と詩をありがとうございました。

九州大会を聴いた感想では
Laulikueteleはリズミカルな音楽が印象的。
The First Runoは跳躍音が印象に残り
さすがソレイユさん!と思う演奏でした。
エストニア、フィンランドと
比較的距離が近い国の両作曲家の作品というのも面白い。
腹筋の崩壊にどうか気を付けて!



そしてソレイユさんの「我が団のこの人!」です。

 

 

名前はCひろちゃんです。
10年前の創団当時からのメンバー。
World Youth Choirに参加したこともあり、
世界中に合唱仲間がいます。
現在は学校の音楽の先生。

我らがCひろちゃん、
あるときは音楽リーダー
あるときはタイムキーパー
あるときはスケジュール管理人
あるときは勧誘の達人

Cひろちゃんがいないと
ソレイユはまわらないと言っても過言ではありません。

指揮者の樋口先生と
指揮してる後ろ姿が似てるなんてことも言われます。
服装も時々かぶってて、
間違えそうになったりします(笑)

その笑顔に癒され、
優しさの中にある厳しさにハッパをかけられ、
胸に秘める音楽への熱い情熱に刺激を受けて、
ソレイユは歩いています。

なんかポエムちっくになっちゃいました(笑)。

 

 

ありがとうございました。
Cひろちゃん・・・アルファベット『C』の意味は?
などとツッコミを抑えて。
優しさと熱さが同居しているCひろさんを中心に
ソレイユさんが回っている姿が楽しく想像できました。


最後に、なにか伝えたいことは・・・には。





 

結成10年を迎えたソレイユ。
初めて全国のステージに立ったのもこの九州でした。
一周したなぁ、と感慨深いです。
私も10歳年をとりました(笑)
自分たちはもちろんの事、
聴いて下さる方にも
曲の良さが伝わるような演奏ができればと思います。

 

 

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樋口先生の誕生日に団員さんが手作りしたカードだそうです。





初めての全国…熊本での全国大会ですね!
ソレイユさんはドレスのキラキラが
非常にまぶしかったのを憶えています(笑)。
10年経った今は、演奏の輝きがそれ以上にまぶしい!
…とは言い過ぎでしょうか。

どうか長崎の室内合唱部門の最後を
ソレイユさんならではの輝きで締めくくって下さい!

 

 




さて、ソレイユさんで室内合唱部門全11団体は終了です。
室内部門を全団体聴かれた方は、
審査発表開始の17:30までに
ツイッターかメールで観客賞の投票をお願いします。

詳しくは↓のリンクで。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/11/08/210009

多くの方の投票をお待ちしております!








(明日に続きます)